あけましておめでとうございます/分析の方針について

既に2024年末に『2025年の為替相場展望』を掲載しましたが、2025年から『今週の為替相場予想(テクニカル分析)』を毎週月曜日に執筆することになりました山中です。どうぞよろしくお願いいたします。

私の簡単な自己紹介は2024年末レポートに書きましたので、ここではどのような方針でウィークリー・レポートを書いていくのかの背景について簡単に説明いたします。テクニカル分析がメインですが、ファンダメンタルに逆らった分析はしません。現在、そして今後起こりうるファンダメンタルやイベントをベースに、それに沿ってテクニカル分析を行います。

また、テクニカル分析は水平線(過去の高値・安値)、トレンドライン、チャートパターンを基本にしながら、主に移動平均線を使ってその時のトレンドを判断するやり方です。長期の分析には20週移動平均線を使い、短期の分析には5日移動平均線を使います。

それぞれ型にはまった読み方をしますが、誰でも同じ読み方ができることは大きなメリットです。詳細はチャート分析の中で詳しく説明していきますので、慣れるまではゆっくり読み進めていただくと良いと思います。

現在のファンダメンタル:日米10年債利回り差は拡大傾向が継続

年末は、リスクオフの円買いが強まり156円間近の水準に。年始は157円半ばで小動き

国内の金融市場は6連休となりましたが、海外の為替市場は元旦を除いて通常の営業となっていましたので、まず年末年始の動きについて簡単に振り返っておきます。

12月30日NY市場までは高値圏でのもみあいを続けていましたが、NYダウが急落する動きとともにリスクオフの円買いが強まりました。31日も前日の流れを継続したこと、年末前のポジション調整も加わったことで欧州市場序盤には156円間近の水準へと安値を切り下げましたが、堅調な欧州株市場を見て反転。2024年末は157円台半ばでの大引けとなりました。

2025年初は欧州市場序盤までは売りが先行したものの156円台半ばで反転、実需の米ドル買いを背景に157円台後半へと上伸し、ダウが下げる動きをよそに円売りが強まりました。1月3日(金)はほとんど動きが見られず、157円台前半での小動きの週末クローズとなりました。

国内のメーカーなど多くの企業が9連休となることで、一部には東京勢が休みの間にフラッシュクラッシュのような動きがあるのでは、といった警戒感もありましたが、それほど大きな動きとはならず、通常の取引が続いた印象です。

日米金利差に影響のある経済指標やイベントに注目

材料的には依然として日米金利差の影響が大きく、2025年前半のFRB(米連邦準備制度理事会)の緩和速度が緩やかになると見られること、一方で日銀の追加利上げも春闘の様子を見てからの判断になることから、日米10年債利回り差は拡大傾向が続いています。米ドル/円(週足)と日米10年債利回り差の20週相関係数は0.98とほぼ同じ動きと言え、米ドル/円(日足)と日米10年債利回り差の20日相関係数も0.91とほぼ同じ動きと言えます。

つまり日米金利差、特に10年債の利回り差に影響を及ぼす可能性がある経済指標やイベントに注目していくことが、当面は正解ということになるでしょう。

またトランプ政権誕生後、金融政策面での影響は少ないと見られますが、為替政策面で大きな変化につながる可能性があるかもしれません。1期目には繰り返し米ドル高牽制発言をしていたことから、1月20日の就任式以降のトランプ大統領の発言には注意が必要です。

以上のことを意識しながらチャートを見て行きましょう。

米ドル/円チャート(週足)、上昇トレンドを維持

長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX

大きくは夏以降の上昇ウェッジの中での動きとなっていて、このウェッジの中での動きを続ける限りは米ドル高・円安の流れが続いているという見方です。

20週移動平均線は週足終値との位置関係で、2週連続で移動平均線を上回るか、下回るかした時にトレンドが転換したという見方をします。具体例を見て行きましょう。

チャート中央(A)のラインマーカーを塗ったところをご覧ください(2024年3月4日・11日週)。1本目のローソク足終値で移動平均線を下回りましたが、2本目のローソク足終値は移動平均線を上回って引けました。ここは2本連続ではないので移動平均線よりも上、つまり上昇トレンドが継続中と判断します。

次に(B)のところ(2024年7月22日・29日週)ですが、こちらは1本目、2本目と連続で移動平均線を下回りましたので下降トレンドに転換したという判断ができます。

そして(C)のところ(2024年10月21日・28日週)では1本目、2本目と連続で移動平均線を上回りましたので上昇トレンドに転換、現在の長期トレンドは米ドル高・円安という判断となります。12月2日週の安値が移動平均線で止められたことも上昇トレンドを支持していると言えます。

米ドル/円チャート(日足)で売買シグナルを確認

短期的な判断は日足で行います。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX

日足には2本の移動平均線が引いてありますが、どちらも5日移動平均線です。異なるのは計算に使うレートで青は日足終値、赤は日足始値を計算に使っています。マネックストレーダーFXでは移動平均線の設定画面で四本値(始値、高値、安値、終値)を選択することができますので、初めて見たという方はぜひお試しいただきたい機能です。

始値・終値移動平均線は上昇トレンドであれば終値移動平均線(青)が始値移動平均線(赤)の上で推移し、下降トレンドであれば終値移動平均線(青)が始値移動平均線(赤)の下で推移します。ローソク足が5日連続陽線のケースと5日連続陰線のケースを考えていただくとわかりやすいと思います。

通常のローソク足では陰陽がミックスしてトレンド判断はしばしば名人芸となってしまいますが、この方法であれば誰でも同じ判断を行うことができます。2本の移動平均線は短期と長期ではなく、同期間の始値と終値を使い、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしているという見方をします。

つまり、終値移動平均線(青)が始値移動平均線(赤)を下から上に抜くゴールデン・クロスが買いシグナル、終値移動平均線(青)が始値移動平均線(赤)を上から下に抜くデッド・クロスが売りシグナルということになります。

日足チャートにもラインマーカーで印を付けましたが、(a)2024年11月21日の陰線でデッド・クロスとなり売りシグナル、(b)2024年12月6日の同事線でゴールデンン・クロスとなり買いシグナル、(c)2025年1月3日の同事線でデッド・クロスとなり売りシグナルという見方ができます。現在は短期的には売りシグナルが出た直後ということになります。

今週(1月6日週)の見通し:米ドル/円の週間予想レンジは156.50~158.05レベル

上述した通り、ファンダメンタルには日米金利差拡大傾向を背景とした米ドル買い(円売り)が続きやすい中で、長期テクニカルも米ドル高を示しています。一方で短期テクニカルは米ドル売りへと転じたばかりですが、高値圏でのもみあいの中での売りシグナルであることから、すぐに買いに転じる可能性はあります。

長期移動平均線の流れに沿って、次の短期移動平均線のゴールデン・クロスを待っての米ドル買いという戦略が良さそうです。また週間予想レンジは直近の高値・安値の中での値動きを想定し、156.50~158.05レベルとしておきますが、もっとも動きやすいのは米ドル売りが先行後に買いシグナルが出るパターンと言えそうです。

なお、今週は見方の説明を長めにしましたので、米ドル/円の見通しのみとなりましたが、徐々に見方の説明は減らし2つの通貨ペア(米ドル/円とユーロ/円もしくはユーロ/米ドル)の見通しを示していくこととします。

それでは引き続きよろしくお願いいたします。