12月相場は冒頭から波乱含みの幕開けとなっています。暗号資産市場では12月1日朝8時前後から急落が始まり、主要銘柄が一斉に値を消しています。確認したところ、Yearn Financeにおける流動性危機が一因とみられます。約300万ドル規模のハッキング被害報告を契機に、流動性が急速に萎み、ロングポジションの連鎖清算が発生。結果として4億ドル超の強制決済が走ったようです。

被害額としては比較的小規模ですが、UTC基準では日曜深夜~週明け早朝帯に相当し、グローバル市場の流動性が最も薄い時間帯。指値注文の厚み不足が、下落を一段と加速させたと推察されます。

11月の悲観ムードが尾を引く中でのネガティブ材料は市場心理を再び冷やしかねません。米国ではQT(量的引き締め)が本日から停止され、流動性面では追い風が吹く期待があっただけに、いきなり出鼻を挫かれた格好です。

ビットコイン(BTC)、今週前半は売り圧力が続くか

ビットコイン(BTC)は下降トレンドライン回復ならず、風向きは依然下向き

BTC/JPYは日足ベースで下降トレンドラインおよびSMA30(黄)に上値を抑えられる展開が続いていましたが、今回の急落で上方ブレイクが遠のきました。

過去10日かけて積み上げた上昇分を、わずか数時間で半値近く押し戻した形です。リスク資産全体への逆風も強く、米ドル/円・日経平均ともに失速。米国の主要株価指数も軟調に反応し、QT停止期待の「セル・ザ・ファクト」が起きた可能性も指摘できます。少なくとも今週前半は戻り売り圧力の強い地合いが続くとみます(図表1)。

【図表1】 BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPYの4時間足は地合い悪化が鮮明、戻り売り優勢

SMA90(水色)の下に潜り込み、チャート形状は明確に悪化しました。11月26日の急騰を全戻ししたことでショート勢に優位な局面が構築されています。MACDもゼロライン割れ寸前でモメンタム低下が顕著です。

11月21日の安値再トライを視野に入れる展開で、短期的には「戻ったら売り」がセオリーとなりそうです。戻り売りの目安は1400万円付近のレジスタンスラインとサポートラインが引けるポイントを意識しましょう。

【図表2】 BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

イーサリアム(ETH)、40万円ラインが下値目途か

ETHも同様に下降ラインに阻まれ反落

ETHも下降トレンドライン突破ならず反落しました。40万円ラインが再び下値目処として意識される局面です。

MACDはゴールデンクロス直後で、買い指値を巻き込んだ状態からの反転下落となり、このまま安値割れとなれば、ロングのロスカット誘発からの一段安の可能性もでてきます。地合いはかなり悪いと感じます。私自身は、40万円手前まで仮に下落した場合、押し目買いは一旦見送ろうと思います。

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH、4時間足ではSMA30~SMA90が上値抵抗線として機能

4時間足では上昇チャネルの下抜け後、急速に調整が加速中です。テクニカル的には売り一択のチャートに見えます。ロスカット注文を発生させて断続的に続落しやすい地合いだと判断しております。
よってSMA30~SMA90が上値抵抗線として機能しやすく、テクニカル的には売りトレードが無難でしょう。

余力を確保しつつ戻り売りを仕掛け、安値更新シナリオをメインに考える局面再開を予想します。

【図表4】 ETH/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

12月の暗号資産相場は引き続き注意が必要

月替わりは新たなトレンド形成の転換点となりやすいですが、今回は先週の値動きに対して、逆方向に動き出した可能性があります。11月最終週は単なるショートカバー局面だったとすれば、現在は改めて売りトレンド再開の局面と考えられます。

以下の3点に特に留意した上で、今週は特に慎重なポジション管理が求められる1週間となりそうです。

・ レバレッジ低め
・ 戻り売り中心
・ ロングは明確な底打ち確認後