吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

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吉田恒の為替デイリー
米ドル高再燃の理由と今後の行方
先週にかけて126円台まで反落した米ドルだったが、今週は130円の大台を回復するなど上昇再燃となった。米金利上昇再燃が主因か。 とくに金融政策を反映する米2年債利回りは、FFレート引き上げが2.5%未満にとどまるといった見方が強まらない限り、低下には自ずと限度がある。それを再確認したことが、今週に入ってからの「米金利上昇=米ドル高」再燃の最も大きな要因だったのではないか。
パウエル「3度目の豹変」というリスク
パウエル議長は、FRB議長就任後、金融政策方針を主に2回大きく転換した。それは、世論や政治に過敏な点が特徴的で「豹変」という印象が強かった。 その意味では、世論や政治動向次第では、現在のインフレ・ファイター姿勢から「3度目の豹変」となる可能性には注意が必要だろう。
続・ユーロ安・米ドル高は終わったのか?
4月以降、ユーロが1.08米ドルを割れてから一段安となった動きは、金利差からかい離したものだった。その意味では、最近にかけてのユーロ反発は、金利差から見た「下がり過ぎ」の反動とも言えそう。 その上で、テクニカルには1.08米ドルを巡る攻防が重要な分岐点になる可能性あり。
アベノミクス円安とFRB米ドル高の違い
2015年にかけて125円まで米ドル高・円安となった動きは、日本の金融政策を反映する日2年債利回りと高い相関性があった。その意味では、当時の円安はアベノミクスの主役だった「黒田緩和」がもたらした「アベノミクス円安」だった。 一方、今回の米ドル高・円安は、日2年債利回りとの関係性はなく、米金融政策を反映する米2年債利回り急上昇と連動したといった意味では「FRB米ドル高」と言えるだろう。
目前に迫った「真の黒田シーリング」
2015年6月、日銀の黒田総裁は円安の幕引きに動いた。この円安の限度、「黒田シーリング」は、実質実効レートを少し「加工」した「真の黒田シーリング」とすることで今も参考になりそう。 実は、一気に130円を超える円安となったことで、そんな「真の黒田シーリング」目前に迫る動きとなった可能性がある。
ユーロ安・米ドル高は終わったのか?
ECB7月利上げ説などが広がる中で、ユーロは今週にかけて比較的大きく反発した。ユーロ安は1.03米ドルで終わったのか、飽くまで一時的な調整なのか。 それを見極める鍵は、米金利と米国株の動向ではないか。
続・予め考える米ドル高が終わる「条件」
130円を超えた米ドル高・円安は、「行き過ぎた動き」の可能性が高そう。ただそれは、基本的に米インフレ対策強化に伴う米金利急騰によって正当化されてきた。 逆に言えば、行き過ぎた米ドル高・円安の終了は、米インフレ動向を受けた米利上げ見通しの変化が最大の鍵を握るのではないか。
2015年「黒田けん制」に近づいた円安
円の実質実効レートの5年MAかい離率は、経験的にマイナス20%以上に拡大すると一巡し、円安終了となってきた。同かい離率は、4月まさにマイナス20%に急接近した。 2015年6月、同かい離率がマイナス20%以上に拡大したところで、黒田日銀総裁が「普通ならさらなる円安はない」と発言し、円安終了となった。直近、当時の局面にかなり近付いてきた。
続・円安への米国株安の影響とは?
