東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて4日ぶりに反落となりました。251円安の37,712円で寄り付いた日経平均は取引開始から50分余りで138円安の37,825円まで戻しましたが、上値は重く下げ幅を広げると後場に入り13時30分前には369円安の37,594円まで下落しました。その後は下げ渋ると持ち直しましたが、引き続き軟調に推移すると結局260円安の37,703円で取引を終えています。一方で新興市場は高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

データセンター運営のさくらインターネット(3778)が17.1%上昇しストップ高となり上場来高値を更新しました。生成AI(人工知能)を活用する大企業の需要を取り込むため今後5年間で最大1000億円を投じて能力を増強すると伝わったことを材料視した買いが入りました。上期決算を発表したディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)も一時7.9%高となり上場来高値を更新しました。インバウンド需要の回復で売り上げが想定より伸びていることなどから1110億円とみていた2024年6月期の営業利益の見通しを1300億円に上方修正したことで大幅高となりました。本決算を発表したイトーキ(7972)も20.4%上昇しストップ高となり昨年来高値を更新しました。オフィス家具や家庭用家具を製造・販売するワークプレイス事業の伸びが見込まれることなどから2024年12月期の営業利益が前期比で17.3%増となる見通しを示したことや、これまで30%以上としていた配当性向の方針を変更し40%を目指すとしたことで買いを集めました。日本発條(5991)も一時22.1%高となり上場来高値を更新しました。第3四半期9ヶ月間累計の営業利益は前年同期比で28.5%減となりましたが、第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で30.4%増と増益に転じたことで買いが優勢となりました。一方で本決算を発表したシマノ(7309)が一時9.7%安となりました。新型コロナウイルス禍の自転車特需で積み上がった在庫調整が響き2024年12月期の営業利益が前期比で36.6%減となる見通しを示したことから売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は260円安となりました。1月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことで早期の利下げ観測が一段と後退し昨日の米国市場が大幅下落となったことから売りが優勢となりました。しかし、昨日までの3日間で1,800円以上も上げ、25日移動平均線との乖離率が5.5%まで広がっていたことからすると必要なスピード調整とみることもできそうです。なお、3月決算企業の第3四半期決算発表や12月決算企業の本決算発表が続いています。本日も引け後にはソニーグループ(6758)やキリンホールディングス(2503)、SUMCO(3436)、楽天グループ(4755)、クボタ(6326)、オリンパス(7733)、日本郵政グループ3社などが決算を発表する予定です。また、明日の寄り付き前の8時50分には2023年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)