吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

毎営業日更新
吉田恒の為替デイリー
米インフレへの原油の影響を再考する
米インフレにピークアウトの可能性が出てきたのは、原油など資源・穀物相場急落の影響が大きかったと推測。 原油相場は、足元で「下げ渋り」が目立っているが、あくまで短期的な「下がり過ぎ」によるもので、中長期的には逆になお「上がり過ぎ」修正の途上、景気との関係でも「上がり過ぎ」修正の可能性が大きそうだ。
ユーロ安は「いつまで、いくらまで」続くのか
22年ぶりに「パリティ」割れとなるなどユーロ安が広がっている。このユーロ安は、ウクライナ情勢の影響以上に米金利上昇に伴う米ドル高の結果という面が大きいのではないか。そうであれば、ユーロ安の終わりは、米金利上昇の終了が目安になりそう。 52週MAかい離率、5年MAかい離率を参考にすると、ユーロ安は0.95米ドルを割れる可能性はあるものの、0.9米ドル割れは微妙ではないか。
「円高リスク」をケーススタディする
急ピッチの円安が進む中で、その反動の円高リスクとはどの程度のものか。 経験を参考にすると、円高リスクは米金利低下が目安になる。かつては、「リスクオフ(株安)の円買い」もあったが、それは最近目立たなくなった。
「ボルカーのインフレ退治」からの教訓
米インフレにピークアウトの可能性が出てきたが、FOMC関係者などからは、引き続きインフレ抑制に強い姿勢で取り組み、リセッションも辞さずといった発言が目立っている。 実際に、インフレ退治に強い姿勢で取り組んだ結果、2度もリセッションを起こすところとなった1979年に発表、実施された「ボルカーのインフレ退治」を振り返り、今回への「示唆」を考えてみたい。
豪ドル、ユーロの下落シナリオ再点検
米ドルに対する円安の再燃だけでなく、円以外の通貨である豪ドルやユーロも最近にかけて米ドルに対して下落再燃となった。 再燃した豪ドル/米ドル、ユーロ/米ドルの下落見通しについて、主に52週MAとの関係で見ると、豪ドル/米ドルは0.65米ドル割れ、ユーロ/米ドルは0.95米ドル割れが、基本的な「目標」になるのではないか。
米インフレ対策と米ドル高継続の関係
供給要因によるインフレ、「コスト・プッシュ・インフレ」は、原油価格の急落などによりピークを過ぎたようだ。 ただそれを好感した株高、そして原油急落によるガソリン価格の下落などは、主に消費者心理改善を通じて需要刺激効果をもたらしている可能性がある。需要要因によるインフレ、「デマンド・プル・インフレ」対策の需要抑制策は、引き続き通貨高をもたらす可能性があるだろう。
FOMC議事録が需要抑制を強調した意味
8月17日公表された7月FOMC議事録では、インフレ是正のために需要を抑制することを強調した点が印象的だった。これは、議事録公表までの間の「変化」を反映した可能性もありそうだ。 需要抑制に整合するマーケットの動きは、為替の場合なら通貨高。FOMCが需要抑制を強調したことで、それと整合する米ドル高再燃の可能性が改めて注目されそうだ。
行き過ぎた円安の大反転、1998年の悪夢
米ドル高・円安は、5年MAかい離率などで見ると、行き過ぎ懸念が強くなっている。 行き過ぎた米ドル高・円安の反転は、1998年のような米ドル大暴落をもたらしたこともあった。
利上げ見通し巡る「FOMC vs 市場」の影響
FOMCメンバーたちの大幅な利上げ見通し表明の割には、本来的に米金融政策を反映する米2年債利回りなどの上昇が鈍い印象だ。 これが米利上げ見通しを巡るFOMCと市場の見方のズレということなら、そのズレが修正される局面で米金利、それを通じた為替相場のボラティリティーが高まる可能性に要注意。
円安トレンドは139円で終わったのか?
