吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
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米利上げ終了の「条件」を考える
現在FRBは、約40年ぶりの本格的なインフレを是正するべく利上げを続けているが、その利上げを終了する具体的な2つの「条件」について考えてみる。
1つはもちろん、インフレ是正の進捗を示すCPIなどインフレ率の低下だろう。そしてもう1つ、金融政策との関係が深い失業率の動向にも注目してみた。

FOMCで変更された今後のシナリオ
10月21日WSJ記事などをきっかけに、マーケットにはFOMCに対する「ハト派」期待が広がったが、そのうちの一部は今回のFOMCやFRB議長会見を受けて大きく修正を余儀なくされたようだ。
これを受けて、米国の政策金利、FFレートの最終到達点は5%以上に上方修正される可能性が出てきた。そうであれば、米金利上昇に連れた米ドル高・円安も155~160円まで続く可能性を考える必要があるだろう。

FOMC「利上げ幅縮小」議論を考える
FRBの意向の非公式な代弁者といった意味の「FEDスポークスマン」、WSJ紙記者の記事以降、12月FOMCからの利上げ幅縮小との見方が基本になってきた。
最近にかけ、なお景気指標の急悪化は見られず、インフレ指標も「高止まり」が続く中で、11月FOMCで今後の利上げ幅縮小の見通しが確認されるか見極めたいところだ。

豪ドル安の理由とその注意点
豪州は10月、欧米に先駆ける形で利上げ幅の縮小を決めた。このような金融政策の違い、「利上げの差」が、この間、豪ドル安値更新となってきた主因と考えられる。
11月1日の金融政策会合でも、豪州の利上げが予想通り0.25%にとどまるなら、「利上げ差」を受けた豪ドル安再燃の可能性に注目。その一方で、徐々に豪ドル「下がり過ぎ」懸念も出てきた点には注意が必要か。

円安終了後の「円高シナリオ」を考える
歴史的な円安が展開しているが、いずれはこの円安も終わりを迎えることになるだろう。
では円安が終わった後の円高の動きはどのようなものになるか。それについて、今回は「行き過ぎ相場」終了後のプライスパターンに注目して考えてみたい。

悪化予想が急増しそうな米10月景気指標
来週から11月に入り、米国の10月景気指標の発表が始まるが、悪化予想が急増しそうな見通しとなっている。
一方で、長期金利は短期的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっており、景気指標の悪化には金利低下で過敏に反応しそう。それは短期金利にも波及、米金利全般の低下につながるリスクに注目。

円防衛介入強化、「中曽根ボンド」という歴史
円安阻止介入では、外貨売り介入の資金が有限である点が懸念される。
かつての外貨売り介入局面でも、介入資金の枯渇までに追い込まれたことはなかったが、介入強化策として検討されたことがあったのは、当時の総理大臣の名前から「中曽根ボンド」と呼ばれた外貨建て債券発行策の検討だった。

コロナ禍と「行き過ぎた円安」の関係
米ドル/円は1980年以降5年MAのおおむね±30%の範囲で循環してきた。これは、円安でも円高でも、行き過ぎた動きが拡大すると、逆方向への反作用が強まることが大きいと考えられる。
円安が行き過ぎると、輸出増加やインバウンド拡大で円高圧力が強まる。今回の場合、「コロナ禍」の影響でそのような円高圧力拡大が遅れたことも、行き過ぎた円安が長期化した一因ではないか。

介入当局が意識する米金利とポジション
米ドル/円はこれまで、基本的に米金利と連動してきた。このため米金利上昇局面では米ドル売り介入の効果は限られ、米金利低下局面では効果が大きくなりやすい。
日本の通貨当局でも、介入戦略を考える上で米金利の動向を意識している可能性がある。そしてもう1つ、米ドル買い・円売りへの偏りが大きくなってきた点にも注目している可能性がある。

米ドル高・円安、155円ピークの可能性
10月21日、複数のFOMC関係者の発言などから、米国の政策金利であるFFレート引き上げの最終到達点は5%を大きく上回らないとの見通しとなってきた。
これを米金利と米ドル/円の関係に当てはめると、米ドル高・円安は155円前後で終わるといった見通しになる。

150円に達した円安が一服する時
ついに米ドル高・円安は1990年以来32年ぶりの150円を記録した。日本の通貨当局の米ドル売り介入でも米ドル高を止められないといった見方も多い。
ただここまでの米ドル高は米金利上昇にリードされた面が強い。その意味では、米金利上昇が一服すると、米ドル高・円安も一服する可能性はあるだろう。

【ご質問に回答】円安160円の「条件」と「意味」
最近、「米ドル高・円安はこのまま160円まで続くのか?」というご質問を受けることが増えている。そこで今回は、米ドル高・円安が160円になる「条件」、さらにその「意味」について考えてみる。

介入戦略で参考にしたい過去2回の為替介入
米ドル高・円安が続く中で、日本の通貨当局による米ドル売り・円買い介入への注目も高い。
日本の為替介入戦略を考える上で、2003~2004年、2010~2011年といった過去2回の介入局面は参考になるかもしれない。

新興国通貨高の「謎」を考える
メキシコペソや南アフリカランドなど新興国通貨は対円で上昇傾向が続いている。米金融引き締め局面では、新興国通貨は急落、「通貨危機」になったことも考えると、この新興国通貨高は「謎」でもある。
対米ドルで先進国通貨以上に新興国通貨が選好されている要因に金利水準の高さはありそう。ただ、金利はリスクの裏返しでもある。リスクテークが限界に達すると、新興国通貨の高い利回りも、リスク面として意識される可能性は要注意か。

1990年「160円の円安」を振り返る
米ドルは、ついに1998年の高値である147.6円も上回り、1990年以来、実に32年ぶりの水準まで上昇してきた。
そこで今回は、この32年前、1990年にかけて展開した米ドル高・円安について振り返ってみる。結論的に言うと、今回とはかなり異なる米ドル高・円安だったと言えそうだ。

未だ見えない「米利上げ=米ドル高」の終わり
10月12日、13日発表のPPI、CPIが予想以上となったことで、インフレ対策の米利上げも未だ終わりの見通しが見えなくなっている。
FFレートが年末にかけて4.5%以上に引き上げられるなら、米ドル/円は150円を超える見通しになり、円安阻止介入との攻防も改めて注目されそう。

対円で最初に米ドル売り介入となった理由
日本の通貨当局は、主要国の中で最初に米ドル売り介入に動いたが、それは主要通貨の中でも円に対する米ドル高が「突出」していたということがあっただろう。
ユーロ/米ドルが0.9米ドル割れに向かうなど円以外の通貨に対する米ドル高が一段と進むようなら、G7内で「米ドル高問題」が利害の一致に向かう可能性はありそうだ。

暴落の記憶が強い10月、2022年は?
10月は「暴落の印象が強い月」といった側面があった。必ずしも下がることの多い月ではなかったものの、強烈に下がった記憶のあるタイミングは10月だった。
金融市場において全体的にストレスが溜まっている中で、「不吉な10月」を迎えているということは、少し気になるところではないだろうか。

CPIが目標となった40年前のインフレ退治
40年前の米インフレ局面では、結果的にCPI前年比上昇率がピークの15%程度から10%割れとなってFRBは利上げを終了した。インフレ是正の目標にCPI等の物価上昇率が具体的に意識されていた可能性があった。
今回は、CPI上昇率がいくらまで低下したらFRB利上げは終了となるのか。1年前にパウエルFRB議長が「インフレは一時的」との見解を撤回した5%に注目したい。