【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 44,565.07 △408.34 (1/23)
NASDAQ: 20,053.68 △44.34 (1/23)
1.概況
昨日の米国市場は、主要3指数が揃って4日続伸しました。トランプ大統領はダボス会議にオンラインで出席し、サウジアラビアなどに原油価格の引き下げを求める考えを明らかにしたほか、原油価格が下がった場合には、FRB(米連邦準備制度理事会)を念頭に政策金利の引き下げを求める旨の発言をしました。
一方で、不透明感の募る貿易政策を巡っては、関税を避けたければ米国での生産・製造を求める旨の発言があったものの、具体的に踏み込んだ発言はなく、投資家に安心感が広がりました。ダウ平均は43ドル安で取引を開始するもすぐに上げに転じ、その後は景気敏感株やディフェンシブ株の一角に買いが入り指数を支え、終日上げ幅を広げていく展開となりました。最終的にダウ平均は408ドル高の44,565ドルとほぼ高値で取引を終えました。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は44ポイント高の20,053ポイントと小幅に上昇しました。S&P500株価指数も32ポイント高の6,118ポイントとなり、2024年12月6日に付けた史上最高値(6,090ポイント)を更新しています。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は、前週比0.6万件増加し22.3万件となり、改善を見込んでいた市場予想に反して悪化しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、11業種全てが上昇となりました。とくにヘルスケアが1%以上上げたほか、資本財・サービスや不動産、コミュニケーション・サービスが1%近く上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中26銘柄が上昇しました。特に、キャタピラー[CAT]やボーイング[BA]、ウォルト・ディズニー[DIS]が2%以上の上昇を記録したほか、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]やアムジェン[AMGN]、ビザ[V]など10銘柄が1%以上の上昇となりました。一方で、4銘柄が下落となり、特にトラベラーズ・カンパニーズ[TRV]が2%以上下落したほか、コカコーラ[KO]やシェブロン[CVX]、アップル[AAPL]が小幅に下落しています。
ダウ平均構成銘柄以外では、GE エアロスペース[GE]が、四半期決算にて、市場予想を上回る売上高、EPS(1株当たり純利益)を公表したほか、70億ドルの自社株買いと30%の増配計画も発表したことで、6.6%上昇しました。また、オラクル[ORCL]の元CEO(最高経営責任者)のラリー・エリソン氏が、がんワクチン開発におけるAIの可能性を称賛したことなどを受けて、モデルナ[MRNA]が10.1%上昇と急騰し、S&P500構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。一方で、アメリカン航空グループ[AAL]は、市場予想を上回る売上高とEPSを達成したものの、第1四半期のガイダンスが予想外の赤字見込みとなり、8.7%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日比0.03%高い4.64%となりました。ドル円は、156円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場は、景気敏感株への買いが入り続伸となりました。この流れを引継ぎ日本市場でも上昇が期待される一方、本日は日銀政策決定会合の結果公表があることから、様子見の展開が予想されます。市場では利上げの織り込みが概ね完了しているものの、今後の政策運営方針に関する発言などに注目が集まります。
個別銘柄では、トランプ大統領が23日に暗号資産や人工知能に関する行政措置に署名したと報じられており、詳細は未だ不明ながら関連銘柄の上昇が期待されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)