2021年まで続いた「米国株安=円高」といった関係は、この数ヶ月大きく崩れた。ただ、クロス円の下落や米金利低下を通じ、米国株安は一定程度の円高をもたらす可能性がある。 米国株安を主導するナスダック指数は、90日MAかい離率で見ると、下落局面の重大な分岐点を迎えている可能性あり。
FRBが「間違える」という可能性
2003年、「グローバル・デフレ」論が広がる中で大きく低下していた米金利は、6月FOMCをきっかけに、行き過ぎた悲観論の修正が本格化し、米金利は急反騰となった。 その時とは方向が反対だが、最近にかけてのFRBインフレ対策が「行き過ぎ」だったとなるようなら、金利や為替にも大きく影響する可能性があるだけに要注意。
予め考える、米ドル高が終わる「条件」
記録的ペースで展開した米ドル高・円安が一服となった。一服にとどまらず、米ドル高終了となる「条件」を予め考えてみる。 米ドル/円の上昇が終了、下落への転換となる条件は、米金利の低下であり、その鍵を握るのは米インフレ動向を受けた米利上げ見通しということになるのではないか。
続々・豪ドル高・円安の少し気になること
先週にかけての急落により、90日MAかい離率を参考にすると、豪ドル/円の短期的な「上がり過ぎ」はほぼ是正された可能性がある。 ただ5年MAかい離率などを参考にすると、4月の豪ドル高値96円台は、中長期的にも「上がり過ぎ」懸念が強そうだ。豪ドル高再燃となっても、この間の豪ドル高値を大きく更新できるかは微妙。
「物価高の円安」、40年前との類似と相違
近年も、何度か円安大相場はあったが、1990年以降では物価安定、むしろデフレ下で起こったものだった。 「物価高の円安」は約40年ぶり。この先の行方の参考に、約40年前の「物価高の円安」で何が起こったかについて検証する。
対円以外での米ドル高「余地」の考え方
対円ほどではないものの、円以外の通貨に対しても米ドル高が広がっている。 52週MAとの関係を参考にすると、ユーロ/米ドルが「パリティ」割れへ向かう可能性も十分ありそう。また、豪ドル/米ドルも0.65米ドル割れへ一段安の可能性に注目。
米ドル/円が円高に戻る程度はどこまでか
「怒涛の円安」もさすがに一段落の兆しが出てきた。ではどこまで円高に戻す可能性があるか。 テクニカルな観点や金利差との関係などから考えると、125円にどこまで接近するかが大きな目安ではないか。
「資産・生活防衛の外貨投資」という考え方
円安が急速に進んできた。この円安は、物価高と並行して起こっているといったことから、庶民生活への悪影響が問題視されやすい。またウクライナ危機などをきっかけに、「安全資産の円買い」も変化した。 以上のようなことから、これまでなかったほど、円安局面での資産・生活防衛を目的として外貨投資を考える人が増えている可能性に注目。
円安への米国株安の影響とは?
2022年3月頃からそれまでの「株安=円高」の関係が顕著に崩れ、米ドル/円への株価動向の影響は薄れている。 そうは言っても、とくに米国株の下落が拡大することで米金利低下をもたらすようなら、「米金利低下=米ドル安・円高」といった具合に、最近にかけての急ピッチの円安に対するブレーキ役となる可能性はありそう。
ユーロ/米ドル「パリティ割れ」を考える
ユーロ安・米ドル高が続いているが、長期金利差などからはユーロ「下がり過ぎ」懸念もあるものの、米国とユーロ圏の金融政策の違いの影響が大きいと言えそう。 一方で52週MAや5年MAとの関係を見る限り、ユーロ「下がり過ぎ」懸念は未だ強くないだけに、金融政策を反映する短中期金利差などを受けて、1ユーロ=1米ドル「パリティ」割れの可能性もありそう。
主な外貨の対円割高リスクを検証する
多くの国が利上げに転換する中で、日本は金利上昇を容認できないという金融政策の方向性の違いから為替相場の円安を説明することが多い。 そういった中、円安の裏返しで円に対して多くの通貨が上昇、さらに割高を拡大する動きとなっているが、そんな割高の程度には自ずと違いが生まれてきている。
FOMC利上げ、0.5%と0.75%の違い
FOMCは4日、0.5%の利上げを決定した。前回の0.5%利上げは、22年前の2000年5月で、結果的にはITバブルの株高是正をダメ押しした役割となった。 0.75%利上げは、1990年以降では1994年11月のたった一度しか行われていない。当時はいわゆる「超円高」局面。その意味では、当時の0.75%利上げは、「超米ドル安」阻止といった「特別な利上げ」だった可能性あり。