今週(10月17日~10月23日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):銀行不安と米中緊張で乱高下も底堅く推移

ビットコインは、銀行セクターの信用不安と米中関係の緊張が投資家心理を冷やしたものの、底打ち感が意識され買戻し優勢となった。

バイナンスで発生したステーブルコインのデペッグ問題や、メタプラネット(3350)をはじめとする暗号資産保有企業に対する懸念が広がるなか、売りが継続。さらに米地方銀行における不正融資疑惑をめぐり市場の警戒感が強まったことで、BTC=104,000ドル(約1,586万円)付近まで大幅に下落した。

しかし、先週からの急落で過剰なレバレッジポジションが整理されたこともあり、次第に買戻しが進んだ。米ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長が米政府閉鎖解除の可能性を示唆したことで、米国株が堅調に推移し、ビットコインも連れ高となってBTC=110,000ドル(約1,677万円)を回復した。

その後は様々な思惑が交錯するなか、一時BTC=114,000ドル(約1,738万円)付近まで急騰する場面も見られたが、直後に急落し、乱高下する展開となった。高市新政権の誕生で日経平均株価が5万円に迫った一方で、高騰が続いていた金価格が急落し、過去最大の下げ幅を記録。米中首脳会談の実現をめぐるトランプ米大統領の発言にも相場が左右され、不安定な値動きが続いた。

週末にかけては、9月の米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが広がったものの、テスラ[TSLA]のビットコイン保有継続が確認され、やや買い優勢で推移した。USDTのユーザーが5億人を突破したとの象徴的なニュースも伝わり、ステーブルコイン市場に対する過度な懸念が後退したことも支えとなった。

 

来週(10月24日~10月30日)の相場予想

BTC(ビットコイン)は米政府閉鎖問題とFOMCを前に買い戻し優勢か、金調整で相対的強さも

来週のビットコインは、米政府閉鎖問題の行方とFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えた利下げ観測を背景に、買い戻し優勢の展開を予想する。

まず焦点となるのは、米政府閉鎖をめぐる交渉の行方である。ホワイトハウス関係者の発言を受け、短期的な合意に向けた期待が高まっており、閉鎖が解除されれば政治リスクの後退によりリスク資産全般に買いが波及する可能性がある。米株市場の持ち直しに連動して、ビットコインにも資金流入が広がるだろう。

一方で、野党の反対によって閉鎖が長期化した場合には、政府への不信感や財政リスクが意識されることで、リスクオフの流れが再燃する恐れもある。ただしその際も、法定通貨の信認低下を背景に「無国籍資産」としてのビットコインが再評価される可能性がある。金が調整局面にあるなか、先行して下げを消化したビットコインは相対的に買われやすい地合いとなりそうだ。

また、来週開催予定のFOMCでは、すでに市場が利下げを織り込みつつある中で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言が最大の注目点となる。議長が量的引き締め(QT)停止や年内追加利下げに前向きな姿勢を示せば、金利低下観測を通じて暗号資産市場に追い風となるだろう。もっとも、想定よりもタカ派的な発言が出た場合には、短期的な利益確定売りが強まり、上値を抑えられる局面も想定される。

さらに、米企業決算にも注目が集まる。GAFAをはじめとするハイテク大手や、コインベース[COIN]、ストラテジー[MSTR]など暗号資産関連企業の好業績が確認されれば、市場センチメントの改善につながる。加えて、ビザ[V]やマスターカード[MA]、S&Pグローバル[SPGI]などによる暗号資産事業拡大に関する新たな発表があれば、需給改善の材料として注目されるだろう。逆に、各社の業績が市場予想を下回る場合は、リスク資産全般に調整圧力がかかる可能性もある。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=115,000ドル(約1,753万円)、下値はBTC=105,000ドル(約1,601万円)を意識する。