ウォルマート[WMT]の期待を裏切る決算発表にマーケットが反応

先週(2月17日週)のS&P500は1.66%の下げ、ナスダック100は2.26%の下げとなりました。S&P500は先週2月18日(火)・19日(水)に2025年2回目と3回目の最高値を更新、市場は「好材料」を前提に動いていました。しかし、20日(木)に入り、業績や経済データの発表を受け、経済の重要な部分に「亀裂」が見られ、市場はリスク回避(リスクオフ)の動きを取り始めました。

堅調な市場の流れに水を差したのはウォルマート[WMT]の決算発表でした。他に大きな決算発表がなかったため、投資家の視線はウォルマートの慎重な見通しに集中しました。ウォルマートは、単なる小売の巨人ではなく、米国の消費支出(GDPの約3分の2を占める)を測る指標(ベンチマーク)でもあります。そのため、ウォルマートの決算発表はマーケットに大きな影響を与えますが、今回はマーケットの期待を裏切る内容となりました。

ウォルマートのホリデーシーズン(10-12月期)の業績は好調でしたが、2025年の通年予測はマーケットの期待を下回るものでした。売上高成長率は3~4%のレンジとの予想(2024年のガイダンスと同じ)でしたが、市場予想の4%成長には届きませんでした。CFOのジョン・デビッド・レイニー氏は、「年初の予測としては慎重なアプローチを取るのが賢明」と説明したのです。

しかし、この慎重な見通しがマーケットの不安材料となり、ウォルマート株は8.9%下落しました。ウォルマートの2025年のEPS成長率は6~7%と予想されている中、予想PER は36倍と評価されています。とはいえ、マーケットが過剰に反応している可能性もあります。ウォルマート株は先週決算発表の前日までの1年間で約8割上昇しました。これはハイテク株指数ナスダック100の27%リターンを上回るパフォーマンスを示しています。同社に対するマーケットの期待が非常に高く、株価は「完璧」な決算発表を織り込んでいたといえるでしょう。

また、ウォルマートCFOのジョン・デビッド・レイニー氏は、「インフレの影響は続いているものの、消費者の購買力は依然として強い」ともコメントしています。ウォルマートの2025年のガイダンスは、2024年の初期時点のガイダンスよりも強気であり、2024年は年初の予測を上回り、四半期ごとに成長を上方修正しました。2025年も同様のパターンになる可能性があるとの見方があります。

パランティア・テクノロジーズ[PLTR]の株価急落、短期的な下落圧力か?

先週(2月17日週)、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]の株価は1週間で15%下落しました。これは、ワシントン・ポストの報道を受けたもので、同報道によると、ヘグセス国防長官が国防総省(ペンタゴン)の幹部に対し、今後5年間で国防予算を毎年8%削減する準備を指示したとのことです。

同社の株価はこれまで急激に上昇したこともあり、短期的には下落圧力が続く可能性があります。ただし、長期的な見通しについては、国防総省の予算削減の具体的な影響を確認する必要がある一方、同社の民間部門でも着実に成長を続けていることもあり、さまざまな要因を総合的に考慮する必要があります。結論を出すのは時期尚早と言えるでしょう。

ミシガン大学の消費者信頼感指数が急落、FRBの利下げ観測にも注目集まる

先週は2月20日(木)のウォルマートの発表でセンチメントが弱まっていた中、翌21日(金)に発表されたミシガン大学の消費者信頼感指数の急落も、米国経済成長率の鈍化懸念の要因の1つとなりました。加えて、ホワイトハウスから次々と発表される人事や大統領令も影響を与えています。市場関係者は、政府効率化省(DOGE)によるワシントンDCエリアの失業率、そして米経済への影響を注視していますが、その全体的な影響を測るのが非常に難しくなっています。

また、関税の不確実性が長期化すると、米国内投資は冷え込む可能性があります。さらに、中国・武漢のラボから新たなウイルスが発生したというニュースも市場を下げる要因となっています。

このような業況を受け、米10年債利回りは前週比で4.47%から4.42%に低下、さらに、CME FedWatchツールによると、FRB(米連邦準備制度理事会)が年内前半に利下げを実施する確率は1週間前の50.4%から63.7%に上昇しました。市場の焦点は、「インフレ鈍化による利下げ」なのか、「景気減速による利下げ」なのかに移っているようです。

FRBが最も重視するPCEインフレ指標が2月28日(金)に発表されるため、さらなる示唆が得られるでしょう。なお、マーケットのコンセンサスとしては、PCEインフレ指標はインフレ鈍化を示す見込みです。

決算発表を控えたエヌビディア[NVDA]、市場の懸念は?

今週のマーケットの注目は、NY時間2月26日(水)引け後(日本時間27日木曜日)に発表されるエヌビディア[NVDA]の2024年第4四半期の決算発表でしょう。

AIブームの中心にある半導体大手のエヌビディアは、1月の「DeepSeek騒動」による市場の混乱で大きく売られたものの、これまでである程度回復しました。エヌビディアの株は1月に10.6%下落しましたが、2月は先週末までに7.9%上昇しています。1月7日に更新した史上最高値にあと14%まで回復しています。

しかし、米国株市場で最も注目されている同社の決算発表を前に、ウォール街には別の懸念が広がっています。決算発表では、エヌビディアの新しい「Blackwell」チップアーキテクチャの詳細が明らかになります。生産は加速しているものの、供給不足、出荷遅延などの問題が懸念されおり、大口顧客が発注を先送りしているとの情報もあります。こうした問題が、エヌビディアの短期的な業績見通しに疑問を投げかけている一方、長期的な視点でみると、エヌビディアの新製品パイプライン(GB300、Rubin)や、ロボティクス・量子技術市場への進出への期待が、再びポジティブな勢いを生みだす可能性も高いとみられています。