2024年は「パーフェクトオーダー」状態が続く

2024年は米国株が大きく上昇した1年でした。2023年末に4769.83ポイントだったS&P500は2024年12月6日には+27.7%となる6090.27ポイントまで上昇しており、チャートを見ると、50日移動平均線、100日移動平均線、200日移動平均線が共に並行して上向きであり、株価はその上を上昇している、いわゆるパーフェクトオーダーの状態が続いています。

株価が上昇している最大の原因としては、過剰流動性が続いていることがあると思います。米国の事実上の中央銀行であるFRBの金融政策を見ると、確かに政策金利は高い水準に押し上げられていますが、バランスシートは縮小しているとは言え、コロナ前の2019年12月の4兆2140億ドルから2024年12月4日時点では65%多い6兆9470憶ドルとなっています。

米国株は上昇し続ける見通し

さらに言えば、2023年3月にシリコンバレーバンクなどの地銀が破綻した際には、それが連鎖的な金融危機にならないようにバンクタームファンディングプログラムを実施し、金融危機を発生させない方針を明らかにしました。これにより市場は、過剰流動性が続いている上、何か問題が発生してもFRBが手当てをすることによって2008年のような金融危機は発生しないとの認識になり、以降、短期的な上下動は発生しても長期的に株価は上昇傾向が続いているのだと思います。

2008年までは政策金利が大きな重要性を持っていましたが、2009年以降はバランスシートの方が大きな意味を持つようになりました。このことから、2008年までの株式市場の見方と2009年以降の株式市場の見方は変えた方がいいと考えています。逆イールドが発生しても米国株は市場最高値を更新していますし、もちろん現在は予期しえないような大きな問題(たとえばテロや第三次世界大戦、巨大地震など)が発生すれば別ですが、現状の状況が続くのであれば、米国株は上昇し続けていく可能性が高いというのが2024年12月時点の筆者の考えです。

第二次トランプ政権の誕生でどうなるか?

2024年の米国で一番大きな変化は何かといえば、やはり11月の大統領選挙でトランプ前大統領が勝利し、2025年1月20日から第二次トランプ政権が発足することでしょう。中国、ロシアやウクライナ、中東、韓国など、世界中で第二次トランプ政権発足に向けての大きな変動がみられ、連日のようにニュースになっています。もちろん将来についてはわかりませんが、世界的に戦争や紛争は収束する方向に向かっていくのではないかと考えます。

第二次トランプ政権発足による大きな影響の1つは原油価格が落ち着くことでしょうか。米国の産油量は増えていく方向にあります。そうなると、インフレは落ち着いた方向に向かいやすくなるため、金利の低下につながり株価にはプラスと言えるでしょう。

その一方で、第二次トランプ政権は米国民を支援するような財政投資を行う可能性が高く、こちらも米国株が上昇しやすくなる要因と言えるでしょう。なお、米国株以外の他国の株価は(日本も含めて)、米国経済の改善や米国株の上昇がプラスの影響をもたらす一方、関税や中国経済の低迷が続くことなどの懸念が重しとなって、良い面もあれば悪い面もあると考えます。

また、第二次トランプ政権は様々な意味での改革を行うことが予想され、基本的には良い方向に向かっていくことが想定されますが、これを起因としていろいろな意味での波乱が起こる可能性もあります。ただし、もちろん内容にもよりますが、基本的なスタンスとしては「急落したところは買い」というスタンスで良いのではないかと考えます。

どのような銘柄に投資していけばいいか

最後に、どのような銘柄の選択をしていけばいいのでしょうか。基本的にはS&P500やナスダック100などのETFや投資信託へ投資を行う、指数重視が王道的だと考えます。

その上で、米国は長期に渡って業績を安定的に伸ばし、増配を続けているような企業がいくつもあるため、余裕があれば、そのような優良企業にも投資を行うと良いでしょう。米国株にはS&P500よりも高い上昇を遂げている銘柄がいくつもあります。当連載でも少しずつお伝えしていますが、これらの企業の特徴をあえて言えば、

①米国や世界で(他社が追い付けないほどの)圧倒的なシェアがあり、安定的にフリーキャッシュフローが稼げ、しかもそれが年々拡大していく方向にある。

②拡大していくキャッシュフローで買収を行い、業績をさらに拡大している。

③自社株買いと増配で投資家にしっかりと還元を行っていく(特に米国株は現金配当よりも自社株買いで大きく還元される傾向があり、それが株高の大きな要因の1つとなっている)。

という3点が挙げられます。これらの観点から選んでいくと良い銘柄が選べるのではないかと思います。

2024年も連載をお読みいただきまして、ありがとうございました。ここまでに書いてきましたように、2025年も米国株はチャンスが続くと思います。より良い情報をお届けできるように頑張っていきますので、引き続き2025年もよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。