現在のファンダメンタルズ:米中間の緊張緩和思惑による米ドル買い戻し
先週(4月28日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 141.974円~145.919円 144.861円
・ユーロ/米ドル:1.13079ドル~1.15727ドル 1.13601ドル
・ユーロ/円: 161.706円~164.629円 163.702円
先週(4月28日週)の米ドル/円:為替調整思惑後退で円安に
先週(4月28日週)は週前半こそ米国の弱い経済指標に反応しやすい流れが続き、月曜火曜とNY市場に入ると米ドルが売られやすい地合いとなっていました。しかし、下がったところでの押し目買いも根強く、安値は月曜のNY大引け間際につけた141.974円までとなりました。その後はGWで東京の市場参加者が減少する中で、5月1日の日銀金融政策決定会合に注目が集まりました。
会合結果は予想通り現状維持であったものの、米ドル/円は円売りで反応。植田日銀総裁の会見では、トランプ関税の与える不確実性を理由に追加利上げの時期が後退すると判断され、円一段安の動きとなりました。5月2日(金)東京前場には一時145.919円の高値をつけて米国雇用統計待ちとなりました。
米国雇用統計は項目によって強弱はあったものの、ほぼ想定内の結果に収まりました。為替市場は指標よりもそれまでに進んだ円売りの動きに対して、東京4連休前のポジション調整と思われる円買い戻しが強まりました。しかし、引けにかけては株高によるリスクオンと米金利(10年債利回り)上昇もあり、144円台後半での引けとなりました。
先週(4月28日週)のユーロ/米ドル:米ドル高の動きから1.13079円まで下押し
先週(4月28日週)のユーロ/米ドルは、米ドル/円と同様に、週初の米ドル売りの動きの後は全般的な米ドル買いの動きとともにユーロ売りが進み、木曜NY市場では1.13079円まで下押しが入りました。
5月1日の日銀会合後の円安の動きでは、米ドル/円だけでなくユーロ/円でも円安の動きが強まったことから、米ドル/円に比べると狭い値幅となり、米ドル/円の週間レンジ約4円に対して300pips弱の値幅にとどまりました。また、欧州株が強い動きとなっていたこともユーロ買いの材料とされていました。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンド継続、チャンネル下限から上限へ
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開と年初来高値からのレジスタンスライン(青)とそれに平行なライン内での動きを継続中という流れはそのままです。チャンネル下限を試した後に先週は上限に近づく動きになっていました(図表1)。
2024年9月の安値139.575円を取れなかったこともあり、円高トライの流れはいったん終わった様相です。しかし、植田総裁が会見でも繰り返し指摘したトランプ関税の「不確実性」を考えると、米景気後退懸念のリスクは高く、米ドルが買い戻される局面ではカウンターで円高に動く流れになっていくとみています。なお、レジスタンスラインは146円台から145円台へと下げてきていますので、現状は145円の大台が上値の目処となります。
米ドル/円チャート(日足)、4月23日のゴールデン・クロス状態のまま
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートでは、先週示した4月23日のゴールデン・クロス状態が継続しています。しかし、週足チャートでは下降トレンドを継続中かつレジスタンスラインに近い位置まで水準を上げてきていることから、次のデッド・クロスを待って米ドル/円の売りで入る方針もそのままです。予想以上に円安が進んだ後の調整局面で現れるデッド・クロスとなるため、エントリーとしては悪くないパターンでしょう。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ買い継続、短期的には次の押し目買いを探る流れか
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持していますが、2021年11月以来の1.15ドル台後半をつけたことで目先の高値は見たというチャートの形になってきました。引き続き1.15ドルの大台がレジスタンスとなっていることは変わりません。
日足チャート(図表4)では細かいダマシの動きを挟んで、5月1日にデッド・クロスが発生しました。2本の移動平均線の間隔も狭くダマシが発生しやすい状況ですが、週足チャートの形も日足チャートの形もいったん高値をつけた状態となっていて、短期的にはこの下げが終わった段階で次の押し目買いを探る流れと言えます。
下値の目処は引き続き1.12137ドルを考えておけば良いですが、日足チャートのサポートラインは上がってきているため、サポートとならず下抜ける場合にはもう少し下げが続く可能性もあるでしょう。
ユーロ/円は引き続き日足チャートで判断、上昇トレンド継続中も方向感が出にくい状態
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円週足では移動平均線よりも上にあるためトレンド的には上昇トレンド継続中ではあるものの方向感が出にくい状態は続いています。長期方向性の判断は行わず、短期的な方向性のみ日足で判断します。(図表5)。

日足チャートでは4月7日のゴールデン・クロス状態がずっと続いています。(図表6)。長期のチャートでの方向性判断は避けてはいますが、移動平均線よりも上で推移している状態が続いているため、日足チャートにおける買いの流れが続いていることは矛盾していません。
今回は日足チャートに上昇ウェッジを引いて短期的なサポートとレジスタンスの参考としています。現状はサポートが161円台半ば、レジスタンスが164円台後半となります。
GW明けで営業日は短いですが、今週も良いトレードを!