今週(10月10日~10月16日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):米中関係悪化と過剰レバレッジ解消で急落

ビットコインは、米中関係の悪化と過剰レバレッジ解消を背景に急落し、その後は下値模索の展開となった。

10月10日、トランプ政権が中国向け輸出関税の100%引き上げを発表したことで世界的なリスクオフが強まり、ビットコインも急落。安全資産とされる金が上昇する一方で、暗号資産市場では複合的な売り圧力が発生した。

特に、バイナンスで流通する新興ステーブルコイン「USDe」が一時的に米ドルとのペッグを外れ、0.65ドル付近まで下落(※)。このデペッグを契機に市場の流動性懸念が広がり、レバレッジポジションの連鎖的な解消が進行した。市場では過去最大級となる約200億ドル規模の清算が発生し、これに伴ってビットコインは一時BTC=110,000ドル(約1,661万円)を大きく割り込んだ。

その後は米国株の下落一服を受けて買い戻しも入り、一時BTC=115,000ドル(約1,736万円)台半ばまで反発。しかし、トランプ米大統領の発言が一転二転する中で米中貿易摩擦への警戒が続き、再びBTC=110,000ドル(約1,661万円)付近まで下落した。パウエルFRB議長(米連邦準備制度理事会)が量的引き締め(QT)停止を示唆したことで一時的にリスク選好が戻る場面もあったものの、暗号資産保有企業の評価損リスクやステーブルコイン市場の信認低下が意識されるなど、軟調な推移が継続した。

※バイナンスがUSDe価格を外部価格フィードではなく自社オーダーブックデータを参照する仕組みを採用していたことが影響し、流動性の薄い板データが価格崩れを助長した可能性があるとされる。

 

来週(10月17日~10月23日)の相場予想

BTC(ビットコイン)は過剰レバレッジ整理を経て底打ち模索の展開か

来週のビットコインは、米中貿易摩擦や米政府閉鎖問題をめぐる不透明感を抱えつつも、過剰レバレッジ整理後の底打ちを試す展開が予想される。

トランプ米大統領による対中政策発言は引き続き警戒材料となるものの、度重なる交渉戦術には市場がある程度織り込みを進めており、反応は限定的となる可能性が高い。今回の下落も、米政府閉鎖で手掛かりを欠く中での発表をきっかけとしたもので、その影響は一時的とみられる。

一方で、一部ではトランプ一族によるインサイダー取引の関与を疑う報道も出ており、暗号資産市場の信頼性が一時的に揺らいでいる点には注意が必要だ。こうしたセンチメント面の不安が続けば、相対的な投資妙味が薄れる中で資金が株式や金といった他の資産へシフトする可能性もある。

他方で、今回の急落によって過剰なレバレッジポジションが一掃され、市場構造が健全化した点はポジティブに評価できる。大規模清算を経て短期的な売り圧力が後退しており、好材料が重なる中で下値を固める動きが強まれば、反発に転じる展開が期待される。

注目材料としては、10月24日に発表予定の9月米消費者物価指数(CPI)が挙げられる。パウエルFRB議長が量的引き締め(QT)停止を示唆したことで利下げ期待が高まっており、インフレ鈍化が確認されればリスク資産全体の支援材料となるだろう。

また、BTC保有企業であるテスラ[TSLA]の決算発表も焦点となる。ビットコイン保有継続が確認されれば、投資家心理の安定につながる可能性がある。直近ではイーロン・マスク氏がSNS上でビットコインに言及しており、再び市場を動かす存在として注目を集める展開も考えられる。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=118,000ドル(約1,781万円)、下値はBTC=105,000ドル(約1,585万円)を意識する。