日経平均は4月に入ってジリジリとその水準を切り下げてきました。上げ疲れが見え隠れし、利食いに押されているような印象です。とはいえ、年初が33,000円前後であったことを考えると、急ピッチの上昇があったにも関わらず、依然として底堅い推移にあるとも言えます。また、依然として健全な日柄調整の範囲内であり、強気相場のトレンドには変化がないとの見方を継続したいと思います。

日銀の金融政策、株価上昇が意味することとは

今回は「日銀の金融政策」を採り上げましょう。3月中旬の金融政策決定会合において、日銀は実に17年ぶりとなる利上げに踏み切りました。これによりマイナス金利は解消され、2013年から始まった「異次元の金融緩和」は大きな転換点を迎えることになったのです。これに対し、株式市場は大きな混乱もなく、むしろ株価上昇で反応しました。

一般的に、金利の上昇そのものは株価にとってマイナス材料であることは論を俟ちません。難しい理屈で言えば、割引率の上昇によって企業の現在価値が目減りするということですが、もっとシンプルに言えば、金融引き締めが景気を冷やすためと考えても良いでしょう。しかし、金利の上昇はまたそれだけ資金需要が旺盛である、つまり景気が良いということの証でもあるのです。

今回の株価上昇という反応は、物価や株価・不動産価格の上昇が鮮明になってきている中、デフレ対応色の濃かったマイナス金利政策の解消は既に既定路線として織り込み済であり、株式市場は悪材料出尽くしと受け止めたということでしょう。

追加利上げのペース、円安圧力にも注目

これは景気循環的な目線でも理解ができます。景気拡大→金利上昇→景気後退→金利低下→景気回復(拡大)といった金利と景気の循環構造に当てはめてみると、現在の日本はまずこの金利上昇の端緒に差し掛かったと言えます(むしろそうではなく、「そもそもマイナス金利という政策自体が『異次元』の異常事態であったことを考えると、その解消に至ったに過ぎず、まだ普通の金利上昇フェーズには至っていないのだ」という見方も一理あるかもしれません)。

とすれば、今後は追加利上げのペースが要注目と言えるでしょう。急ピッチで金利が上がることになれば、それだけ景気と金利のサイクルは速く回ることになり、結果として景気が腰折れする可能性が高まってしまうためです。先月のマイナス金利解除に際し、植田日銀総裁は追加利上げを匂わせることもなかったため、市場には安心感も広がりました。これもまた株価上昇の一因であったと受け止めています。

しかし、そのような低金利の継続を見越し、円安圧力が増したのも事実です。先日は34年ぶりとなる1米ドル154円を記録しました。さながら為替市場は追加利上げの催促フェーズに入ったように見えます。今後日銀は、円安進行に伴う利上げ圧力への牽制と景気の腰折れを未然に防ぐための金利制御という難しい舵取りを迫られることになると考えます。

マイナス金利解除が株式投資へ与える影響とは。金利上昇メリットを受ける銀行セクターに追い風

では、株式投資への影響という観点で金利上昇はどう捉えるべきでしょうか。もちろん、景気が腰折れしない限り、という前提条件付きでの検討です。バブル末期(平成初期)の金利上昇局面では金利収入の拡大期待から無借金経営銘柄が物色されたことがありました。しかし、資本効率性が厳しく問われる令和の時代において、今さら無借金経営企業が再評価されることはまずないでしょう。

すると、やはり注目セクターは金利上昇で最もメリットを受ける銀行業界ということになります。銀行業は基本的に預金と貸出の金利差が儲けの源泉であるため、マイナス金利解除による金利負担の消失や貸出金利の上昇によって利ザヤの拡大が期待できるようになるのです。

折しも、半導体工場建設やDX関連など国内設備投資が急速に盛り上がりを見せ、頻発するMBOやTOBなどに向けての資金需要も急増し始めました。金利上昇に貸出増が重なれば、当然ながら銀行業には追い風が吹くのではないかと考えます。

また、個人向けにおいても主力の住宅ローンで収益機会が膨らむとも予想できます。住宅ローン金利が上昇すれば、新規ローンは当然ながら、ローン残高の変動金利契約部分も押し並べて利ザヤが拡大するため、そのインパクトはかなりのものとなる可能性があります。マイナス金利下で概して苦戦を強いられていた銀行業界ですが、金利上昇で大きく局面が変わったと言えるのかもしれません。

ちなみに、銀行は破綻するとその影響が大きいために、財務健全性に合わせて業務範囲に制限がかかっています。最も厳しい基準はBIS規制における「国際統一基準行」で、海外に営業拠点を置くことが許されています。

日本で国際統一基準を適用しているのは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)の3メガバンクの他、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)、いよぎんホールディングス(5830)、コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)、しずおかフィナンシャルグループ(5831)、ちゅうぎんフィナンシャルグループ(5832)、山口フィナンシャルグループ(8418)、群馬銀行(8334)、千葉銀行(8331)、八十二銀行(8359)、滋賀銀行(8366)、名古屋銀行(8522)などです。

特に、上記のような大規模な資金需要に対応できる銀行は、やはり預金量に勝るメガバンクが中心になると考えます。また、住宅ローンに関しては、上記銀行群に加え、りそなホールディングス(8308)、西日本フィナンシャルホールディングス(7189)などが地銀における融資残高上位行となります。ぜひ、銘柄選びの参考にしてみてください。