現在のファンダメンタルズ:米政府再開期待よりも景気減速懸念が強まるか

先週(11月10日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円:  153.424円~155.040円   154.513円
・ユーロ/米ドル:1.15412ドル~1.16552ドル 1.16220ドル
・ユーロ/円:  177.353円~179.966円   179.578円

先週(11月10日週)の米ドル/円:米政府期間再開期待で一時155円台乗せも反落

先週(11月10日週)の米ドル/円は、週初は米国政府機関再開が近いとの思惑から米ドル買いの動きが先行、米国株式市場も好材料と捉えたことからリスクオンの動きとなり、米ドル/円相場は円売りの流れが強まりました。NYダウは11月12日に史上最高値を更新し、米ドル/円もほぼ同じタイミングで155円台に乗せ、155.040円と2月以来の円安水準を見ることとなりました。

しかし155円台では円安警戒感もあり、短期筋は回転良く利食いも入れていた様子で、11月12日から11月13日にかけてザラ場ベースで155円台に3回乗せました。しかし後が続かず、トランプ米大統領がつなぎ予算案に署名したことによる材料出尽くし感から、利食いの米ドル売りが続いて急速に水準を切り下げる結果となりました。

また政府機関閉鎖による米国経済への悪影響が、今後発表されることとなる経済指標で確認されるのではとの見方が広がり、11月14日のNY市場では米株の下げに続き米金利が低下する動きが見られ、米ドル/円は一時的ではあったものの週初の水準へと下押しする場面も見られました。引けにかけては米株も米金利も急速に値を戻し、米ドル/円は154円台半ばでの週末クローズとなりました。

今週(11月17日週)は11月20日に雇用統計の発表がありますが、これは政府機関閉鎖前の9月の数字です。今後出てくるであろう10月分の各種経済指標を見ていくことで、閉鎖期間中の影響を考えていくこととなります。ただNYダウも米ドル/円も先週(11月10日週)の高値が目先の高値となり、今週(11月17日週)は戻り売りが出やすくなるのではないかと考えています。

先週(11月10日週)のユーロ/米ドル:ユーロ/円の買いからじり高に

先週(11月10日週)のユーロ/米ドルは、米ドル/円で円安の動きが強まるとともに、ユーロ/円でも円安の動きが強まったことでじり高の動きとなり、11月13日には1.16552ドルまで上昇しました。米政府機関再開の動きによる米ドル買いの動きはユーロ/米ドルではユーロ/円のユーロ買いに相殺された格好になりました。

そのユーロ/円は11月13日に179.966円と180円の大台間近の水準まで切り上げました。米ドル/円では円安警戒感が出る一方で、ユーロ/円ではそうした警戒感も出ないため依然として根強い買いが水準を押し上げられました。現状、ユーロ/円はユーロ開始後の史上最高値水準ですが、テクニカル視点では過去にドイツマルク/円で史上最高値であった188円水準が次のターゲット兼レジスタンスとなると思います。

米ドル/円チャート(週足)、今週も調整局面継続

長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
【週足チャートの見方】
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャート(図表1)では、黄色いライン(長期)で示される平行上昇チャンネルの中での動きを続けていますが、先週(11月10日週)は値幅も狭く、155円の大台をつけたことで調整局面が継続しやすい流れです。引き続きチャンネル上限に近く、年初来高値と年初来安値の76.4%戻し154.485円をつけた後の155円で達成感を強めたと言えるでしょう。

米ドル/円チャート(日足)、11月11日にゴールデン・クロスとなるもデッド・クロスが近そうな形状

短期的な判断は日足で行います。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
【日足チャートの見方】
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

米ドル/円は11月11日にゴールデン・クロスに転じましたが、高値155円台を2日間つけた後に下げた動きでデッド・クロスが近そうな感じのチャートにも見えます。現時点ではまだ買い地合い継続ですが、デッド・クロスとなる場合にはすぐに降りるほうが良いかと思います。買うならば次のゴールデン・クロスを待つ方が良さそうです。

レンジ的には153.50~155.00円とコアレンジを先週から50銭ほど円安方向にシフトさせますが、今週(11月17日週)から経済指標の発表も再開するため、悪い数字が出た場合には注意が必要でしょう。

ユーロ/米ドルは下降トレンド終了が近い可能性も

ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=下降トレンド継続
出所:マネックストレーダーFX

週足チャート(図表3)は青の平行下降チャンネルを上抜けての週末クローズとなりました。かなり短く狭いチャンネルのため当面は緑の緩やかな平行上昇チャンネルの中での動きとして見るのがよいでしょう。まだ週足移動平均線より下での推移のため、明確な上昇トレンドへの転換は2週連続ルールを待つ必要があります。

【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=11月7日のゴールデン・クロス状態が続く
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表4)で見ると青の平行下降チャンネルを上抜けた様子がよくわかります。また、11月7日のゴールデン・クロス状態が現在でも続いていることから直近高値1.16682ドル(10月28日)を試す流れにあると言えます。ユーロ/円でのユーロ買いがユーロ/米ドルの動きにかなり影響を与えていますので、次のユーロ/円の動きも見ながら考えましょう。

ユーロ/円は史上最高値を更新し180円に近づく

ユーロ/円です。

【図表5】ユーロ/円(週足) 長期トレンド=ユーロ買い
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/円は調整局面が早々に終わり、改めて史上最高値更新の流れとなってきました(図表5)。長期的には黄色の平行上昇チャンネル内、中期的には青の上昇ウェッジ内の動きは変わりません。

【図表6】ユーロ/円(日足) 短期トレンド=11月7日のゴールデン・クロス状態を継続
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表6)では11月7日のゴールデン・クロス状態が続き、180円の大台間近の水準まで切り上げてきました。青の上昇ウェッジの上限に近いため、いったんは調整局面に入りそうです。しかし水準が水準だけに、まずは180円の大台を見たいという動きが先行した後、達成感から調整という流れでしょうか。ただ、十分に高い水準にありますので、次のデッド・クロスは要注意となります。

今週も良いトレードを!