下方修正される米79GDP予想

米7~9月期GDPについて、予想の下方修正が広がっているようだ。定評のあるGDP予測モデルであるアトランタ連銀のGDPナウは、7~9月期GDPの前期比年率予想について、一時の2%以上から、27日に更新した最新の予想は0.3%に下方修正した。

米GDPは、4~6月期にかけて2四半期連続のマイナス成長となり、「テクニカル・リセッション(景気後退)」が話題になったが、仮にそれが3四半期連続に延長するようなら、名実ともにリセッション入りの可能性が改めて注目されそうだ。

米国のリセッションは、米ドル/円にも大きく影響しそうだ。実際に、4~6月にかけて2四半期連続でマイナス成長、「テクニカル・リセッション」が注目された7月末以降、米ドル/円は米大幅利上げシナリオ変更を期待する形で、139円から130円割れ寸前まで急落となった。

その後、米ドル/円が反発に転じ、最近にかけて140円を大きく超えてきたのは、「テクニカル・リセッション」でも、FRB(米連邦準備制度理事会)大幅利上げ姿勢が変わらないことを確認したことが大きかっただろう。

実際に、米国の金融政策を決める会合であるFOMC(米連邦公開市場委員会)が公表した政策金利、FFレートの2022年末の見通しは、6月会合の3.4%程度から9月会合では4.4%程度に大きく上方修正された。

2四半期連続のマイナス成長「テクニカル・リセッション」でも、FRB大幅利上げ姿勢は変わらないことが確認されたわけだが、もしも3四半期連続マイナス成長となった場合はどうだろうか。

上述のように、7~9月期GDPについてのGDP予測モデルの予想が大きく変化しているのは、同期間の金利上昇、株価急落など金融マーケット変動の影響も大きいのではないか。それらは、住宅や個人消費などへの悪影響が大きいと考えられる。

米ドル/円は米金融政策を反映する米2年債利回りと高い相関関係が続いてきた(図表参照)。上述のように、FFレートが2022年末にかけて4.5%程度まで引き上げられ、それを織り込む形で米2年債利回りも4.5%程度まで上昇するなら、これまでの関係からすると、米ドル/円は145円を大きく超えて、150円を目指す見通しになる。そんな米ドル高・円安見通しに「変化」をもたらす可能性があるのは、米マイナス成長の長期化、リセッションの可能性の現実化ということではないだろうか。

【図表】米ドル/円と米2年債利回り (2022年3月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成