現在のファンダメンタルズ:材料不足で方向感が出にくい地合い
先週(11月3日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 152.816円~154.484円 153.424円
・ユーロ/米ドル:1.14686ドル~1.15909ドル 1.15638ドル
・ユーロ/円: 175.703円~177.978円 177.418円
先週(11月3日週)の米ドル/円:日米双方の材料で米ドル安と円高に
先週(11月3日週)の米ドル/円は、前週(10月27日週)に日米財務相・首脳会談、そして主要三極の金融政策決定会合と、一連の重要イベントが終わった後での調整局面入りとなった一週間でした。米政府機関一部閉鎖が続き、主要経済指標の発表もないことで市場参加者としては手探り状態が続いています。FOMC(米連邦公開市場委員会)では12月利下げ織り込み度が下がり、日銀会合では年内利上げ思惑が後退したことで、日米金利差縮小期待による円買いの動きが出にくくなっています。
一方で片山財務相や三村財務官によって円安の動きがファンダメンタルに沿っていないという認識が示されたことで積極的な円売りも動きにくい流れとなり、先週(11月3日週)は153円割れの米ドル買いと154円超えの米ドル売りに挟まれ方向感が出にくい流れが続きました。今週(11月10日週)も目立った経済指標の発表がなく米地区連銀総裁の講演が材料となる程度です。
しかし、週末に米共和党と民主党の話が進み、今週(11月10日週)初めにも政府機関一部閉鎖が解除される可能性が出ています。民主党議員の一部が法案を前進させる方向での賛成票を投じる流れとなってきている様子で、早ければ本日11月10日中にも政府機関の全面的な再開という動きが見えてきそうです。これはもちろん好材料ではあるものの、既に歴代ワースト1位の閉鎖40日という状況ですからこれまでに与えた悪影響も大きく、再開したからといってすぐにリスクオンという動きにもなりにくいと考えています。
トレーダー的には早く一連の経済指標発表が再開され相場シナリオを立てやすくなる日を望みたいですが、おそらくそれを一番望んでいるのはFRB(米連邦準備制度理事会)だと思います。
先週(11月3日週)のユーロ/米ドル:米ドル/円に追随した動き
先週(11月3日週)のユーロ/米ドルは、米ドル/円が動意薄となる中でさらに動きが鈍い一週間となりました。週後半はユーロ/円にあらためて買いが入ってくる動きも重なってユーロ/円とユーロ/米ドルとでユーロの動きを相殺したことも影響しています。前週のECB(欧州中央銀行)理事会でも利下げサイクルが終わり、しばらくは現状維持が続くことが確定的であるため、新規材料に乏しいという流れでした。
なお、米ドル/円では円安に対する警戒感が高まっている中で、ユーロ/円をはじめとするクロス円では円安に対する警戒感が出にくいということもあり、ユーロ/円での買いに動きやすい流れは今週(11月10日週)も続きやすいと思われます。
米ドル/円チャート(週足)、上昇トレンド継続も今週も調整局面が続きやすい
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャート(図表1)では、黄色いライン(長期)で示される平行上昇チャンネルの中での動きを続けています。現状はチャンネル上限に近づいている中で年初来高値と年初来安値の76.4%戻し154.485円でいったん達成感が出たように思えます。ただ、地合い的には米ドル/円は押し目買いが出やすい流れであることを考えると、今週(11月10日週)も基本的に調整の週になるという見方でよいと思います。
米ドル/円チャート(日足)、11月6日にデッド・クロスに転じる
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
米ドル/円は10月21日のゴールデン・クロス状態が11月6日のデッド・クロスでいったん調整局面入りになったことを確認した段階にあります。長期チャートでは米ドル高・円安の流れが続いていますので戦略的には次のゴールデン・クロスを待っての米ドル買いが基本となりますが、11月に入ってからの当局の発言も含めて短期的には円高方向への調整が続きやすいこともあり、値頃感での米ドル買いは避けた方がよいでしょう。
引き続き153.00~154.50円が米ドル/円のレンジとなりやすいため、次のゴールデン・クロスが153円あたりで出現するならば米ドル買いに動いてみたいところですが、今はいつまでデッド・クロス状態が続くのかを見極める段階にあります。
ユーロ/米ドルは下降トレンド継続
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は青の平行下降チャンネルの中での動きを続けています。このチャンネル自体の値幅が小さいため上下とも抜けやすいのですが、ユーロ/米ドルのレンジも狭くなっています。このチャンネル内の動きが続く限りはユーロ/米ドルは戻り売りで動きやすいでしょう。
日足チャート(図表4)で見ると青の平行下降チャンネル内で上側のレジスタンスに近づいている状態です。しかし2本の移動平均線は10月30日のデッド・クロス状態から11月7日にゴールデン・クロスへと転じましたのでレジスタンスラインをトライするかどうかを見極めることとなります。上抜けできなければ長期トレンドの下げに戻ることになりますし、上抜けすれば短期的には直近高値1.16682ドル(10月28日)を試す可能性が出てきます。現状ではユーロ/円が底堅い動きとなっているため、ユーロ/米ドルとユーロ/円双方の動きを見ながら考える必要があります。
ユーロ/円は引き続き史上最高値更新後の調整局面
ユーロ/円です。
ユーロ/円は史上最高値を更新後の調整局面にあります(図表5)。長期的には黄色の平行上昇チャンネル内で最近は青の上昇ウェッジ内の動きになってきましたが、先々週(10月27日週)の史上最高値では同事線、先週(11月3日週)は下ヒゲが長く実体が寄り引け同じと売り手と買い手が綱引きしている局面にあると言えます。
日足チャート(図表6)では先週(11月3日週)は2本の線がはっきりしないもみあいとなりました。11月7日にゴールデン・クロスとなったものの2本の線が近くいつデッド・クロスに転じてもおかしくない状態です。週足での綱引き状態を拡大して見ているようなものですが、先々週(10月27日週)に高値、先週(11月3日週)に安値と目先のレンジをつけたようですから、米ドル/円かユーロ/米ドルかどちらかに新たな材料が出てくるまではユーロ/円は底堅いものの動きにくいという地合いが続きそうです。
総じて調整が続きやすい週となりそうですが、日柄的には上下に振れやすい時間帯に入ってきましたので、ヘッドラインニュース等には気をつけておきたいものです。それでは今週も良いトレードを!