米ドル/円は7月の139円台から急反落となったが、既に米ドル高・円安トレンドは139円台で終わったのか、それともまだ米ドル高値更新に向かうのか。 米金利との関係からすると、まだ米ドル高値更新の可能性はありそうだ。ただ既に、「行き過ぎた米ドル高・円安」となっている中で、ヘッジファンドなど大口投資家の中には、一早く円売り取引縮小に動き出した兆しもある。
円ショート戦略転換の始まりか
ヘッジファンドなどの取引の目安とされる統計で、最近にかけて円売り越しが急縮小した。 歴史的円安でプロのトレーダーも大きな「収益源」と位置付け急拡大した円ショート・ポジションを、反転リスクを減らすべく徐々に手仕舞う動きが始まった可能性がある。
雇用統計並みCPI「ヘッドライン大相場」
8月10日の米CPI発表直後に米ドル/円は2円近い急落となった。特定の経済指標発表をきっかけに為替相場が大きく動くことは「ヘッドライン・ディーリング」と呼ばれ、近年は米雇用統計が有名だが、この2ヶ月ほどはCPI「ヘッドライン大相場」ともなった。 ただし、今回の「CPI大相場」の米ドル安・円高の持続は、米金利がそれを正当化するかが鍵だろう。
米ドル/円「CPI相場」、7月との違い
7月は、CPI発表をきっかけに、米ドル高・円安は一気に140円に迫る動きとなった。 ただ7月は、ユーロ/米ドル、22年ぶりの「パリティ割れ」が米ドル高をリードした可能性がある。今回は、ユーロ/米ドルを取り巻く状況、米ドル/円の90日MAかい離率など、7月との違いも目立つ。
インフレ対策と米ドル高が終わる可能性
米ドル高・円安は、2022年以降インフレ対策の米利上げ見通しと連動してきた。 そのインフレに影響する原油価格が、最近にかけて急落した。「行き過ぎた原油高」の修正の可能性があり、そうであればインフレ対策と米利上げ、その影響を受ける米ドル高も曲がり角を迎えている可能性がある。
原油急落は「インフレ→景気減速」の前兆か
世界的な資源・穀物の供給先であるロシアとウクライナの軍事的衝突をきっかけに、供給不安から原油など資源・穀物相場は高騰したが、6月以降急落した。 ウクライナ情勢に大きな変化がない中での原油価格などの急落が、世界景気の減速に伴う需要縮小の影響だとすると、世界経済のテーマは今後インフレから景気減速に変化する可能性もありそうだ。
割高局面の米ドル買い戦略再検証
7月末からの約1週間で米ドルは130円割れ近くまで急落。歴史的円安が動揺した背景には、米ドルなど外貨の割高懸念が高まっていることがあるだろう。 割高局面における米ドル買いなど投資戦略のテーマは、「許容出来る損失」の自覚。その上で(1)投資規模の抑制、(2)ストップロス注文、(3)小まめな利益確定などが主な課題となる。
特殊だった米ドル/円「FOMCショック」
7月FOMC以降の米ドル急落、「FOMCショック」は基本的には対円のみの現象。FOMC以前の対円の米ドル「上がり過ぎ」などを受けた特殊な現象だった可能性あり。 米ドル/円急落を「特殊」と理解せず、米景気や米金利、米ドルに悲観的になり過ぎるリスクには要注意。目先的にはその反動が入る可能性もありそうだ。
続・日銀緩和不変でも円安は終わる
7月末FOMC以降、米ドル安・円高に大きく動いたが、これは日銀の金融緩和が全く変わらない中で起こった。 これまでの米ドル高・円安は、基本的に米金利上昇に連れた結果だっただけに、日銀の金融緩和が変わらなくても、米金利次第でこれほど大きく米ドル安・円高に戻した点は重要だろう。
米ドル安本格化は時期尚早
先週にかけて米ドルは対円で急落したが、一段と米ドル下落が本格化するためには米金利の大幅な低下が必要で、米金融政策との関係からするとそれは時期尚早だろう。 FOMC後もユーロ/米ドルなどでは米ドル安は目立った動きではなく、むしろ対円の米ドル安が「特殊現象」の可能性がある。全体的に米ドル安が本格化に向かう段階ではまだなさそうだ。
「円高プチパニック」は続かない可能性
先週は、久しぶりに大きく米ドル安・円高に動く、「円高プチパニック」となった。これは、短期的な「行き過ぎ」修正が一気に起こったことが主因か。 132円台までの米ドル急落で、そんな短期的「行き過ぎ」もほぼ是正された。当面の米ドル/円は米金利次第だが、その米金利が下がるリスクは限られそうだ。