【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 42,866.87  △105.11 (6/10)
NASDAQ: 19,714.99  △123.75 (6/10)

1.概況

昨日の米国市場では、主要3指数が揃って上昇しました。半導体受託生産最大手の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]が10日に発表した5月の売上高が前年同月比で39.6%増と大幅に伸び、AI半導体需要の底堅さを示したことを受けて、半導体株やハイテク株を中心に買いが入りました。一方で、米中の閣僚級協議の結果や、11日・12日に発表されるCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)の結果を見極めたいとの動きから、上値の重い展開となりました。

ダウ平均は23ドル安の42,738ドルで取引を開始し、その後51ドル安の42,710ドルで安値を付けました。安値を付けた後は一進一退の展開となり、高値は164ドル高の42,925ドルを付けました。最終的には105ドル高の42,866ドルで取引を終え、反発となりました。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は123ポイント高の19,714ポイント、S&P500株価指数は32ポイント高の6,038ポイントとなり、いずれも3日続伸しました。

2.経済指標等

主要な経済指標の発表はありませんでした。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち10業種が上昇となり、特にエネルギーや一般消費財・サービス、ヘルスケア、コミュニケーション・サービスが1%超上昇しました。一方で、資本財・サービスの1業種のみが1%未満の下落となりました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中21銘柄が上昇となりました。なかでも、ナイキ[NKE]が3%超上昇したほか、メルク[MRK]やウォルト・ディズニー[DIS]が2%超上昇しています。また、シェブロン[CVX]やアイビーエム[IBM]、アムジェン[AMGN]、ビザ[V]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]も1%以上上昇しました。一方で、9銘柄が下落となり、なかでもセールスフォース[CRM]やマクドナルド[MCD]、トラベラーズ・カンパニーズ[TRV]、シスコシステムズ[CSCO]が1%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、インテル[INTC]が7.8%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。また、テスラ[TSLA]は同社CEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏とトランプ大統領の関係性悪化から下落が続いていましたが、トランプ大統領が同氏に歩み寄る発言をすると、株価は5.7%上昇となりました。

一方で、加工食品のジェイ・エム・スマッカー[SJM]は、第4四半期決算でEPS(1株当たり純利益)は市場予想を上回ったものの、売上高が市場予想を下回ったほか、通期のEPS見通しを下方修正したことが嫌気され、15.6%下落してS&P500株価指数構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。また、アボカドなどの生鮮食品会社キャラボ・グロワーズ[CVGW]は、第2四半期決算で売上高、EPSともに市場予想を下回り、16.3%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から横ばいの4.47 %で取引を終えました。ドル円は、144円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

昨日の米国市場は、主要3指数が揃って小幅に上昇となりました。この流れを受け、日本市場も小高く始まると見込まれます。特に、昨日の米国市場では、上述の台湾TSMCが発表した5月の月次売上が好調となったことを受け、フィラデルフィア半導体株(SOX)指数は2%超上昇していることから、本日の日本市場でも半導体関連株の買いが期待されます。一方、本日の夜には米CPIの発表が控えていることから、上値では様子見の展開となりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)