現在のファンダメンタルズ:短期的には米金利上昇による米ドル買いの動きに

先週(7月7日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円:  144.225円~147.519円    147.423円
・ユーロ/米ドル:1.16626ドル~1.17899ドル    1.16921ドル
・ユーロ/円:  169.884円~172.420円       172.369円

先週(7月7日週)の米ドル/円:米ドル/円は6月23日以来の円安水準

先週(7月7日週)は、トランプ米大統領が新たに提示するとした関税率に注目が集まりましたが、日本は25%と4月当初の数字24%とほぼ同じで、一時トランプ米大統領の発言で出てきていた30、35%という数字にはならなかったことから、市場への影響も限定的なものとなりました。新関税率の猶予期間は7月末までとなり、8月からは新税率が適用されることとなります。日本では先週(7月7日週)、今週(7月14日週)と参議院選に向けて政治面では新たな動きは期待できないため、参議院選終了後から7月末までが協議期間となるでしょう。

また日本としては相互関税以上に個別関税、特に自動車関税25%の部分をなんとかしたいと交渉してきました。しかし、個別関税について米国側は全く譲歩する姿勢を見せていません。このままで行くと8月1日から各国の関税が上がり、9月以降に発表される経済指標にその影響が出てくるとみられます。実際に輸入物価の上昇がどの程度のインフレ要因となるのか、また価格上昇による購買力低下がどの程度の景気減速要因となるのか。エコノミストによって試算はまちまちですが、世界的に0.5%程度GDPを押し下げるのではないかという見方が中心値に思えます。

そうなると、インフレ懸念以上に米国の景気後退懸念が強まり、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)以降の利下げの動きが長期的には米ドル安につながっていくのではないかと思われます。まずは8月1日までに合意する主要国が出てくるのか、合意できない場合に予定通り新関税が適用となるのか。7月後半は、そこまでの流れを見ていくことになります。

7月20日投票日の参議院選挙は与党がギリギリで過半数という見方が多いようですが、今回は野党も議席を伸ばしそうです。また、自民党の人気が低迷しているため、過半数割れで少数与党となる可能性もありそうに思えます。その場合、石破政権は交代となるのでしょうが、金融市場ではその方が望ましいと見ている向きが多そうで、株式市場も思いの外、安定している様子です。

なお、短期的には米金利上昇の動きから米ドル買いの動きが強いのですが、長期的なことを考えると、現在の米ドル高はどこかで頭打ちとなる可能性の方が高いと個人的には考えています。

先週(7月7日週)のユーロ/米ドル:高値更新後の踊り場局面入り

先週(7月7日週)のユーロ/米ドルは、米ドル/円同様に米ドルが底堅い動きでユーロは対米ドルで下げる動きとなりましたが、ユーロ/円での円売りの動きも出たことからユーロ/米ドル自体は緩やかな下げで1週間を終えています。

7月12日にはトランプ米大統領がEUの新関税率を30%と発表、4月に比べ10%ほど高い税率が示されましたが、おそらくは水面下での協議が難航していることから得意の圧力をかけてきた動きと言えるでしょう。週明け7月14日早朝のユーロは対米ドル、対円ともに下げて始まりましたが、8月1日までは交渉が続き、最終的にどうなるかわからないため、動き自体はそれほど大きくはなっていません。

トランプ関税も大詰めを迎え、7月末までどうなるのか見守るしかなさそうですが、ユーロの下げも短期的と見られ、このままずるずると下げていく流れではないように思えます。全般に方向性を読むことが難しくなってきましたが、長期的な米ドル安の見通しには変化はありません。

米ドル/円チャート(週足)、移動平均線上抜け1週目

長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
【週足チャートの見方】
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。

週足チャートでは、先週(7月7日週)は米金利上昇による米ドル買いの動きから20週移動平均線を上抜けての週末クローズとなりました(図表1)。今週(7月14日週)は移動平均線が145円台半ばへと水準を下げてきますので、このまま行くと2週連続で移動平均線を上回って引ける流れになりそうです。値幅的には1円60銭ほどとニュースが一つ出れば下回ることもありそうですから、テクニカルには今週終値と移動平均線との位置関係が最大の注目材料となってきます。

日足チャートをご覧ください。

米ドル/円チャート(日足)、米ドル買いの流れが続けばゴールデン・クロスでの買いを中心に検討か

短期的な判断は日足で行います。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
【日足チャートの見方】
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

週足チャート、日足チャートとも示してあるトライアングルは上側のレジスタンスラインをトライ中です。ここを明確に上抜ける動きになってくるとも週足チャートでの移動平均線上抜けが確定的になりますので、このトライアングルとローソク足の関係も見ておきましょう(図表2)。

2本の移動平均線は7月3日にゴールデン・クロスした動きがそのまま継続しています。短期的には米ドル買いの流れですが、長期的にも米ドル買いということになれば、今後はテクニカルにはゴールデン・クロスでの買いを中心に考えていくこととなります。

ユーロ/米ドルは買いトレンド継続もいったん調整入りの踊り場に

ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=ユーロ買い継続
出所:マネックストレーダーFX
【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=7月7日にデッド・クロス
出所:マネックストレーダーFX

週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持していますが、先々週(6月30日週)に2021年9月以来の高値を更新して以降は踊り場を形成、短期的には調整局面入りとなっています。

日足チャート(図表4)でも先週指摘した通り7月7日にデッド・クロスに転じましたので短期的には次のゴールデン・クロスまでは調整が続くという見方でよいでしょう。現在6月下旬からのサポートラインとレジスタンスラインとで拡散型上昇チャンネル(赤)のサポートラインに近接していますので、まずはここで下げ止まるか下抜けるかを見守る週初となりそうです。

ユーロ/円の長期トレンドもユーロ買い継続も調整が近いか

次にユーロ/円のチャートです。

【図表5】ユーロ/円(週足) 長期トレンド=ユーロ買い
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/円週足では、移動平均線より上での動きも、年初来安値からのサポートラインとそれに平行に引いたラインとの平行上昇チャンネル(黄)の中での上昇も継続中ですが、3月17日週の高値からに引き直しました。これで見ると上側のラインに近接し、動き次第では反落する可能性もあり得そうです(図表5)。

【図表6】ユーロ/円(日足) 短期トレンド=ユーロ買い(5月26日GC継続中)
出所:マネックストレーダーFX

日足チャートでは5月26日のゴールデン・クロス状態が続いていますが、まもなく2ヶ月と驚くほどの息の長さです。さすがにそろそろ調整が入ってもおかしくない状態ですが、青の平行チャンネルを下抜ける動きが出てきた時が調整のきっかけになるとみています。

次のゴールデン・クロス待ちがなかなか発生しませんが、黄色の平行チャンネル上側のラインに近づいているということで、今週あたりにいったんデッド・クロスを挟む流れになると思います。

それでは今週も良いトレードを!