吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
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米ドル安の主導役、ユーロ買いの再点検
最近にかけての米ドル安は、日米金利差からはかい離しているが、一方で独米金利差からはある程度正当化される結果。その意味では、米ドル安がどこまで続くかは、ユーロ買いの動きに注目したい。
そんなユーロは短期的な「上がり過ぎ」「買われ過ぎ」懸念も出てきた。

当面の方向を決める可能性のあるCPI相場
この半年ほど、米CPI発表後に為替相場は一方向へ大きく動くパターンが繰り返されてきた。特にCPIの前年同月比上昇率が予想を下回ったケースは過去半年で3回あったが、全て3円以上の米ドル急落となった。
今回もCPI発表後の動きが、当面の方向性を決める可能性に注目。

黒田緩和転換だけで120円は割れないか?
黒田総裁が主導した日銀の金融緩和。その転換で「円金利上昇=円高」はどこまで進むのか。
日本の長期金利は、これまで日銀の金融政策とは別に、「世界一の経済大国」である米国の長期金利の影響も大きかった。黒田緩和転換に伴う「円金利上昇=円高」について考えてみた。

失業率が示す米金利「下がり過ぎ」リスク
1月6日、米2年債利回りは、今回の米利上げ局面では初めて政策金利のFFレートを下回ってきた。これが続くようなら、「早期利下げ」を織り込んだ動きと言えるだろう。
ただ、米失業率とFFレートの関係からすると、それとは「真逆」と言えそうな状況となっている。

為替の新年相場が「ダマシ」だった理由
2023年の為替相場は早々に130円割れとなるなど米ドル安・円高で始まった。では、これは2023年の米ドル安・円高のまだ始まりに過ぎないのだろうか。
為替相場においては、年明け早々の動きが、結果的にはその年のトレンドとは逆だった、言わば「ダマシ」だったケースもあった。

円高はまだ続くのか、それとも終わるのか
米ドル安・円高トライが続く中で、90日MAかい離率などで見ると米ドルの短期的な「下がり過ぎ」懸念も拡大してきた。過去2ヶ月余りの米ドル急落は、米ドル「買われ過ぎ」反動も一因と見られたが、それもほぼ是正されたと思われる。
米ドル安・円高も目先的にはクライマックスが近いのではないか。

日銀サプライズ後の円高への疑問
日銀が予想外のタイミングで10年債利回りの許容上限を拡大すると、円金利上昇に連れた形で為替相場も大きく円高に動いた。
ただし、この円高は金利差からは大きくかい離していた。日本の金利以上に外国の金利が大きく上昇したためだ。日銀の緩和転換での円高は過剰反応の懸念もあるのではないか。

続・黒田緩和転換で円高になるのか?
日銀がYCCを止めても、先進国の長期金利は基本的に連動するため、日本の10年債利回りの上昇は米10年債利回りとの関係を参考にすると、0.7~0.8%程度までがせいぜいか。
日本の10年債利回りが一段と上昇した場合、保有国債の含み損拡大に伴う日銀の債務超過転落への懸念から、「円金利上昇=円買い」から「円金利上昇=円売り」に変わる可能性にも要注意。

黒田緩和転換で円高になるのか?
12月20日の日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)見直しを受けて、米ドル/円は一時130円割れ寸前まで急落した。これは日米金利差からかい離、日本の10年債利回りの上昇に反応した結果だった可能性。
日銀は10年債利回りの上限を0.5%まで拡大したが、早々に10年債利回りはその上限近くまで上昇した。円高が、10年債利回りの上昇を手掛かりとするなら、目先的には一巡の可能性。

2023年の「円高リスク」を考察する
円安は、10月の151円で終わった可能性がある。では、2023年中にどこまで円高が進むリスクがあるか?
米金利低下を通じた米ドル安は限られる見通し。一方、黒田緩和修正に伴う円金利上昇は気になるものの、少なくとも2023年中は限られる見通し。そのため、円高リスクの拡大にも自ずと限度があるとの見方が基本ではないか。

