桜の開花が早い年は株価が高い?「桜の開花アノマリー」を検証
桜の開花と株式市場には、意外な関係があります。桜の開花が早いほど株価が高くなりやすいという関係です。今回は、こうした現象を「桜の開花アノマリー」として紹介します。
2026年は、桜の開花が例年より早くなるとの予想が多く見られます。民間気象会社のウェザーニューズが3月4日に公表した予想によると、東京の桜の開花は3月18日と見込まれています。2025年の東京の開花日は、平年並みとされる3月24日でしたから、2026年はそれより6日も早い開花と予想されています。
もし桜の開花アノマリーが本当なら、今後の株高が期待できるかもしれません。そこで、実際に桜の開花日と日経平均株価のパフォーマンスの関係を検証しました。
桜の開花が早い年ほど株価は高い傾向
開花日は気象庁が公表する東京(千代田区)の桜の開花日を基準とします。毎年の開花日をもとに、その時期を3つに分類しました。具体的には、開花が3月19日までの年を「開花が早い年」、3月20日から24日までを「平年並みの年」、そして3月25日以降を「開花が遅い年」としています。そして、それぞれの年について日経平均株価の騰落率の平均値を集計しました。
図表の通り、桜の開花が早い年ほど株価のパフォーマンスが良い傾向が見られます。開花が早い年では、日経平均株価の平均騰落率は3月が1.0%上昇、4月は4.2%上昇となっています。また、春から初夏にかけての動きを示す4月から6月の騰落率も6.7%と比較的高い上昇率となっています。
一方、桜の開花が遅い年では、春先の株価の動きは弱い傾向が見られます。特に4月から6月の期間では平均マイナス1.9%となっており、株安傾向となっています。こうして見ると、桜の開花が早い年ほど、春先の株式市場は比較的堅調になりやすいという「桜の開花アノマリー」が確認できます。
注2:桜の開花日は気象庁が公表する東京(千代田区)の開花日を用いる
出所:気象庁、日本経済新聞社のデータを用いて、マネックス証券作成
春の暖かさは消費活動を活発にする
では、なぜ桜の開花と株価の間にこのような関係が見られるのでしょうか。桜の開花には春の暖かさが必要です。気温が上昇すると、花のもととなる花芽(かが)の成長が進み、開花へと向かいます。開花と聞くと暖かい春の日差しを思い浮かべる人も多いでしょう。まさにその通りで、桜の開花は春の訪れを象徴する現象でもあります。
春の訪れが早いと、消費活動にも影響が現れます。例えば衣料品業界では、春物の販売は主に2月から3月初めにかけて行われます。ところが、3月に入っても寒い日が続くと、多くの人は冬物のコートを着たまま過ごすことになります。その結果、春物衣料の販売が伸び悩むこともあります。
一方、春の暖かさが早く訪れれば、春物衣料の購入が早まりやすくなります。さらに暖かい日が増えると、人々は外出する機会も増えます。外食やショッピング、旅行などの活動が活発になれば、消費全体も拡大しやすくなります。こうした消費活動の活発化は、企業業績への期待にもつながり、株式市場にとってもプラスに働く可能性があります。
桜の開花が早い背景には寒い冬もある
さらに図表からは、桜の開花が早い年は年間を通しての平均騰落率(1月から12月)も高い傾向が見られます。これは春の暖かさだけでなく、冬の寒さも関係している可能性があります。
実は桜が開花するためには、冬の寒さも重要です。桜の花芽は冬の間は休眠状態にありますが、一定期間寒さを経験すると「休眠打破」という現象が起こり、春の気温上昇に反応して開花へと向かいます。つまり、桜の開花が早い年というのは、冬に十分な寒さがあり、その後春に向けて気温が上昇するという、季節のメリハリがはっきりしている年ともいえます。
こうした気候は消費活動にも影響します。冬が寒い年はコートや防寒衣料、暖房器具などの需要が高まりやすくなります。エアコンや暖房関連製品などの販売も増える傾向があります。つまり冬の消費が活発化しやすい環境になります。
その後、春の暖かさによって外出やレジャー、衣料品などの需要が高まれば、冬から春にかけて消費活動が連続して活発になります。こうした背景が、株価の動きにも反映されている可能性があります。
株式市場は、こうした消費動向や景気の変化を先取りして動く傾向があります。冬から春にかけて季節の移り変わりがはっきりしている年には、景気や企業業績への期待が高まりやすく、それが株価にも反映されている可能性があります。
もちろん、桜の開花だけで株価が決まるわけではありません。しかし、株式市場には経済指標だけでは説明しきれない季節的な特徴が存在することも確かです。今回紹介した「桜の開花アノマリー」も、そうした季節性の一つとして見ることができるでしょう。
2026年は東京の桜の開花が3月18日と予想されています。もしこの予想通りに開花すれば、今回の分析でいう「開花が早い年(3月19日まで)」に該当します。過去の傾向から、桜の開花が早い年は春から初夏にかけて株価が比較的堅調に推移する傾向が見られました。
桜の開花アノマリーを踏まえると、2026年の春相場は株価上昇への期待が持てそうです。
