年内最後のビッグイベントを控え、金融政策への思惑が市場を動かす週
年内最後にして最大のイベントは、9-10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)と、18-19日の日銀金融政策決定会合である。今週はその前の週に当たるが日米の金融政策への思惑が市場を動かす要因になるだろう。
米国では景気指標の軟化と新議長候補を巡る人事観測を背景に、利下げ基調が維持されるとの見方が優勢である。今週発表されるISM(製造業景況感指数と非製造業景気指数)やADP雇用統計が極端に強い内容とならない限り、このシナリオが大きく崩れる公算は小さい。一方の日銀は、円安が一時的要因ではなく基調的な物価動向にも波及し得るとの判断が広がりつつあり、12月利上げ観測が徐々に織り込まれつつある。
「米は利下げ、日本は利上げ」という構図で金融株には追い風
「米は利下げ、日本は利上げ」という構図は短期的に円高要因となり、輸出・ハイテク株には上値の重荷となる。一方で、金利上昇の恩恵を受けやすい銀行・保険など金融株には追い風である。先週も銀行業が業種別上位となったが、長期金利が1.8%台をうかがう展開となれば、金融株への資金シフトが一段と鮮明になる可能性が高い。
テクニカル面では、日経平均が25日移動平均線を明確に上抜き、調整一巡からの戻り局面と認識される。今週から中間配当の支払いが本格化し、相場の下支え要因に。基本的に堅調な相場展開を予想する。
国内の企業統計と米国の雇用指標に注目
今週の注目材料は国内の法人企業統計と、米国のISMや11月のADP雇用レポート、チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによる米国企業の人員削減集計などの雇用指標である。ブラックフライデーやサイバーマンデーの消費動向が堅調であれば、個人消費の底堅さが確認され普通に考えればグッドニュースだが、先週は弱い経済指標で利下げ期待が高まり米国株高につながったことを考えれば、判断に迷うところだろう。
まとめると今週の日本株は基調は上向きながら、5万1000円付近で戻り売りが出やすいだろう。日銀の政策次第で円急騰・金利急上昇となるシナリオがあるため、いまからそのリスクを意識して上がったところは早めの利確がでやすい。AI・半導体など高PER(株価収益率)銘柄は戻り売りに押されやすい一方で、銀行・商社・インフラ・高配当などバリュー優位の地合いが続く。
予想レンジは4万9000円-5万1000円とする。
