S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成される株価指数です。構成銘柄に採用されるには米国企業であることが前提で、それは米国内での売上高や固定資産、本社所在地などで判断されます。

このほかの要件には
・過去4四半期の純損益の合計が黒字で、直近の四半期の純損益が黒字
・グローバル産業分類標準(GICS)の分類に基づく産業バランスが適切

などがあります。また、時価総額の基準は2025年7月に「227億ドル以上」に引き上げられ、その後もこの水準は維持されています。

今回は2026年9月21日からS&P500に加わるブルーム・エナジー[BE]、イルミナ[ILMN]、エバーピュア[P]に加え、2026年8月に採用されたレディット[RDDT]、6月採用のマーベル・テクノロジー[MRVL]をご紹介します。

ブルーム・エナジー[BE]、AIデータセンターの電力需要で急成長

ブルーム・エナジー[BE]は、燃料電池を中心に分散型エネルギーシステムを提供する企業です。主力製品の「ブルーム・エナジー・サーバー」は、天然ガスやバイオガス、水素などを利用して電力を作り出す固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、発電所から送電網を通じて電力を供給する従来型の方式とは異なり、消費する場所の近くで電力を供給できる点が強みです。

同社が注目されている背景には、人工知能(AI)向けデータセンターの急速な拡大があります。AI処理に利用する画像処理装置(GPU)などの半導体は大量の電力を消費するため、データセンターでは電力の安定確保が大きな課題になっています。

送電網の容量不足や許可取得の遅れで電力網への接続待ちは長期化しており、オンサイト(現地設置型)発電へのシフトが進んでいます。電力供給のボトルネックを回避し、事業計画の遅延を防ぐため、企業はオンサイト発電に頼らざるを得ないのが実情です。ブルーム・エナジーのシステムは、電力網への負荷を抑えながら比較的短期間で発電設備を設置できるという特性で、こうした需要を取り込んでいるのです。

事業は急速に成長しており、2025年12月期の売上高は前年比37%増の20億2000万ドルと初めて20億ドルを超えました。会社側によると、AIデータセンター業界からの需要が大きく寄与しています。また、受注残高は前年の2.5倍に拡大しました。

地域別では米国での展開が中心ですが、韓国のSKグループと戦略的に提携し、韓国でも682メガワット(MW)相当の納入実績を上げています。

【図表1】ブルーム・エナジー[BE]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は12月
【図表2】ブルーム・エナジー[BE]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年9月18日時点)

イルミナ[ILMN]、DNA解析を支えるゲノム企業

主力はDNAシーケンサー事業

イルミナ[ILMN]は、DNAシーケンサーや試薬などを提供する企業です。生命科学研究や創薬、臨床診断などの分野に向けて、遺伝情報を高速かつ大量に読み取るための装置、消耗品、サービスを提供しています。

主力となるのがDNAシーケンシング事業です。研究機関や製薬会社、医療機関などが同社のシーケンサーを導入し、遺伝子の配列を解析します。装置を販売するだけでなく、解析に必要な試薬や消耗品、サービスも提供しているため、装置の普及が進むほど継続的な収益につながりやすいビジネスモデルとなっています。実際、2025年12月期の売上構成では、消耗品が全体の74%と圧倒的に大きく、機器本体が11%、サービスその他が15%を占めています。

競争力の源泉は高い技術力

イルミナの競争力の源泉は、独自の合成によるシーケンス(SBS)法をはじめとする高度な技術力にあります。ヒトゲノム解読コストを大幅に引き下げた高性能シーケンサー「NovaSeq X Plus」や卓上型の「MiSeq i100」シリーズなどのプラットフォームを展開しています。現在の成長を支える製品の1つが、高性能シーケンサー「NovaSeq X」です。主力製品を軸に2026年4-6月期には売上高が前年同期比9%増の11億5900万ドルに伸びています。

ソリューションは幅広い分野で活用されています。特にがんゲノム領域では、液体生検(リキッドバイオプシー)による微量のがん検出や治療標的の特定に貢献しています。また、非侵襲的出生前遺伝的検査(NIPT)などの生殖医療や希少疾患の研究、農学分野までカバーしています。

人工知能(AI)関連銘柄が注目される中、イルミナは創薬や医療の高度化を支える「生命科学の基盤企業」といえます。ゲノム解析が研究用途から臨床用途へ広がることで、長期的な成長余地を確保できるかがポイントです。

【図表3】イルミナ[ILMN]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は12月
【図表4】イルミナ[ILMN]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年9月18日時点)

エバーピュア[P]、AI時代のデータを支えるストレージ企業

主力製品はSSDを利用したフラッシュストレージ

エバーピュア[P]は企業向けの統合ストレージとデータ管理プラットフォームを提供するIT企業です。旧社名はピュア・ストレージで、2026年2月に社名を変更しました。

主力製品はソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を利用したフラッシュストレージです。企業が保有する大量のデータを高速に保存・処理するためのインフラを提供しています。オンプレミス、クラウド、エッジなどに存在するデータを一元的に管理するデータ管理プラットフォーム企業への転換を進めています。

