【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 34,061.32  △222.24 (11/3)
NASDAQ: 13,478.28  △184.09 (11/3)

1.概況

2日の米国市場は賃金インフレの鈍化を示す経済指標の発表を受けて金融引き締めに対する過度な警戒感が後退し大幅続伸となりました。183ドル高でスタートしたダウ平均は寄り付きをほぼ安値に一日を通して上げ幅を広げると引け間際に578ドル高まで上昇し結局564ドル高の33,839ドルで取引を終え4日続伸となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も323ポイント高の13,294ポイントと5日続伸となりました。先週末の米国市場は米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことで長期金利が低下し続伸となりました。149ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に107ドル高まで上げ幅を縮める場面もありましたが、そこから切り返すと上げ幅を広げ昼過ぎには324ドル高まで上昇しました。その後は伸び悩みました。しかし、引き続き堅調に推移すると結局222ドル高の34,061ドルで取引を終え5日続伸となっています。また、ナスダック総合株価指数も184ポイント高の13,478ポイントと6日続伸となりました。

2.経済指標等

2日に発表となった7-9月期の米労働生産性指数速報値は年率換算で前期比4.7%上昇し市場予想を上回りました。また、企業の賃金負担を示す単位労働コストは前期比年率で0.8%低下し、3四半期ぶりの低下となっています。さらに9月の米製造業受注も前月比2.8%増となり市場予想を上回りました。一方で先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比5000件増の21万7000件となり改善を見込んでいた市場予想に反して悪化しました。先週末発表の10月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比15万人増に止まり市場予想を下回りました。失業率は3.9%と前月の3.8%から悪化し市場予想を上回りました。また、10月の米ISM非製造業景況感指数は51.8と前月から低下し市場予想も下回りました。

3.業種別動向

2日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが上げました。そのなかでもエネルギーと不動産が3%以上上昇したほか、一般消費財・サービスと金融、資本財・サービスも2%以上上げています。先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち10業種が上げ、不動産が2%を超える上昇となったほか、素材とコミュニケーション・サービス、金融、一般消費財・サービス、情報技術も1%以上上げました。一方でエネルギーが1%安となっています。

4.個別銘柄動向

2日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中28銘柄が上げました。そのなかでもウォルグリーン・ブーツ・アライアンス[WBA]とナイキ[NKE]が4%を超える上昇となったほか、シェブロン[CVX]とキャタピラー[CAT]、アメリカン・エキスプレス[AXP]も3%以上上げています。一方でトラベラーズ[TRV]が小幅に下げ、メルク[MRK]は変わらずでした。ダウ平均構成銘柄以外では、半導体関連株が高く、半導体株では市場予想を上回る決算を発表したクアルコム[QCOM]が6%近く上昇し、エヌビディア[NVDA]とテキサス・インストゥルメンツ[TXN]も3%近く上げています。また、半導体製造装置株ではアプライド・マテリアルズ[AMAT]とラム・リサーチ[LRCX]、KLA[KLAC]が2%を上回る上昇となっています。さらにスターバックス[SBUX]が決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったことで9%以上上げています。

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中22銘柄が上げました。そのなかでもゴールドマン・サックス[GS]が4%を超える上昇となったほか、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス[WBA]も3%以近く上げました。ウォルト・ディズニー[DIS]も2%余り上昇し、ナイキ[NKE]も2%近く上げています。一方でユナイテッドヘルス・グループ[UNH]とプロクター・アンド・ギャンブル [PG]が1%近く下落しています。また、決算を発表したアップル[AAPL]は売上高と1株利益が市場予想を上回ったものの、10-12月期の売上高見通しが市場予想を下回ったことで小幅に下げています。

ダウ平均構成銘柄以外では半導体株が高く、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]が4%余り上昇し、エヌビディア[NVDA]とマイクロン・テクノロジー[MU]も3%以上上げました。ウエスタン・デジタル[WDC]も2%高となり、クアルコム[QCOM]とテキサス・インストゥルメンツ[TXN]も2%近く上昇しています。

5.為替・金利等

2日の長期金利は0.07%低い4.66%となりました。先週末の長期金利は米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことから0.09%低い4.57%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ149円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が続伸となり2日と先週末の2日間で780ドル以上上げたことから大きく上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の買い一巡後にさらに上値を伸ばすような動きをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)