東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて小幅に続伸となりました。177円高の38,533円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分弱で460円高の38,816円まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと後場に入り14時40分頃にマイナスに転じました。
しかし、20円安の38,335円で下げ渋るとやや持ち直し結局29円高の38,385円で取引を終えています。一方でTOPIXが小幅に下げたほか、新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
ソニーグループ(6758)が一時12.1%高となりました。決算発表にあわせて1株を5株にする株式分割や自社株買いを発表したことに加え、財務負担を懸念する見方があった米メディア大手のパラマウント・グローバル[PARA]の買収を再検討していると伝わったことから買い戻しが入りました。
同じく本決算を発表した三越伊勢丹ホールディングス(3099)や三井住友トラスト・ホールディングス(8309)も買われました。三越伊勢丹ホールディングスはインバウンド需要の拡大で百貨店事業が堅調に推移することなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で17.7%増となる見通しを示し市場予想を大きく上回ったことや、自社株買いを発表したこともあり一時21.3%高となり上場来高値を更新しました。
三井住友トラスト・ホールディングスも政策保有株式の削減などに伴い株式の関係損益が大幅に改善することなどにより2025年3月期の純利益が前期比で3倍となる見通しを示し、市場予想を上回ったことから一時10.0%高となり年初来高値を更新しています。
西武ホールディングス(9024)も一時7.4%高となりました。シンガポールの投資ファンドでアクティビスト(物言う株主)として知られる3Dインベストメント・パートナーズが西武ホールディングス株を5.01%保有していることが関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになったことから大幅高となりました。
一方で本決算を発表したニトリホールディングス(9843)が一時17.2%安となりました。円安が重荷で2024年3月期の経常利益が1989年の上場以来初の減益となったことや、増益を見込む2025年3月期の経常利益も市場予想に届かなかったことから売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は29円高となりました。米卸売物価指数(PPI)で3月分が下方修正されたことでインフレへの過度な警戒感が後退し昨日の米国市場が上昇となり、ナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。
しかし、朝方には460円高となる場面もありましたが、4月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることから買い一巡後に伸び悩むと後場に入りマイナスとなる場面もありました。その米CPIは日本時間の21時30分に発表となります。米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の金融政策を占ううえで関心が高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。
また、決算発表も終盤ですが本日も引け後にはリクルートホールディングス(6098)や日本郵政グループ3社、3メガバンクなどが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)