【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 42,197.79  ▼769.83 (6/13)
NASDAQ: 19,406.83  ▼255.66 (6/13)

1.概況

先週末の米国市場では、主要3指数が揃って大幅に反落しました。イスラエルとイランを巡る中東情勢の緊迫化を背景に、株式市場ではリスクオフの動きが強まり、売りが優勢となりました。原油先物価格の上昇を受けてエネルギー関連株は堅調でしたが、原油高によるインフレ懸念から、ここ最近高まっていたFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待が後退し、相場全体の重荷となりました。

ダウ平均は388ドル安の42,579ドルで取引を開始し、その後下げ幅を広げましたが、6月のミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことを受け、一時は買い戻しの動きも見られ、365ドル安の42,602ドルまで持ち直してこの日の高値を付けました。しかし、高値を付けた後は終盤にかけて再び売りが強まり、一時は886ドル安の42,081ドルまで下落して安値を付けました。最終的には769ドル安の42,197ドルで取引を終え、大幅に反落しました。

また、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は255ポイント安の19,406ポイント、S&P500株価指数は68ポイント安の5,976ポイントで取引を終え、いずれも大きく反落しています。

2.経済指標等

6月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は60.5となり、市場予想(53.4)と前回結果(52.2)を上回って、消費者センチメントの回復を示しました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちエネルギーのみが上昇し、1%超の上昇率となりました。一方、その他の10業種はすべて下落し、特に金融は2%を超える下落となりました。また、情報技術、素材、生活必需品も1%以上の下落となりました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は、全30銘柄うちシェブロン[CVX]とジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]の2銘柄が小幅に上昇となりました。一方で、28銘柄が下落となり、特にシャーウィンウィリアムズ[SHW]は5%超下落しました。また、ビザ[V]も5%近く下落したほか、ナイキ[NKE]やアメリカン・エキスプレス[AXP]、セールスフォース[CRM]は3%超下落、ホームデポ[HD]とエヌビディア[NVDA]は2%超下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、オラクル[ORCL]が11日に市場予想を上回る好決算を発表して以降、株価は2日続けて上昇し、13日の取引では7.7%高と大幅に続伸。S&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。また、テスラ[TSLA]は、トランプ政権がドライバー操作なしの自動運転車導入の手続きの簡素化を進めていると伝わり、1.9%上昇しました。一方で、アドビ[ADBE]は第2四半期決算で市場予想を上回る売上高とEPS(1株当たり純利益)を達成し、通期の業績見通しも上方修正したものの、生成AIに特化した新興企業の台頭を前に、同社がソフトウェア業界のリーダーとしての地位を維持できるかについて市場で懐疑的な見方があり、株価は5.3%下落で反応しました。また、マスターカード[MA]は、ウォルマート[WMT]やアマゾン・ドットコム[AMZN]が手数料を回避する手段として、顧客の支払いにステーブルコインを導入することを検討していると報じられたことを受けて、4.6%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から0.04%高い4.40%で取引を終えました。ドル円は、144円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

先週末の米国市場では、中東情勢の緊迫化を背景に、主要3指数が揃って大きく反落しました。この流れを受け、本日の日本市場も軟調なスタートが予想され、日経平均はサポートとして意識されやすい25日移動平均線(37,760円、先週末時点)を下回るかどうかが焦点となりそうです。

今週は、6月16~17日の日銀金融政策決定会合、17~18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に加え、17~18日に開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)にあわせて日米首脳会談も予定されており、中銀イベントや関税協議を含む政治要因に市場の注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)