モトリーフール米国本社 – 2025年12月28日 投稿記事より
バリュー投資は長期投資家にとって、賢明な戦略となるか
長期投資家は人気銘柄を追うのではなく、質の高い企業を探し出すことを心掛けたほうがよいでしょう。株式市場は、常に効率的とは限りません。現在の株価は、短期的な需給バランスやニュース、その企業に対する投資家心理を反映しています。その一方で、株価のバリュエーションが妥当であり、将来のキャッシュフローや資産に基づく本質的価値が良好な水準に保たれている場合、バリュー投資家にとって資金を投じる魅力的な機会となることがあります。
バリュー投資家の考え方を身につけることのできる銘柄があります。これらの銘柄は、投資が成長するまで辛抱強く待つ姿勢を実践する機会を与えてくれたり、それぞれのビジネスモデルを理解するために規律あるリサーチを行う重要性を教えてくれたり、さらには「本質的価値」と「市場価格」の違いを見極める力を養う助けとなるでしょう。ここでは2つの銘柄についてみていきます。
持続的な競争優位性と安定した株主還元を行っており、63年連続増配のコカ・コーラ[KO]
飲料大手のコカ・コーラ[KO]は予測のしやすさ、持続的な競争優位性、そして安定した株主還元によって、ウォーレン・バフェット氏のような投資家から高く評価されている、典型的なバリュー株です。経済状況に関係なく消費者は飲料を購入する傾向があり、需要が景気に左右されにくいことから、景気後退にも強いと言えます。また、世界屈指の強力なブランド力を持っていることから、販売数量を大きく落とすことなく、インフレに対応するための値上げが可能です。
コカ・コーラは2025年現在、63年連続で増配しており、本稿執筆時点で約2.9%という安定した配当利回りを提供しています。同社は主に飲料用の濃縮液やシロップを製造・販売しており、これらを世界の200社を超えるボトリングパートナーに供給しています。ボトリングパートナーは製造、充填・包装、流通といった多額の設備投資を必要とする工程を担っています。この仕組みにより、コカ・コーラは高い営業利益率と、低い設備投資負担を維持しながら、競合他社にはほぼ再現不可能な、巨大でグローバルな流通ネットワークからの恩恵を享受しています。
2025年第3四半期に、コカ・コーラの純売上高は前年同期比5%増の125億ドルとなりました。本業の売上高が6%増加したことが最大の要因です。同四半期の純利益は30%増の37億ドルに急伸し、61%超という高い粗利益率と、比較可能ベースで32%の営業利益率を維持しました。2025年通年では、ざっと98億ドルのフリーキャッシュフローを生み出す見込みであり、配当や再投資に十分な余力を確保しています。
コカ・コーラは、従来の炭酸飲料だけでなく、エナジードリンク、コーヒー、缶チューハイのようなすぐに飲めるアルコール飲料、付加価値型乳製品といった高成長分野へと製品ポートフォリオを拡大しています。同社は売上の大部分を海外で稼いでおり、中南米やアジア太平洋地域の一部といった、成長著しい新興市場で強固な地位を築いています。
また、コカ・コーラが多くの地域で採用している現地生産戦略は、関税やサプライチェーンの混乱によるリスクを軽減するのに役立っています。同社の配当を含む過去5年間のトータルリターンは、本稿執筆時点で約50%に達しています。
現在のような市場環境では最も注目度が高い銘柄とは言えないかもしれませんが、コカ・コーラは堅固なビジネスモデル、強固な財務基盤、安定した配当を備えています。
ディフェンシブな事業特性、安定した株主還元の実績をもつバンク・オブ・アメリカ[BAC]
金融大手のバンク・オブ・アメリカ[BAC]は、その圧倒的な規模、ディフェンシブな事業特性、安定した株主還元の実績から、もう一つの典型的なバリュー株と言えるでしょう。同行は7,000万におよぶ個人および中小企業の顧客基盤がもたらすコスト優位性に加え、デジタルと金融の統合プラットフォームを利用する顧客にとっては乗り換えコストが高い大きいことから、高い競争優位性を備えています。米国第2位の大手銀行であるバンク・オブ・アメリカは、市場全体が不安定な局面でも、顧客と投資家に安定性を提供する基幹金融機関としての役割を果たしています。
同社は何十年にもわたり一貫して配当を支払い、さらに12年連続で増配しています。本稿執筆時点の配当利回りは約2%ですが、配当を含む過去5年間のトータルリターンはおよそ120%に達します。
バンク・オブ・アメリカは主要4セグメントで構成される、高度に多角化された成長モデルを展開しています。最大のセグメントであるコンシューマー・バンキング部門では、個人や中小企業に対し、預金、クレジットカード、住宅ローンといったサービスを提供しています。
グローバル・ウェルス&インベストメント・マネジメント部門は、顧客資産を数兆ドル規模で運用しています。グローバル・バンキング部門は企業や金融機関向けに融資、アドバイザリー、投資銀行業務を提供し、グローバル・マーケッツ部門では、さまざまな資産クラスにわたる機関投資家向けのセールスとトレーディング業務を担っています。
同社の第3四半期決算も好調でした。総収入は281億ドルと前年同期比11%増加し、純利益は85億ドルと前年同期から23%の大幅な伸びとなりました。純金利収入は同9%増の152億ドル、投資銀行業務の手数料収入は20億ドルを超え、前年同期比で43%増加しました。
貸倒損失引当金は前年同期から約13%減少し、資産の質が改善していることを示しています。また、同四半期に配当と自社株買いを通じ、74億ドルを株主に還元しました。銀行セクターへの投資を検討しており、なおかつ安定した配当収入も得たいと考える長期投資家にとって、この信頼感の高いバリュー株は、改めて検討する価値があると考えられます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカはモトリーフール・マネーの広告パートナーです。元記事の筆者Rachel Warrenは記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
