米国の金利見通し(2026年前半の利下げと長期金利低下)

・米国の政策金利は2026年前半にかけて3ヶ月に1回程度のペースで利下げが進み、中立近傍の約3%へ向かう見立て。その後は様子見局面に移行する可能性がある。

・米国の長期金利はFRB(米連邦準備制度理事会)当局者スタンス指数の緩和方向へのシフトに先導され、ファンダメンタルズの鈍化を織り込みつつ3%台半ばを目指す展開。前半の低下バイアスが主軸となる。

・米国の雇用は鈍化基調で失業率は徐々に悪化。物価は米CPIの予想下振れや賃金・住宅関連の先行指標の落ち着きから沈静方向。規制緩和を背景に米銀行の国債保有増も想定され、長期債には需給面の支援が加わる。

2026年米中間選挙と政策の金利・資産価格への影響

・「One Big Beautiful Bill(OBBB)」の分配効果は高所得層に偏る推計で、選挙前に低所得層向けの追加支援が打ち出される可能性。景気押し上げで株式に追い風となる半面、インフレの高止まりリスクが残る。

・米中間選挙年は大勢が見えにくい前半に株式のパフォーマンスが弱くなりやすく、相対的に債券へ資金が向かいやすい地合いになり得る。

・政策の出方次第で金利低下基調が変化する余地があり、年後半の金利・景気の不確実性が意識される。

日本の金利正常化と市場構造の変化

・日本の政策金利は今後おおむね半年後に追加引き上げの可能性。長期金利は成長に沿った戻りで、上値目処はおおむね2.3%程度を想定。

・イールドカーブ・コントロール解除後の市場機能回復とデフレ脱却の進展に沿う「良い金利上昇」と位置付け。株式やJ-REITは賃料上昇やインフレ織り込みを背景に堅調で、金利上昇の悪影響は現時点で限定的との見方。

・日銀の国債保有は減少する一方、銀行と海外投資家の保有比率が増加。海外投資家の保有比率はなお6%台ながら上昇基調で、市場の健全化に寄与している。しかし、海外要因への連動や金利ボラティリティ上昇の可能性には留意が必要だ。