先週(7月13日週)はハイテク株を中心に下落、決算発表を前に警戒感強まる
先週(7月13日週)の米国株市場では、インフレ再燃への警戒、地政学リスク、AI関連株の割高感が重なり、これまで相場をけん引してきたハイテク株を中心に利益確定売りが広がりました。決算発表を前に投資家の警戒姿勢が強まり、S&P500は週間で1.55%安、ナスダック100は4.13%安となりました。
7月14日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.4%低下、前年比3.5%上昇と市場予想以上に鈍化し、コア指数(前年比)も2.6%まで低下しました。原油価格の上昇が続かなければ、FRB(米連邦準備制度理事会)が追加利上げを急ぐ必要性は低いとの見方が広がり、金利面では株式市場を支える材料となりました。
堅調な金融セクターと二極化するIT・AI投資への評価
企業決算では、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]、バンク・オブ・アメリカ[BAC]、シティグループ[C]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]、ゴールドマン・サックス[GS]など、大手銀行の業績が総じて市場予想を上回りました。株式取引収入の増加も確認され、景気や金融市場の基調が必ずしも弱くないことを示しました。
一方で、個別企業の決算に対する市場の反応は厳しくなっています。アイビーエム[IBM]の株価は、業績見通しへの失望から7月14日には1日で25%を超える急落となりました。これは企業のIT支出そのものが消えたというより、従来型システムへの支出から、AI向け半導体やメモリー、データセンター関連投資へ資金が移っていることを象徴する動きと言えます。
半導体・AI関連を襲った「ポジション調整」の正体は?
相場の内部では、これまで上昇を主導してきた銘柄へのポジション調整が急速に進みました。過去の上昇率が高い銘柄を組み入れる「モメンタム戦略」のETFは大きく下落し、7月に入ってからの下落率は7%台に達しました。主要指数だけを見ると比較的落ち着いている場面でも、これまでの勝ち組銘柄では利益確定売りが強まっていたのです。
特に売り圧力が強かったのが半導体株です。台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]やASMLホールディング[ASML]は、AI関連需要の強さを示す決算を発表しましたが、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は先週(7月13日週)ほぼ10%の下落となりました。好材料が出ても株価が上がらなかったのは、業績が悪化したためではなく、株価にすでに織り込まれていた期待が高すぎたためです。
ネットフリックス[NFLX]の決算への失望に加え、中国のMoonshot AIが発表したオープンソースモデル「Kimi K3」も、米国のAI関連企業に対する競争懸念を強めました。AI分野では技術革新が続く一方、米国企業だけが圧倒的な優位性を維持できるのかという点も、投資家が改めて意識し始めています。
ただし、今回の下落はAI投資サイクルの終わりを示すものではないと考えます。むしろ、短期間に上昇した銘柄の割高感や、投資家のポジションの偏りが修正された局面とみるべきでしょう。
今週(7月20日週)はアルファベット[GOOGL]とテスラ[TSLA]の決算に注目
今週(7月20日週)の最大の焦点は、アルファベット[GOOGL]とテスラ[TSLA]が発表する決算です。アルファベットでは広告とクラウドの成長に加え、AIデータセンターへの設備投資が収益拡大につながっているかが問われます。
テスラでは自動車事業の利益率、FSD・ロボタクシー、Optimus、そして急増する設備投資とキャッシュフローのバランスが注目されます。インテル[INTC]やテキサス・インストゥルメンツ[TXN]の決算も、半導体需要がAI向けだけでなく、幅広い用途へ広がっているかを確認する材料になります。
経済指標は比較的少ないものの、7月23日に新規失業保険申請件数、7月24日に7月のPMI速報値と6月の新築住宅販売が発表されます。さらに、翌週7月28~29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、原油価格と米国債利回りの動きが株式市場の上値を左右しそうです。
短期的には値動きの荒い相場が続く可能性がありますが、企業利益の拡大が続く限り、中長期的な上昇基調は維持されると考えています。
