米長期金利(10年債利回り)に上昇一服の可能性

先週末(1月13日週)の米国株式市場でダウ平均、S&P500、ナスダックの主要3指数は軒並み高となり、S&P500に関しては2024年来高値(12月の6090.27ポイント)まであと1.6%程度まで回復しました。トランプ政権による景気浮上期待が高まれば、史上最高値を再び更新することは時間の問題でしょう。1月17日、国際通貨基金(IMF)も2025年の米国の成長率を上方修正しました。

一方で、株価の上値の重荷となってきた米長期金利(10年債利回り)に上昇一服の可能性が出てきました。2020年に1.0%を割り込んでいた10年債利回りは、現在でも上昇トレンドが続いていて、2023年に終値ベースでつけた4.988%がこれまでの最も高い水準です。トレンドが継続している以上は5%を終える局面でも驚くことなく、十分な想定が必要です。

しかし、短期的には10年債利回りの上昇一服はテクニカル面からも試算できます。2023年10月19日の4.988%から同年12月27日の3.795%までの低下幅と同値幅を、2024年9月16日の3.619%からの上昇幅として当てはめた水準が概ね4.8%程度です。先週(1月13日週)は4.789%まで上昇後に一服していますが、ここで歯止めがかかれば、株価には支援材料になるでしょう。金利低下は、高PER(株価収益率)が多いハイテク株主体のナスダックに、特に追い風になります。

米半導体株指数(米SOX指数)の上昇にも期待値が高まる

市場全体が再びリスク選好の流れになれば、出遅れ感のある米半導体株指数(米SOX指数)の上昇にも期待値が高まります。米SOX指数は主要3指数が2024年12月に史上最高値を更新した間でも、2024年8月の急落後の安値を起点としたトレンドライン上で上げ下げを繰り返すもみ合いにとどまり、蚊帳の外の状態にありました。

主要3指数が2024年12月につけた史上最高値から調整色を強める場面でも、比較的底堅かった(安定していた)米SOX指数の下値が保たれていたからこそ、S&P500やナスダックの調整が浅くすんでいたとみています。米SOX指数のもみ合いがどちらに放れるか、上放れれば主要3指数の上値を押し上げ、下放れると一段安に影響することが予想されます。2025年に入り2024年12月の戻り高値を上回ってきており、可能性は上放れの方が高いかもしれません。

足元は高値から下げていますが、指数に影響するエヌビディア[NVDA]の株価が頑張っていて、強気トレンドはまったく崩れていません。エヌビディアの過熱感は時間軸の取り方ではそういえますが、基本的にトレンドはどこまで続くかわかりません。しかし、米SOX指数が2024年7月につけた史上最高値を今後更新するシナリオは、ありえることでしょう。

日本の半導体関連にも出直り気運

国内の半導体関連にも出直り気運が出てきました。米国による半導体規制などの問題で日次ベースの値動きは神経質になっていますが、短期的なトレンドが強気転換したと判断できる動きがみられます。

例えば、日経平均採用銘柄でいくと、ディスコ(6146)は終値ベースで2024年8月以降の戻り高値を更新してきました。東京エレクトロン(8035)は終値ベースで2024年9月以降の戻り高値を更新し、SCREENホールディングス(7735)は2024年12月の戻り高値を更新してきました。エヌビディアの強さに連動していたアドバンテスト(6857)に引き寄せられる動きになりつつあります。

防衛関連や電線関連の上値が重くなっており、次の物色テーマを探そうとしている雰囲気が2025年の年初から見え隠れしている中・小型の半導体関連も含め、短期の注目テーマとしたいところではないでしょうか。