現在のファンダメンタルズ:自公連立解消と米国の対中追加関税でリスクオフに
先週(10月6日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 148.991円~153.271円 151.180円
・ユーロ/米ドル:1.15422ドル~1.17304ドル 1.16245ドル
・ユーロ/円: 174.678円~177.934円 175.747円
先週(10月6日週)の米ドル/円:10月10日海外市場で急速に円安の巻き戻し
高市新総裁誕生で株高・円安スタート
先週(10月6日週)の米ドル/円は、10月4日投開票の自民党総裁選で勝利した高市氏が積極財政派で金融引き締めに否定的なことから、週明け早朝の株式市場は大幅高、為替市場の米ドル/円相場は円大幅安でスタートしました。米ドル/円は10月3日終値147.481円からギャップアップして149.075円で始まり、10月6日のうちに150円の大台をあっさりと突破する激しい動きを見せました。
高市新総裁の経済ブレーンである本田元内閣官房参与が「150円超えはやや行き過ぎ」と話したことで一時的な押しも見られましたが、同時に日銀の10月利上げは困難という見方に引っ張られた感が強く、その後も円安地合いは変わらず。海外勢を中心に長期的な視点から円売りに動く向きが多く、この流れは10月10日東京前場まで続き、10月10日朝方には153.271の週間高値をつけました。
公明連立離脱とトランプ米大統領のSNS投稿で日米株式市場は下落
しかし、週初から一方的な円安が続いてきたことから週末を前にした利食いも出て、仲値以降は徐々に水準を切り下げ、欧州市場では公明党が連立離脱とのニュースも流れ152円台半ばでNY市場入りとなりました。NY市場昼前にはトランプ米大統領が「中国は敵対的になっているため関税引き上げを検討」とSNSに投稿したことで株式市場は大幅安、さらに引け間際には「11月1日から100%の追加関税」と表明したことで、株価はさらに大幅安に。米ドル/円も151.174円と朝方高値から2円以上の円高水準となり、ほぼ安値での引けとなりました。
週明けの東京市場は休場で大阪取引所の日経平均先物のみ取引が行われていました。夜間取引ではパニックで4万5180円まで下げたものの、10月13日朝は4万6590円からスタートし落ち着きを取り戻したようです。それに伴い円相場もやや円安での取引となり午前9時現在では152円前後での取引となっています。
なお、10月20日週以降に召集される見通しの臨時国会での首班指名選挙では野党が統一候補を出せるとは思えませんが、公明の連立離脱で自民のみでは衆議院で196議席しかないため、もし立憲+国民民主+維新が共闘となると210議席で票数が逆転します。立憲も推す可能性が高い国民民主代表の玉木氏が首相となる可能性も含め、今週は荒れ模様の1週間となりそうです。
先週(10月6日週)のユーロ/米ドル:フランスの政局不安がユーロ売り材料に
先週(10月6日週)のユーロ/米ドルは、10月6日にフランスのルコルニュ首相が辞任。就任からわずか1ヶ月、組閣から15時間未満とフランス近代史上最も短命な政権となりました。前週に上値が重く戻りが弱かったユーロ/米ドルの絶好の売り材料とされました。米ドル/円とともにユーロ/円でも円売りが入っていたことから当初の下げは限定的ではあったものの円売りの動きとともにユーロ売りも強まり、10月9日には1.15422ドルと8月5日以来の安値をつけました。10月10日NY市場では米国の対中追加関税の発表があったことから1.16ドル台前半へと戻しました。
一方でユーロ/円は米ドル/円の円安とともに円売りが強まり、10月9日には177.934円の週間高値をつけ、10月10日は175円台後半へと押して引けましたが、177.934円は1990年12月以来の水準です。1990年高値188.22円レベルがテクニカルにはターゲットとされやすい水準ですが、フランスと日本の政局不安でいったん上値トライは終わったようです。
そしてフランスの政局ですが、なんとマクロン大統領は10月10日にルコルニュ氏を首相に再任命しました。組閣15時間未満で辞任したと思ったら4日後に再任命。いったいどうなっているんだという感じですが、フランスの首相は2年間で5人も退陣していますので、驚くことではないのかもしれません。フランスの政局がみえてくるまではユーロは買いにくい流れになってきました。
米ドル/円チャート(週足)、上昇チャンネル内での動きが続く
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャート(図表1)では、黄色いライン(長期)で示されるほぼ上昇チャンネル(ウェッジ)の中での動きが続いています。10月10日(金)に高値で上側ラインをトライしようとしたところで海外市場の下げでチャンネル内に押し戻された格好です。
短期的には日足チャートを見ていきましょう。
米ドル/円チャート(日足)、10月6日にゴールデン・クロス、週初の動き次第で転換も
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
米ドル/円は10月1日安値を目先の底に高市トレードによる大幅な円安となったことから10月6日にはゴールデン・クロス(GC)が発生しました(図表2)。その後も円安は進行しましたが10月10日の高値が目先の高値となりました。首班指名がどうなるのか、円安再開には高市首相が誕生する必要があるという状況です。仮に野党から首相が誕生となると高市トレードの更なる巻き返しが出る可能性もありますので、今週(10月14日週)の各党の動きが重要です。
現在は先週高値153.271円をレジスタンスとする流れですが、サポートは8月1日高値150.914円(青の水平線)と直近安値と高値の38.2%押し150.720円(緑のターゲット)となります。当面は政治関連ニュースを気にしつつ、ゴールデン・クロスが続くか否かを見ていく週初の円相場となります。
ユーロ/米ドルは移動平均下抜け1週目
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は上昇ウェッジ(黄色のライン)の中での動きを続けていましたが、先週終値でウェッジを下抜けたと同時に20週移動平均線をも下抜ける動きとなりました。今週終値も移動平均線を下回ると長期トレンドがユーロ安へと転換することになりますので、今週(10月14日週)はそのための準備段階にある週と言えます。
日足チャート(図表4)では上昇ウェッジのサポートラインを下抜けしている様子がよくわかりますが、現状は年初来高値を起点とした下降チャンネル(青の平行線)の中での推移に転じたと言って良いでしょう。今週末10月17日の終値が週足移動平均線を下回るならば今後は戻り売りが中心となってきます。現在は10月7日のデッド・クロス(DC)状態が続いていますので、値頃感での買いという動きは避けた方がよさそうです。
ユーロ/円は年初来高値を再び更新か
ユーロ/円です。
ユーロ/円は先週も年初来高値(177.934円)まで伸ばしたところから反落する動きとなりましたが、長期的にはまだ上昇トレンド継続です。ただユーロ/米ドルが下降トレンドに転換しつつある現状を踏まえると、ユーロ/円の長期トレンドも上昇一服後の調整局面入りと見た方がよさそうです。(図表5)。
日足チャート(図表6)では10月6日にゴールデン・クロス(GC)となり、高値からの下げでデッド・クロス(DC)に転換する可能性も出てきたという段階です。まだ転換確定ではありませんので、テクニカルには待ちとなります。
なお、今回の下げは直近安値と高値との38.2%押し175.770円で下げ止まっていること、またこれまでの平行上昇チャンネルの上側のラインが同じ水準にあることから、短期的にはいったん下げ止まりという可能性の方が高いように思えます。ただし、円相場を取り囲む状況を考えると、今週は柔軟に動かなくてはならない週と言えるでしょう。
それでは今週も良いトレードを!
