トランプ関税政策による市場混乱

・2025年4月に入り、トランプ政権の関税政策発表により市場が大混乱。「トワイライトゾーン」と表現されるような、理屈も通じない、正常さを失った状態となっている。

・2月19日に市場最高値を付けたS&P500は、4月2日の関税リスト発表までに7.7%下落。その後3日間でさらに大きく下落し、最大で21.3%の下落となり、テクニカル的にはベアマーケットに突入した。

・投資家センチメントは極度に悲観的で、ブル・ベア指数では弱気派が58%、強気派が22%。リーマンショック以来の悲観的水準となった。VIX指数も60ドル台を超える異常な水準に達した。

市場リバウンドと金利動向

・4月8日にマーケットが一日で9.5%上昇するなど、ボラティリティが極めて高い状況が続いている。現時点のS&P500は市場最高値から14.3%下落したレベルまで回復している。

・当初、トランプ政権は株価下落より金利上昇を懸念していた。10年債利回りが4月4日に3.85%まで下がった後、再び4.5%を超える水準まで上昇したことが、トランプ米大統領の方針転換のきっかけとなった。

・トランプ米大統領はパウエルFRB議長を「遅すぎる男」「負け犬」と批判。バイデン政権時に急いで利下げを行ったのに対し、自分の時には動かないことへの不満を表明している。

アナリスト予想と企業価値のギャップ

・S&P500とアナリストが予想する企業価値との乖離が拡大。関税発表後、このギャップは約35%まで拡大し、現在も22%のディスカウントが続いている。

・NASDAQ100についても同様に、アナリスト予想との乖離が40%まで拡大し、現在も27%のディスカウントとなっている。平均的には12%程度であることを考えると、明らかに割安感がある。

・今回の下落は企業業績の悪化が原因ではなく政策リスクが原因であるため、政策が明確になれば市場は落ち着くと考えられる。ボトムアップで見たS&P500は現在より約20%のアップサイドを示唆している。

トランプ政権の交渉戦略

・トランプ米大統領の最終目的は交渉に持ち込むためのショック療法であり、すでに75ヶ国以上が交渉を希望している。早ければ来週にも一部の国との交渉結果が発表される可能性がある。

・現在の関税レベルは現実的ではなく、例えばアップル[AAPL]の場合、中国からの部品輸入が不可能になればiPhoneが50万円から60万円になってしまう。中国からアメリカ国内に生産拠点を移転するには少なくとも4.5兆円と3年の期間が必要となる。

・2018年にも同様の状況があり、最終的にG20サミットで米中間の合意に達した経緯がある。今回も同様のシナリオで、トランプ米大統領は最終的に何らかの合意を目指していると考えられる。

米国金融市場の安定性

・大槻奈那氏によれば、トランプ関税問題が金融危機に発展する可能性はあるが、リーマンショック級の規模にはならないと分析している。

・懸念されるのは株式市場よりも債券市場であり、中国が米国債を売却する可能性が市場を不安定化させている。金融引き締め政策下で安定的な保有者が減少しており、ヘッジファンドなどの売却により債券価格が大きく下落する可能性がある。

・仮に問題が発生しても、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]やバンク・オブ・アメリカ[BAC]などの大手金融機関ではなく、リージョナルバンクなどの小規模銀行に限定される可能性が高く、シリコンバレーバンク破綻時と同様、短期間のショックにとどまると予想される。

テスラの将来性

・キャシー・ウッド氏によると、テスラの課題は需要ではなく価格設定にあり、大幅な値下げにより新たな需要層を開拓できる可能性がある。

・6月にテキサス州オースティンで開始予定のロボタクシーサービスが、テスラのビジネスモデルを変革する。現在の低利益率・単発売り切り型モデルから、高利益率・継続収益型(サービス型)モデルへの移行が期待される。

・イーロン・マスクは政府関連の仕事に費やす時間を大幅に減らし、テスラに注力すると発表。テスラの自動運転技術は100%完全自動運転ではないが、個人の専属運転手のような体験を提供しており、身体障害者や高齢者の移動支援にも貢献している。

投資戦略

・市場下落時こそ買いの好機だが、タイミングは誰にも分からないため、ドルコスト平均法で時間分散して投資することが重要。

・マグニフィセント7(※)銘柄のPERは2020年の50倍超から現在は25倍を切るレベルにまで低下しており、2027年の予想EPSを考慮すると22倍程度となる。関税騒動が落ち着いた後の長期的な成長を考えると、現在は非常に魅力的な投資レベルとなっている。

メンタルバランスの保ち方

・マーケット暴落時にメンタルバランスを保つには、短期的な動きではなく長期的な視点で考えることが重要。世界人口は増加し続け、2100年には104億人に達する見込みで、アメリカは経済大国トップ3の地位を維持すると予測されている。

・トランプ政権の影響は一時的なものであり、長期的に重要なのは企業業績。アメリカ企業はイノベーションを生み出し続けており、業績が伸びれば株価も上昇する。

・過去の歴史を振り返ると、ドットコムバブル崩壊やリーマンショックなど多くの苦難を乗り越え、アメリカ市場は常に最高値を更新してきた。そうした長期的な視点を持ち、一時的な下落に過度に反応しないことが大切である。

(※)マグニフィセント7:アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]

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