日本株相場は様々な要素が複雑に絡み合う局面へ

今週の日本株相場は、歴史的な高値を更新した後でもなお残る過熱感と、さらなる上値追いの期待、そして米国発の「AI脅威論」が複雑に絡み合う局面を迎える。先週の日経平均株価は、衆院選での自民党圧勝を受け史上最高値を塗り替え、週足ベースで約2688円もの大幅高を記録した。この急騰により25日移動平均乖離率は過熱の目安とされる5%を超えており、目先は利益確定売りに押されるスピード調整がいつ入ってもおかしくない。ただし海外勢の大幅買い越しが続いていることから先高観も強く、押し目らしい押し目を入れないまま高値圏でのもみ合いとなるのではないかと考える。

「高市トレード」に象徴される政策関連銘柄が賑わう展開に

特別国会が18日に召集される。20日には高市首相の施政方針演説がある。「責任ある積極財政」と財政の持続可能性とのバランスにどのように言及するのかが注目だ。それを受けて、引き続き「高市トレード」に象徴される政策関連銘柄が賑わう展開が予想される。6月に向けて策定される地方創生パッケージや、特別国会でのオフィス容積率緩和に関連する法案提出への思惑から、再開発や自治体DX、地方インフラに関連するセクターに物色の矛先が向かいそうだ。また、10-12月期の決算発表が一巡したことで、個別の材料は乏しくなるものの、3月末の配当権利取りを睨んだ高配当利回り銘柄への資金流入も本格化してくる時期である。

上値を抑える要因となる「SaaSの死」論争と地政学リスクが不安材料

外部環境には神経質な材料が少なくない。米国市場ではAIの進化が既存産業の事業機会を奪うという「SaaSの死」論争が再燃しており、これが国内のSaaS関連や情報サービスセクターの上値を抑える要因となっている。

さらなる不安材料は地政学リスクだ。トランプ米大統領は13日、イランとの核問題を巡る交渉が合意しなかった場合に備え、空母打撃群の追加派遣を指示したと明らかにした。トランプ氏は交渉期限について今後1ヶ月をめどにすると表明しており、今後は中東をめぐる緊張が高まる。

今週は日米ともにGDP速報値が出る。日本では16日に2025年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値が発表される。市場コンセンサスは年率換算で前期比1.5%程度のプラスになる見通し。2.3%減と大きく下がった7-9月期の反動もありプラス成長になる公算が大きい。米政府が9月に税率を下げたことにより輸出が底打ちすると見られている。週明けからポジティブなニュースが出れば、輸出関連株への買いが期待できる一方、円高方向に巻き戻りつつある不安定な為替相場が重石となるリスクもある。

前述の通り、投資主体別の動向を見ると、外国人投資家が大幅な買い越しに転じている。短期的には急騰した過熱感を冷ますもみ合いが想定されるものの、良好な業績進捗率+高市政権の政策期待を背景とした下値の堅さは維持されるだろう。

予想レンジは5万6000円-5万8500円とする。