政策金利は0.25%引き上げられ30年ぶりの水準に
日本銀行は、12月18日・19日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.25%引き上げ、0.75%程度で推移するよう促すことを決定しました。政策委員の9名が全員一致で利上げを決定し、これによって政策金利は1995年以来の30年ぶりの水準となりました。
足元の経済動向については、懸念事項であった米国経済や通商政策の影響における不確実性がある程度低下したほか、2026年もしっかりとした賃上げが実施される可能性が高いといった評価がされ、利上げ判断を後押ししたものと考えられます。
今回利上げを決定しましたが、実質金利は引き続きマイナスであり、緩和的な金融環境によって経済をサポートする姿勢を示しています。また、展望レポートで示されている経済・物価の見通しが実現すれば引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくとし、利上げはここで打ち止めにならず、継続していく方針を示しました。
中立金利に関する質問が相次ぐ 次回利上げの明言は避けつつも見通しに沿った経済・物価動向次第で利上げを進めるスタンス
長期金利が19年ぶりに2%超に、米ドル/円は円安が進行
政策金利の引き上げは、ある程度事前に織り込まれていたものの、会合結果公表後には、高市政権における財政懸念も相まって、長期金利が2006年5月以来19年半ぶりに2%を超え、2.025%まで上昇しました。米ドル/円相場は、公表後に荒い値動きとなり、156円台まで円安が進行する場面が見られました。
中立金利は、特定の値ではなく幅をもってみていく前提を強調
15時30分から開始された植田日銀総裁の記者会見では、従来通り丁寧なコミュニケーションが徹底されました。政策金利が30年ぶりの水準となり、また先行きの利上げ可能性も示唆される声明文の内容から、先行きの金融政策に関する質問が相次ぎました。また、金融緩和度合いの文脈で、中立金利の水準に関する質問も多く見られました。
中立金利については、推計値であり特定の値ではなく幅をもってみていく前提を強調しながら、短期金利や実質金利、金融機関の貸し出し状況に加え、過去の利上げタイミングにおける市場への影響などをふりかえり、都度の状況から緩和・引き締め度合いを判断し、金融政策運営を進めていくとしました。
経済や基調的な物価が見通しにそって推移すれば、追加利上げを進めるスタンス
また先行きの物価動向について、日銀は2026年度のインフレ率が2%を割り込む想定をしている中で、そのタイミングでも利上げを進めていくのかといった質問がありました。これに対しては、基調的な物価を重視するとし、賃金と物価の好循環がみられれば、ヘッドラインやコア指標のインフレ率が低下しているケースでも利上げ可能性はあるとしました。
先行きについての明言は、従来通り避けながらも、経済や基調的な物価が日銀の見通しにそって推移すれば追加利上げを進めていくといったスタンスが読み取れました。会見でも言及されたように、海外経済動向や国内では中小企業の業績ないしは賃上げ動向が下振れリスクと考えられます。2026年に向けて、まずは春闘を中心とした国内の賃上げモメンタムと上述の下振れリスク関連のデータの点検が重視される局面と考えられます。