黒田緩和修正の円高リスクとは?
ポスト黒田総裁で日銀の金融政策が変更された場合の「円金利上昇=円高」リスクについて考えてみた。
結論としては、継続的に130円を超える米ドル安・円高になるということではないようだ。

インフレに翻弄されたFRBと米ドル
1年前、FOMCメンバーの見通しとして示された2022年末のFFレートは0.9%だった。結果的にFOMCは約1年で3%以上もの大幅利上げを余儀なくされた。
約40年ぶりの本格的なインフレによって、米金融政策と米ドルなど為替相場が大きく翻弄された1年だったことを、改めて振り返ってみる。

ユーロ高・米ドル安へ転換した背景
ユーロ/米ドルは120日MA、52週MAとの関係からユーロ高・米ドル安へトレンド転換した可能性が高くなっている。
金利差ユーロ劣位が大きく縮小し、トレンド転換を正当化している点は、米ドル/円との違いとしても注目。

FOMCが利上げを止める「目安」とは?
米CPIの対前年同月比上昇率が7%程度まで低下してきたが、FOMCがインフレ対策の利上げを終了する「目安」を考えてみる。
CPI上昇率は、2021年11月末に、パウエル議長が「インフレは一時的」との見解を撤回した当時の5%割れに近付くかに注目。もう1つの目安として、失業率4%以上への反発にも注目。

FXの投資戦略が変わる可能性
2022年に、記録的な米ドル高となったのは、大幅な米利上げの影響が大きかった。2023年は米国の金融政策の変動率が、2022年に比べて大きく低下する見通しとなっていることから、米ドル/円のボラティリティも大きく低下する可能性がある。
それに伴いFXの投資戦略も米ドル買い一辺倒から、2023年には変わる可能性がありそう。

米ドル高・円安はどこまで戻せるのか
11月以降の米ドル急落で、米ドルは足元で140円程度の120日MAを大きく割り込んだ。経験的に、これは米ドル高から米ドル安へトレンド転換した可能性を示している。
米ドルはすでに151円台で天井を打っており、今後の上昇も足元で140円程度の120日MAを大きく、長く超えない程度にとどまるとの見通しが基本になりそうだ。

米ドル/円大相場の翌年は小動きになるか?
2022年の米ドル/円年間値幅は、1990年以降では最大となった。では、勢いづいた大相場は2023年も続くのだろうか。
経験的には、このような大相場の翌年は、前年より値幅が3~5割も縮小するなど、一転して「小動き」になることが多い。

「PPI・CPI大相場」の振り返り
最近にかけて、PPIやCPIといった代表的な米インフレ統計発表直後に、米ドル/円が一方向へ2~3円といった具合に大きく動くケースが続いてきた。
12月9日発表の米11月PPIは、前年同月比上昇率が前回から1%程度と大きく低下するとの事前予想になっているだけに、米ドル/円の反応が注目される。

米ドル全面安の一因に「変化」の兆し
先週にかけての米ドル全面安は、米ドル買いポジション手仕舞いに伴う米ドル売りが一因と考えられたが、米ドル売りもかなり進んだ可能性があった。
ただ、なお米ドル買い・円売りポジションの相対的な大きさは目立つだけに、来週にかけてFOMCなどの注目イベント次第で、もう一波乱は要注意か。

円安150円からの「変化」を確認する
米ドル/円は120日MAとの関係で見ると、既に151円で天井を打った可能性がある。一方で、米金利や90日MAかい離率との関係を見ると、短期的には米ドル「下がり過ぎ」懸念が拡大している。
5年MAかい離率を見ると、中長期的な米ドルの「割高」は修正されつつもなお要注意段階。そのため、米ドル買いが再開しても、投資額の抑制、ストップロスなど損失を限定化させる工夫が必要になりそう。