今週(5月17日~5月23日)の相場動向
相場回顧 BTC:イーサリアム現物ETFの承認期待を受けて急上昇
ビットコインは、米国におけるイーサリアム現物ETFの承認期待が急速に高まり、イーサリアムが高騰する中で、日本円建てで史上最高値を更新した。
4月米消費者物価指数の鈍化を受けて利下げ観測が高まり、ダウ平均が史上初の4万ドルを記録する中、ビットコインは堅調に推移した。ボウマンFRB理事が「インフレは高止まりする」との見通しを示したことで米国金利が反発し、半減期後の高値水準であるBTC=1,049万円(67,000ドル)付近では上値が重くなった。また、イラン大統領の事故死が報じられ、地政学リスクを意識した売りも強まった。
しかし、米国でイーサリアム現物ETFに関するSEC(米国証券取引委員会)と申請企業との建設的なやり取りが報じられると、5月の否決予想から一転して承認期待が高まった。これを受けてイーサリアムがETH=59万円(3,800ドル)付近まで高騰し、ビットコインも連れ高してBTC=1,111万円(71,000ドル)付近まで急上昇した。ウォラーFRB理事のハト派寄りの発言もあってナスダックが史上最高値を更新する中、ビットコイン現物ETFへの資金流入も継続した。
その後、イーサリアムの上昇が一服し、ビットコインも利益確定売りが強まった。FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨では当局者の利下げ開始に慎重な姿勢が伝わり、米国株とともに軟調に推移した。5月24日早朝に米国でイーサリアム現物ETFの承認が発表されたが、本稿執筆時点で相場への影響は限定的となっている。
来週(5月24日~30日)の相場予想
BTCは米国におけるイーサリアム現物ETFの承認でさらなる上昇に期待、インフレ指標にも注目
米国では、来週も重要なインフレ指標の一つであるPCE指数の発表があり、予想を上振れるか下振れるかによって金利動向とともにリスク資産の相場は左右されるだろう。次回6月のFOMCにかけては経済指標や当局者発言で相場が一喜一憂する展開が継続する。
しかし、パウエルFRB議長は再利上げの可能性を否定しており、4月経済指標の鈍化を受けて利下げ開始の方向性がより裏打ちされた。その時期を巡って短期的に価格が変動することはあるだろうが、中長期的に見て下げづらい相場になりつつあると考える。
さらに米国ではイーサリアム現物ETFが承認された。ビットコイン現物ETFの時と同様に事実売りが一時的に強まる恐れはあるが、個人投資家や富裕層顧客を抱える大手金融機関を中心に新規の買いが入り、イーサリアムが高騰する可能性がある。これによりビットコインをはじめ暗号資産全体が上昇することが期待される。
今回、SECがイーサリアムに対する姿勢を一変させた背景には、暗号資産界隈を支持者として取り込もうとするトランプ前大統領に対抗する政治的な狙いがあるという指摘もなされている。その真偽はさておき、米国大統領選挙の中で暗号資産が議論のテーマの一つになることで、社会的な注目とともに市場が拡大することは考えられるだろう。
直近、上値として史上最高値付近であるBTC=1,158万円(74,000ドル)、下値として上昇前の高値であるBTC=1,049万円(67,000ドル)を意識する。