JREITのパフォーマンス不振が続いています。東証REIT指数は先週末の段階で年初来9%程度のマイナスと、株式市場がTOPIX(東証株価指数)で同+15%のリターンであるのと対照的です。

REITは金利上昇時に借入金利を通じた収益への影響が懸念されることや、相対的にREITの利回り妙味が低減することから嫌気されます。一方、株式市場は国内外の景気の堅調さや資本効率を考慮した経営への変化から注目度の高い状況が続いています。

そもそもREITは不動産への投資であり賃貸収入や売買益がリターンの源泉であることから、株式に対する分散投資の対象となります。利益の90%超を配当するなど一定の条件を満たせば、実質的に法人税がかからないことから収益がほぼ分配金となることで利回りの高さが魅力といえます。

現在その分配金利回りは指数ベースで4.8%に達しており、株価を評価するPBR(株価純資産倍率)と似た指標であるREITを評価するNAV倍率(投資口価格(現在値)÷投資証券一口当たり純資産)は0.8倍近辺と、過去10年で最も割安な水準に位置しています。

今後JREITが買い上げられ株価を上回るパフォーマンスを示せるか、その材料にはまだ乏しい状況です。ただしきわめて割安感が高いことは一段の下値が限定的であることを示唆しており、また為替リスクのない国内の投資商品としては高利回りとなっています。

価格の反発を期待しなくても利回りを得る投資として、投資の性格は株式に近いものながら、現在の水準では債券投資の代替として中期的な目線でポートフォリオに組み入れる妙味が出ていると考えます。