今年も残すところあとわずかとなりました。主要資産クラス*の年初来のパフォーマンスを振り返ると、このままいけば2年連続で金が1位となりそうです。株式は各地域とも堅調ですが、ここ数年不振だったJREITも上位のパフォーマンスです。債券市場も日本国債を除いて各地域で堅調です。
なお、主要資産クラスには含めていませんが、クレジットスプレッドのタイト化が進む中で、社債のパフォーマンスも堅調な1年となりそうです。よりリスクをとるハイイールド債が好調となるなど、債券市場でもリスクオンの1年となっています。
12月に入り、2026年の見通しも出始めていますが、外資系金融機関が定期的に行う調査によると、投資家は経済成長から株式、コモディティなど幅広い分野で強気であり、その投資家心理は4年半ぶりの強気水準に達しているとされています。
米国株は、2025年を含めば3年連続で堅調な結果となりそうですが、S&P500の予想PER(株価収益率)はITバブル期に近い水準に接近しており、バブルへの警戒もささやかれます。ただし、詳細を見ると、当時とは様相が大きく異なっており、ハイテク株を多く含むナスダック100指数のPERは約26倍と、2000年の80倍超を大きく下回っています。
見かけの割高さは、市場全体の過熱というよりも、ごく一部の巨大ハイテク企業に評価が集中している点に本質があります。これらの企業のバリュエーションは市場平均と比べれば高いものの、極端な高さではないです。
実際、巨大テックを除いた残り約490社や、500社の均等加重指数で見たPERは15-17倍程度にとどまっており、2000年のように「業界丸ごと」高評価だった時代とは違うといえます。
もっとも、楽観一辺倒ではないでしょう。巨大テックによる設備投資が本当に収益化できるか、確認が必要なのは確かです。2025年は期待が高まった年とすれば、2026年はその期待に見合うファンダメンタルズが確認されるかが問われる年となるでしょう。
その米国のファンダメンタルズについては、FRB(米連邦準備制度理事会)予測に基づけば、緩やかな利下げに支えられて、GDP成長は潜在成長率2%近辺を当面維持すると見込まれています。
一方で2026年は中間選挙の年でもあります。中低所得層への訴求を意識した財政政策が打ち出されれば、想定以上の経済、インフレ圧力を背景に、利上げシナリオが意識され始める可能性もあるでしょう。
家計や企業のバランスシート、さらには金融システム全体が健全であることを踏まえると、景気が急激に失速することは想定しづらいですが、現在、金融取引の規模は貿易など実体経済の約3倍にまで拡大しています。恐怖と強欲が入り混じっているのでしょうか。金や銀の上昇は、かつて石油危機や金融危機時に見られたような相場付きになっています。リスクオンの巻き戻しが生じた場合、想定以上に市場が変動することは、リスクシナリオとして考慮しておく必要があります。
ここ数年、リスクオン姿勢が強まる局面が続いてきましたが、一方向の物色が永続することはありません。マーケットが好調な時だからこそ、改めてリスクを点検し、中長期の視点で分散投資を整えておくことが、安定的な資産運用にとって重要でしょう。
*株式(世界株、米国株、日本株、新興国株)、債券(世界債、米国債、日本債、新興国債)、REIT(世界、米国、JREIT)、その他(商品、原油、金)の主要指数から算出
