日経平均は一気に調整局面を迎えました。2月28日に上がった中東の火の手をきっかけに、原油高など景気面への懸念が相場の重石となっています。そこに、それまでの急ピッチの上昇で高値警戒感がくすぶっていたことが加わり、相場の流れはこれまでとは逆方向に動き始めたように受け止めています。
そもそも資本市場が最も警戒するのは、「悪材料」ではなく、「見通しが立たないこと」です。仮に火の手が拡散すれば、種々の景気前提が根本から崩れることにもなりかねません。当面の市場センチメントは一旦リスクオフ局面へ転換し、今後のシナリオが見えてくるまで予断の許されない状況が継続するのではないかと考えています。
2026年はビッグイベントが続く「スポーツイヤー」
さて、今回は「ワールドベースボールクラシック(WBC)」と「FIFAワールドカップ」をテーマに取り上げてみましょう。先日、「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」が大熱狂のうちに閉幕しました。その余韻も冷めやらぬうちに3月6日からはパラリンピックが開催されます。そして、3月5日には野球の世界大会とも言えるワールドベースボールクラシック(WBC)が開幕し、さらに6月からは、サッカーの世界大会であるFIFAワールドカップの開催も予定されています。
以前にもこのコラムで指摘したとおり、2026年はオリンピック・パラリンピック、WBC、ワールドカップというビッグイベントが目白押しの「スポーツイヤー」でもあるのです。世界情勢を考えれば、これらのイベントにも少なからず影響が及ぶ可能性は否めません。まずは平時が継続するという前提で、これらの熱戦への期待を胸に、WBCおよびFIFAワールドカップ関連銘柄をまとめていきたいと思います。
スポンサー/パートナー企業が狙う「損して得取れ」のビジネス
こうしたスポーツの世界大会において、最初に注目されるのはスポンサー/パートナー企業でしょう。スポンサー/パートナー企業は、特定のイベントやスポーツチームに対して金銭や物品を提供する一方で、そのイベントやチームを通じて、自社の広告宣伝や商品の販売促進を図る権利を得ます。金銭・物品の提供は一義的には「損」ですが、それによって企業や商品の知名度が上がり、結果的に販売増やブランド化を実現できれば、長い目では「得」にもなります。これはまさにビジネスにおける有名な教訓である「損して得取れ」の典型例です。もちろん、長い目で見て十分な規模の「得」を実現できなければ、スポンサーやパートナーに名乗りを挙げる旨味がありません。スポンサー/パートナーになる企業は、費用対効果を冷徹に計算したうえで決断しているのだと言えるでしょう。
こうした企業の期待する「得」とは、まずは認知度の向上です。そのスポーツイベントやチームが報道されるほど、スポンサー/パートナーの社名や商品名の露出も増えます。企業や商品のロゴが施設や選手ユニフォームに配置されたり、そもそもプロスポーツチームが企業名を冠するというのもその一例と言えます。
また、最新のテクノロジーなどをイベントに提供することで、スポンサー/パートナー企業は技術力を披露でき、認知度向上にも繋がります。これは正確なタイム測定や写真判定技術、マルチアングルの3D映像技術などを思い起こしていただければイメージしやすいかもしれません。いずれも既に確立されている技術を、より多くの人に知ってもらい、体感してもらうことで、消費者/利用者の手に取ってもらう機会を増やすことが狙いです。
WBCやFIFAワールドカップなど、世界中の人々の耳目を集めるイベントに集中的に露出を増やせば、単なる広告宣伝とは比較にならないインパクトが期待できることでしょう。WBCやFIFAワールドカップに出場する選手を広告にキャスティングするというのもその一環です。
変化する放映権ビジネス、より視聴ニーズの高い層へのアプローチ
次に注目されるのが放映権です。当然、WBCやFIFAワールドカップの試合を直接観戦できる人数は極めて限定され、ほとんどは地上波テレビやネット配信によって、その試合を楽しむことになります。視聴者からすれば、熱い試合を迅速かつ精彩に、またどのような斬新な手法で届けてくれるのかが、放映会社を選ぶ決め手になっていくはずです。
実際、以前には試合中継の合間に差し挟まれるコマーシャルを忌避して、地上波よりもネット配信がより多く視聴されたという事例もありました。ただし、昨今の放映権高騰を踏まえると、コマーシャルが忌避されればされるほど、地上波各局はスポンサー確保が難しくなっていると言えます。
そう考えると今後は、より見たい視聴者から直接費用を徴収するペイパービュー方式などを導入できる企業のほうが、放映権獲得において機動的かつ戦略的に動けるのではないかと考えます。2026年の両大会の放映権は既に獲得企業が決まっていますが、次期大会の放映権では、こうした料金体系が権利獲得へのより大きなカギとなることでしょう。
さらに、グッズ関連も注目されます。具体的には、ユニフォームやシューズなどです。野球やサッカーに傾注する少年少女はもちろん、ファッション的なアイテムとして消費者に広く流行する可能性もあります。
WBC、ワールドカップ関連銘柄に注目
具体的な企業群として、WBCのスポンサー/パートナーとしては、NIPPON EXPRESSホールディングス(9147)、ディップ(2379)の他、マスターカード[MA]、伊藤園(2593)、セイコーグループ(8050)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、日本航空(9201)などが挙げられます。
また、FIFAワールドカップのスポンサー/パートナーには、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(2579)、ビザ[V]、マクドナルド[MCD]、アンハイザー・ブッシュ・インベブ[BUD]、バンク・オブ・アメリカ[BAC]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、ユニリーバ[UL]などが、それぞれ名を連ねています。
放映権関連では、WBC放映権を独占したネットフリックス[NFLX]が挙げられます。FIFAワールドカップでは、日本テレビホールディングス(9404)、フジ・メディア・ホールディングス(4676)などの地上波テレビ局に加え、動画配信サービスDAZNと連携する電通グループ(4324)も挙げられるでしょう。
グッズ関連では、アシックス(7936)、美津濃(ミズノ)(8022)、ゼット(8135)などのスポーツ用品ブランドが考えられます。国際情勢への懸念は残りますが、両大会でもオリンピックに負けず劣らぬ熱戦に期待したいところです。