背景にあるのが人工知能(AI)の普及です。AIを活用するには大量のデータが必要ですが、データが複数のシステムやクラウドに分散していると、AIで利用するまでに多くの手間がかかります。エバーピュアは、データの保存だけでなく、データを探索、分類、管理し、AIが利用しやすい状態にする機能を強化しています。2026年にはデータインテリジェンス企業1touchの買収も完了し、データ管理機能を拡充しました。

ハードウエアとソフトウエアを高度に統合

事業面の強みの源泉はハードウエアとソフトウエアを高度に統合した独自の技術にあります。すでに大手のハイパースケーラーで採用されており、データセンターの消費電力と設置面積の大幅削減などに貢献しています。

AI時代には、計算能力だけでなく、そのAIが学習・推論するためのデータをどのように保存し、管理するかも重要になります。エバーピュアは、そのデータ基盤を担う企業として成長を目指しています。

【図表5】エバーピュア[P]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は1月
【図表6】エバーピュア[P]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年9月18日時点)

レディット[RDDT]、広告中心に業績拡大 AI学習にも有効活用

ソーシャルメディア「Reddit」を運営、主力事業は広告ソリューション

レディット[RDDT]は、ユーザー同士がテーマごとのコミュニティーを形成し、情報や意見を交換する場を提供するソーシャルメディア企業です。趣味やスポーツ、ゲーム、投資、ニュースなど非常に幅広いテーマのコミュニティーが存在し、ユーザーが投稿やコメントを通じて情報を蓄積しています。

主力事業は関心事や会話の文脈に連動した広告ソリューションです。レディットのユーザーは特定のテーマや情熱を通じて集まります。そのため個人識別情報による追跡(トラッキング)に依存せず、ユーザーが閲覧しているコミュニティの文脈に即した最適な広告の配信が可能です。

例えばキャンプに関する会話に参加している購買意欲の高い層に、アウトドア用品の広告をダイレクトにアプローチすることで、高い投資対効果(ROI)を実現します。

広告事業を中心に業績は急拡大しています。2026年4-6月期には売上高が前年同期比61%増の8億500万ドル、純利益は2.8倍の2億5300万ドルでした。利用者数も伸びており、デイリー・アクティブ・ユニークユーザー数は18%増の1億3030万人、ウィークリー・アクティブ・ユニークユーザー数は5億1460万人と、5億人を突破しています。

蓄積された会話や経験談が価値を持つ

もう一つの注目点が人工知能(AI)との関係です。生成AIが普及する一方、インターネット上ではAIが自動生成したコンテンツが増加しています。その中で、実際の人間による会話や経験談が蓄積されたレディットの情報には独自の価値があります。同社は検索やAI関連企業との提携などを通じて、こうしたコンテンツの価値をさらに高める可能性があります。

さらにAI時代における貴重な「データ資産」としての優位性も持っています。プラットフォーム上には20億件以上の投稿と220億件以上のコメントが蓄積されており、大規模言語モデル(LLM)などのAIの学習に不可欠なデータ源となっています。

【図表7】レディット[RDDT]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は12月
【図表8】レディット[RDDT]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年9月18日時点)

マーベル・テクノロジー[MRVL]、AIデータセンター用半導体で脚光

顧客の用途に合わせて設計するカスタム半導体などを展開

マーベル・テクノロジー[MRVL]は、データセンターや通信ネットワーク向けの半導体を提供する企業です。特に顧客の用途に合わせて設計するカスタム半導体や高速通信に必要な光・電気変換関連製品などに強みを持っています。

人工知能(AI)データセンターでは、画像処理装置(GPU)だけでなく、GPU同士やサーバー、ネットワークを高速につなぐための半導体も重要です。AIモデルの規模が大きくなるほど、データセンター内部でやり取りされるデータ量も増えるため、高速・大容量の通信を実現する半導体への需要が高まっています。

総合的な半導体ポートフォリオに強み

マーベルの競争力の源泉は、コンピューティング、ネットワーク、セキュリティー、インターコネクト、ストレージにまたがる総合的な半導体ポートフォリオです。超高速電子回路やシリコンフォトニクス、広帯域メモリー(HBM)などを集積し、顧客の仕様に合わせた「カスタムASIC(特定用途向け集積回路)」に強みを持ちます。また、データセンター内や都市間を結ぶ「インターコネクト」分野で超高速データ伝送を実現するための製品を提供しています。

業績はこうしたAIインフラ投資の拡大を取り込んでいます。2026年5-7月期は売上高が前年同期比37%増の27億3900万ドル、純利益が58%増の3億800万ドルと急成長しています。中でもAI関連のカスタム製品や光電気製品への需要が成長をけん引し、データセンター向け売上高は46%増の21億7200万ドルに伸びています。

【図表9】マーベル・テクノロジー[MRVL]:業績推移(単位:百万ドル)
出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
※期末は1月
【図表10】マーベル・テクノロジー[MRVL]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年9月18日時点)