CPI上昇率が予想以下の3回は3円以上の米ドル急落
1月12日に、米12月CPI(消費者物価指数)が発表される。この半年ほど、CPI発表後の為替相場は一方向に大きく動く展開が繰り返されてきただけに、今回も当面のトレンドを決めるきっかけとなる可能性は注目されるところだ。
2022年7月以降のCPI発表を受けた為替相場の動きは、CPIの前年同月比上昇率が事前予想を上回った場合は米ドル買い、下回った場合は米ドル売りとなってきた。過去半年間で、CPI上昇率が予想を下回る結果となったのは3回あったが、全て3円以上の米ドル急落となった(図表1参照)。
一方で、CPI上昇率が予想を上回ったのも3回だったが、この場合の米ドル上昇は3円以下にとどまった。こんなふうに、米ドル安より米ドル高の反応が限られたのは、140円を超える水準では日本の通貨当局による米ドル売り介入警戒などが影響したためと考えられる。
この2ヶ月余りで比較的大きく米ドル安・円高に戻したことから、米ドル売り介入への警戒は薄れているだろう。その意味では、今回のCPIの結果が予想を上回った場合は、これまでより米ドルが大きく上昇する可能性も頭に入れておく必要があるかもしれない。
CPI上昇率は、2022年6月の9.1%がピークとなったものの、その後は上昇率の低下も鈍い動きが続いた。ただ、10月の7.7%から11月は7.1%へ比較的大きく低下。インフレ是正がペースアップしてきた感がある。12月のCPI上昇率も事前予想では6.5%へ一段と低下すると見られている。
今回の結果は、2月1日に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)前の最後のCPI発表となるため、金融政策の判断に大きく影響する可能性がありそうだ。今のところ、2月のFOMCでは利上げ幅が0.25%へ一段と縮小するとの見方が有力だが、一部には0.5%利上げ予想もあるだけに、今回のCPIの結果を受けてどちらかの予想に収れんする可能性はあるだろう。
為替相場は過去2ヶ月余り、方向感の乏しい動きが続いた後に、米ドルが一段安に向かうパターンが繰り返されてきた(図表2参照)。今回のCPIの結果を受けて、130~135円のレンジを抜けるようだと、当面のトレンドが決まる可能性もあるだろう。