政策金利は0.75%で据え置き、経済・物価の見通しは上方修正
日本銀行は、1月22日・23日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.75%程度で推移するよう促すことを決定しました。政策委員の9名のうち8名が据え置きに賛成した一方で、高田委員は国内物価の上振れリスクが高いという理由から反対しています。
また今回は「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)が公表されました。前回(2025年10月)時点では、海外経済の減速や通商政策の不確実性によりわが国の成長ペースは「伸び悩む」とされていましたが、今回(2026年1月)は政府の経済対策や海外経済の回復を背景に「緩やかな成長を続ける」というより前向きな評価に転じました。
物価面でも、基調的な上昇率が前回は「伸び悩む」とされていましたが、今回は「緩やかな上昇が続く」との見方に改善しています。また、経済のリスクバランスが前回は「2026年度は下振れリスクの方が大きい」とされていましたが、今回は「概ね上下にバランスしている」へと上方修正されました 。
会合結果は事前の市場予想に沿ったもので、大きなサプライズとならなかったことから、取引時間中の日経平均株価は、後場寄付きで54,000円を超える場面が見られました。米ドル/円や長期金利はサプライズも乏しかったことで、小動きとなりました。
財政や金利の急騰への質問が相次ぐ、経済・物価の見通し達成確度は高まった印象
15時30分から開始された植田日銀総裁の記者会見では、直近で急騰している国内金利や足元の円安動向に関する質問が相次ぐも、従来通り丁寧なコミュニケーションが徹底されました。
植田総裁自身も、長期金利の上昇スピードはかなり速いとの認識を示し、例外的な状況と判断されれば政府と連携をとって機動的なオペを実施するとしました。円安に関しても輸入物価から消費者物価ないしは基調的な物価への波及を注視するとし、為替の水準については従来通りコメントが差し控えられました。
また、衆議院選挙に関する質問もあり、消費税減税が各政党の政策に盛り込まれる中で財政や物価への影響に関する質問もありました。まだ不確定であることも踏まえ、現時点での経済・物価見通しには織り込んでいないこととし、消費税減税が実現される際には海外事例なども踏まえ、物価影響などを精査するとしました。
足元の金融環境は緩和的との認識
前回2025年12月の会合では、約30年ぶりとなる利上げ後の金融環境についても質問がありました。金利の変化による設備や住宅といった投資行動への影響は、時間を要する前提とするも、企業へのヒアリングなどから、将来にどういった影響が出そうか先だって点検していくとの考えを示しました。足元の金融環境については企業の資金需要は緩やかに上昇しており、銀行などの貸し出し需要も堅調で、緩和的な金融環境である認識とコメントしています。
先行きの金融政策運営については、時々のデータ次第で判断していくことを強調し、経済・物価が日銀審議委員メンバーの見通しに沿って推移した場合に、金融緩和度合いを調整するとし、従来通りの姿勢を強調しました。
市場の反応:会見中に米ドル/円は159円台まで円安が進行
植田総裁の記者会見を受けて、米ドル/円は159円台まで円安が進行する場面が見られました。市場では2026年4月~6月の追加利上げを見通す向きもある中で、従来通り利上げ判断は時々のデータ次第といったコミュニケーションがハト派的な印象を与えたものと考えられます。一方で、会見終了後には円が大きく買われ157円37銭まで円高に振れるなど、直近の長期金利の動向とあわせ、不安定な相場に対応しきれていない印象がうかがえました。
個人的には、従来の懸念材料であった海外経済などの不確実性が和らいだことから、経済・物価の見通しの達成確度は高まったものと感じました。次回利上げは、春闘の動向の確認などから2026年7月を見込んでいますが、場合によっては早まる可能性も視野に入る局面と考えられます。
