現在のファンダメンタルズ:米利下げはコンセンサス、日銀利上げも織り込みつつ
先週(11月24日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 155.654円~157.186円 156.163円
・ユーロ/米ドル:1.15015ドル~1.16131ドル 1.15970ドル
・ユーロ/円: 179.884円~181.512円 181.115円
先週(11月24日週)の米ドル/円:日米金利差縮小思惑が上値を抑えた一週間
先週(11月24日週)の米ドル/円は、週初こそ米ドル買い戻しが先行したものの、その後は前週(11月17日週)の「短期的な利下げの余地はまだある」としたNY連銀総裁発言が影響して、12月10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ思惑がコンセンサスとなった影響が大きかったと言えます。FF(米政策金利)先物から算出される利下げ織り込み度も週末に向け87%まで上昇し、12月の米国利下げは確実視される展開となりました。
一方で12月19日の日銀金融政策決定会合における利上げ思惑も高まった週となりました。やはり前週(11月17日週)末に増日銀審議委員が「利上げ判断が近づいている」とインタビューで答えたことから、年明け利上げから年内利上げへと改めて変化しつつあります。野口審議委員による「調整は慎重に行われるべき」という発言もありましたが、現状では日銀は遅くとも1月には利上げを行うという見方になっています。
結果として日米金利差縮小思惑による米ドル売りの動きが出やすい地合いが続き、先週(11月24日週)の米ドル/円は週初の157円台前半から11月26日には一時155円台半ばへと下押ししましたが、週後半は米国の感謝祭休日もあり156円を挟んでのもみあいで一週間を終えることとなりました。
今週(12月1日週)も日米金融政策決定会合に向けての思惑相場となりそうですが、特に日銀が年内利上げに動くのかどうかが最大の注目材料となります。基本的に米ドル/円は戻り売りが優勢な一週間になるものとみています。
先週(11月24日週)のユーロ/米ドル:ユーロは材料不足で蚊帳の外
日米が金融政策決定会合に向けた思惑が続いているのに対して、ECB(欧州中央銀行)は利下げサイクルが終了し、しばらくは現状維持の流れが続くということもあって、先週(11月24日週)のユーロ/米ドルは材料不足の週でした。また週後半は米国が感謝祭の休日ということも重なって、週間レンジは100pips強と動意薄の流れが続きました。
そうした中、11月26日には英予算局による財政予測に反応して英ポンドが乱高下、ユーロ/米ドルもその動きに追随と、外部要因での動きが目立った場面も見られました。円相場は日米金融政策決定会合に向けて動きが出てくるでしょう。今週(12月1日週)も米ドルとしての動き、あるいはユーロ/円で円での動きといった外部要因の影響が大きい週となるでしょう。
米ドル/円チャート(週足)、先々週高値からの調整が続く
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャート(図表1)では、黄色いライン(長期)で示される平行上昇チャンネルを上抜けた状態が続いています。ただ先週(11月24日週)はローソク足の形が調整局面に入ってきたことを示しており、次の日足では短期的には下げの動きになってきていることを考えると、今週(12月1日週)は平行チャンネルの中へ戻す動きになってくるのではないかと考えています。ラインを引き直すとしても今週の動きを見た上での判断となります。
米ドル/円チャート(日足)、2本の移動平均線ははっきりしない動きに
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
米ドル/円は11月11日のゴールデン・クロス以降は11月26日にいったんデッド・クロスとなりましたが、11月28日には改めてゴールデン・クロスとなりました。しかし2本の移動平均線の距離が近く、本日12月1日にはまたデッド・クロスに戻す可能性が高いため、現時点ではチャートの形状を重視すべきかと思います。
日足チャートでは10月17日安値を起点とした平行上昇チャンネル(青)が続いていますが、先週(11月24日週)末には下限に近づきサポートラインが上昇していることもあって、今週(12月1日)初には下抜ける可能性が高まっています。もし本日12月1日の引けがこのチャンネルを下回り、同時に2本の移動平均線がデッド・クロスするようであれば、今週(12月1日)の米ドル/円は米ドル売り目線で行くのが良いと思います。本日12月1日のNYの引けを注視しましょう。
ユーロ/米ドルは下降トレンドに回帰
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は緑の平行上昇チャンネルの中で青の平行下降チャンネル内での動きとみてよいのですが、米ドル/円で米ドル売りが強まるとユーロ/米ドルも少なからず上昇するであろうことを考えると、今週(12月1日週)は青のチャンネルを上抜け、結局緑のサポートラインで反発したという展開になりそうなチャートです。値幅も狭く方向感が出にくい地合いでもありますので、日足など短い時間での判断のほうが動きやすそうです。
日足チャート(図表4)で見ると、2本の移動平均線は比較的綺麗に上下にうねる動きをしています。11月19日のデッド・クロスのあと、11月25日にはゴールデン・クロスへと転じ、現状は青の下降チャンネルの上側レジスタンスラインを試そうとしているように見えます。また緑のサポートラインも上昇していますので、緑と青のトライアングル(三角もちあい)をどちらに抜けるのかも併せてみていきたいところです。
ユーロ/円は史上最高値からの調整局面継続
ユーロ/円です。
ユーロ/円(図表5)は史上最高値をつけた後の調整局面が続いています。それでも長期上昇チャンネル(黄色)も中期上昇チャンネル(青)も続いているため、トレンド自体は上昇トレンドではあります。こちらもユーロ/米ドル同様に現状は日足チャートで見ていくほうが良いでしょう。
日足チャート(図表6)では11月7日のゴールデン・クロス状態が続いたままですが、史上最高値以降のローソク足のパターンを見ているとそろそろデッド・クロスに転じてもおかしくない様子になってきました。
仮に今週(12月1日週)前半どこかのタイミングでデッド・クロスが出るようであれば、調整局面が長引く可能性もあります。短期目線でユーロ/円の売りも良さそうですし、買うならばその後のゴールデン・クロスを待つべきです。米ドル/円の動き次第という感もあるので、今週は米ドル/円の動きをしっかりと追っていきたいところです。
それでは今週も良いトレードを!
