現在のファンダメンタルズ:FOMCは0.25%利下げ、日銀は現状維持と予想通り
先週(9月15日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 145.480円~148.279円 147.964円
・ユーロ/米ドル:1.17162ドル~1.19183ドル 1.17434ドル
・ユーロ/円: 172.895円~174.499円 173.775円
先週(9月15日週)の米ドル/円:金融政策イベントは予想通りに通過
先週(9月15日週)の米ドル/円は、週初は日本が祝日で全くの動意薄の流れで、9月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げも9月19日の日銀会合での現状維持も織り込み済みでした。日米金利差縮小の思惑から、週初の147円台後半からFOMCに向けてはじりじりと米ドル売り・円買いが進み、FOMC前には146円台前半へと円高の動きが強まりました。
FOMCでは予想通り0.25%利下げとなり、発表直後の米ドル/円は7月7日以来の145.480円をつけたもののすぐに反発。いったん材料出尽くしと見た市場参加者による利食いと米金利が上昇する動きから、147円台を回復後に若干押しての引けとなりました。またドットプロット(FOMCメンバーによる金利見通し)は年末時点で3.5~3.75%と市場参加者の見通しと同様、毎回利下げを見込む結果となりました。
翌9月18日も米ドルの買い戻しが続き日銀会合の直前は148円水準となっていました。結果は現状維持だったものの2名が利上げ票を投じたこと、またETFの売却(簿価ベースで年間3300億円)を開始するとの決定もあり、直後は円買いで反応しました。一時147.195円と80銭ほど動いたものの、総裁会見では追加利上げに対して慎重な発言もみられ、元の水準へと戻しました。今回も日銀会合後は円安に動きやすいというパターンを繰り返したと言えます。
今週(9月22日週)はいったん金融政策イベントを予想通りに通過したことで次の材料探しという流れに戻ります。長期的には日米金利差がまだ0.75%縮小する(FRBが2回利下げ、日銀が1回利上げ)可能性が最も高いことを考えると、本流は円高方向への動きということになります。ただ自民総裁選に向けての高市氏の政策から、目先はもみあいが続きやすいということになりそうです。
先週(9月15日週)のユーロ/米ドル:ユーロは対米ドル、対円とも年初来高値更新
先週(9月15日週)のユーロ/米ドルは、FOMCまでは米ドル安の動きに沿ってユーロがじり高の動きを続けました。FOMCでの利下げ発表直後には1.19183ドルと年初来高値を更新しましたが、その後は米ドル買い戻しの動きとともにほぼ週初の水準へと押しての週末クローズとなりました。
またユーロ/円は上下しながらも週を通してじり高の流れが続き、日銀会合前に174.499円と、こちらも時間差で年初来高値を更新し、その後は利食いも出て173円台後半に押しての引けとなりました。
主要3極の金融政策を考えると、ECB(欧州中央銀行)は利下げサイクル終了、FRBは利下げ再開、日銀も利上げ再開というのが現時点でのシナリオとなっています。そのため、ユーロ/米ドルの底堅さはわかりやすいものの、ユーロ/円の底堅さは自民総裁選までの動きと考えておいた方がよいでしょう。
米ドル/円チャート(週足)、収束を抜けるなら今週か来週
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャート(図表1)では、7月下旬以降上下のヒゲ実体部分が短いローソク足が続いています。買われても売られても元に戻す動きが続いているからと冷静になればその通りなのですが、テクニカルには三角もちあい(黄色のサポートとレジスタンス)を今週(9月22日週)か来週(9月29日週)にも抜けてもおかしくない流れとなっています。ただ、このまま今週来週ともレンジ相場が続くと三角もちあいの頂点に到達してしまい、そうなると放れの旬を逃したパターンとなり、更なる横ばいと次の動きを探る展開となってしまいます。
短期的にはどうでしょうか、日足チャートをご覧ください。
米ドル/円チャート(日足)、9月17日にゴールデン・クロス
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
米ドル/円は9月17日のFOMC後の動きからゴールデン・クロス(GC)が発生し週末時点でも変わっていません(図表2)。短期テクニカルでは米ドル買いが支持されるチャートとなっています。ただ、米ドル/円のコメントにも書いた通りですが、現在の円安地合いは自民党総裁選まで、長期的には米ドル安の流れが本流であることを考えると、少なくとも週足チャートの三角もちあいを週足終値で明確に抜ける動きが必要です。そうした意味では今週(9月22日週)と来週(9月29日週)末の終値は重要な意味を持ってきます。
ユーロ/米ドルは高値圏からの上放れ直後に下押し
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)が移動平均線を上回った状態で年初来高値を更新してきたことを考えると、ユーロ高の流れが米欧金利差的にも支持される流れにあります。しかし、FOMC後の反転で終値は6月30日週からのレジスタンスライン(青)の下に押していて明確に抜けたとは言えない状態です。
日足チャート(図表4)でもレジスタンスラインの下にいることが確認できますが、現状は緑の平行上昇チャンネルの中での動きと見てよさそうです。ただ、先週後半の下げでチャンネル下限のサポートに近づいている点には注意が必要でしょう。2本の移動平均線は9月5日以降現時点までゴールデン・クロス状態が続いていますが、9月19日まで3連続陰線となり、本日にもデッド・クロスに転じる可能性が高い状態です。
レポートを参考にされている方は、ここですぐユーロ買いに動くのではなく、少なくとも本日9月22日の引け時点での移動平均線の位置関係を確認してからが良いと言えます。
ユーロ/円も年初来高値を更新後に失速の可能性
ユーロ/円です。
ユーロ/円は7月28日週の大陰線の高値を先々週(9月8日週)、先週(9月15日週)と2週連続で更新する動きとなってきたことで、当面はこの陰線のことは忘れてよさそうです。ただユーロ/米ドルが失速していることからユーロ/円も2024年高値175.422円をターゲットとしながらも目先では抜ける動きにはつながらない可能性が高いでしょう(図表5)。
日足チャート(図表6)では9月12日にゴールデン・クロスとなり、現状もその状態が続いていることからテクニカルにはユーロ買いです。ただ、ECBの利下げサイクルが終わり今は自民党総裁選に向けて対米ドル、対円とも円安地合いにある故のユーロ/円上昇とも言えますので、今後どこかでデッド・クロスが出るようであればいったん降りるほうが良いと思います。ただ、それまではユーロ買い継続がワークしやすいでしょう。
それでは今週も良いトレードを!
