ストレスが溜まる金融市場

インフレ対策の米大幅利上げが続く中で、米国株の下落再燃となっている。また、為替においても、英トラス新政権の経済政策をきっかけに英ポンドが急落するといった場面があった(図表参照)。

【図表】英ポンド/米ドルの日足チャート (2022年8月~)
出所:マネックストレーダーFX

このように株、為替といった金融市場で下落相場が目立つ中で10月を迎えているというのは、気になるところだ。というのも、これまで10月は「暴落の印象が強い月」といった側面があったからだ。必ずしも下がることの多い月ではなかったものの、強烈に下がった記憶のあるタイミングは10月だった。

例えば、歴史的な株大暴落として、ブラックマンデー、ブラックサーズデーといった言葉があるが、前者は1987年10月19日、NY発世界同時株暴落であり、後者は1929年10月24日、世界恐慌の幕開けとなったNYダウの大暴落だった。

株だけでなく、為替、米ドルの「10月大暴落」も印象的だった。たとえば2008年10月24日は、リーマン・ショックにおける最悪の米ドル暴落が起こった日。また、1998年の10月には、米ドル/円がたった3日間で25円も大暴落するといったことがあった。

そのような「不吉な10月」において、2022年は暴落を回避することができるだろうか。気になることは少なくない。インフレ対策の米利上げが続いた場合、米国株はどこまで耐えられるのか。また、英ポンドはBOE(イングランド銀行)による債券相場の買い支え、そしてトラス新政権の減税案撤回などの動きはあったものの、一旦火のついた英ポンド売りが、果たして「無かったこと」になるだろうか。

この中でも、英ポンド暴落は、理屈的にはインフレ対策を行っている中で、そのポリシー・ミックスとしては、金融引き締め+財政引き締めが基本のところ、減税といった財政緩和に動こうとした、言わば「邪道」がやり玉にあがったと考えられる。ただ、マーケットの反応は、単に英ポンドの材料に反応したという以上に、金融市場全般に渡るストレスを反映した結果のようにも感じられた。

金融市場において全体的にストレスが溜まっている中で、「不吉な10月」を迎えているという状況は少し気になるところである。