【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 39,142.23  ▼527.16 (4/17)
NASDAQ: 16,286.45  ▼20.71 (4/17)

1.概況

昨日の米国市場は、高安まちまちとなりました。米医療保険大手のユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が市場予想を下回る決算を発表し、22%超下落したことが指数を押し下げました。また、トランプ米大統領がパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の更迭を検討していると報じられると、FRBの独立性が揺らぐとの懸念も強まり、売りが加速しました。一方で、景気敏感株や消費関連株の一角には買いが入ったほか、トランプ米大統領が対中国および欧州連合(EU)との貿易交渉に自信を示したことで、相場は下げ止まりました。

ダウ平均は76ドル高で寄り付いた後、急落し一時は719ドル安まで下げ幅を広げました。その後、午後にかけて下げ幅を縮めたものの、軟調な推移が続き、結局527ドル安の39,142ドルで取引を終え、3日続落となりました。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も20ポイント安の16,286ポイントで取引を終え、3日続落しています。一方、S&P500株価指数は7ポイント高の5,282ポイントで取引を終え、3日ぶりに小幅反発しました。

2.経済指標等

3月の米住宅建築許可件数は、148万2千件となり、市場予想(145万件)と前回結果(145万9千件)を上回りました。一方、住宅着工件数は前月比11.4%減の132万4千件となり、市場予想(141万件程度)を下回って、1年ぶりの大幅減少となりました。4月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、マイナス26.4となり、市場予想(6.7)と前回結果(12.5)を下回って大きく落ち込みました。先週一週間の米新規失業保険申請件数は、前週比9000件減の21.5万件となり、市場予想(22.6万件程度)を下回り悪化を示しました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち8業種が上昇となり、なかでもエネルギーと生活必需品が2%以上上昇しました。また、不動産と公益事業も1%以上上昇しています。一方で、情報技術やヘルスケア、コミュニケーション・サービスの3業種が小幅に下落となりました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では、全30銘柄中20銘柄が上昇となり、特にナイキ[NKE]は4%以上の大幅高となりました。また、ボーイング[BA]は3%以上上昇したほか、ホームデポ[HD]やプロクター・アンド・ギャンブル[PG]、ウォルト・ディズニー[DIS]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、ウォルマート[WMT]、ゴールドマン・サックス[GS]、メルク[MRK]は2%以上上昇しました。一方で、医療保険大手のユナイテッドヘルス・グループ[UNH]は、22.4%下落の大幅安となりました。取引開始前に第1四半期決算を発表し、EPS(1株当たり純利益)、経常収益ともに市場予想を下回ったほか、予想を大幅に上回る医療費の急増を理由に、通期のガイダンスでもEPSの見通しを下方修正したことが嫌気されている模様です。そのほか、エヌビディア[NVDA]は2%以上下落し、アムジェン[AMGN]やセールスフォース[CRM]、マイクロソフト[MSFT]は1%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、イーライリリー・アンド・カンパニー[LLY]が、肥満治療薬「オルフォグリプロン」が臨床試験で主要な有効性目標を達成したと発表したことが好感され、14.3%上昇し、S&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。車両レンタル事業を展開するハーツ・グローバル・ホールディングス[HTZ]は、著名投資家ビル・アックマン氏が運営するパーシング・スクエアが同社株を19.8%保有していることが明らかになり、44.3%上昇し2日連続で大幅高となりました。

一方で、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が大幅安となった影響を受け、その他の医療保険株も下落し、ヒューマナ[HUM]は7.4%安、シーブイエス・ヘルス[CVS]は1.8%安となりました。また、大手工具メーカーのスナップオン[SNA]は、第1四半期決算で減収・営業減益となり、8.0%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から0.05%高い4.32%となりました。ドル円は、142円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、昨日のダウ平均の下落が相場の重荷となるものの、同指数の下落はユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が22%超下落し、単独で800ドルあまり押し下げた影響が大きく、その他の銘柄は景気敏感株や消費関連株を中心に堅調だったため、小高く始まることが予想されます。

一方で、積極的な買い材料に乏しく、売りに傾きやすい地合いが続く中、日経平均は3万4000円以上で値固めできるかがポイントとなりそうです。本日の材料としては、寄付き前に発表される全国消費者物価指数(CPI)の結果を受けた、利上げ観測の変化や長期金利の動向が注目されます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)