【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 37,815.92 ▼570.17 (4/30)
NASDAQ: 15,657.82 ▼325.26 (4/30)
1.概況
米国市場は雇用コスト指数が市場予想を上回る伸びとなったことで賃金インフレを警戒した売りが出て3日ぶりに反落となりました。48ドル安でスタートしたダウ平均は寄り付きを高値に一日を通して下げ幅を大きく広げると結局570ドル安の37,815ドルで取引を終えほぼ安値引けとなりました。ダウ平均の下げ幅は今年最大となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も325ポイント安の15,657ポイントとなりました。
2.経済指標等
1-3月期の米雇用コスト指数は前期比1.2%上昇と前四半期から伸びが加速し市場予想を上回りました。2月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数20都市圏住宅価格指数も前年同月比7.3%上昇し市場予想を上回りました。一方で4月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は37.9と前月から低下し市場予想も下回りました。4月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数も97.0と前月から低下し市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもエネルギーが3%近く下落したほか、一般消費財・サービスと情報技術も2%以上下げています。また、不動産と素材も2%近く下落し、資本財・サービスとコミュニケーション・サービスも1%以上下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中28銘柄が下げました。そのなかでもユーロネクスト市場での上場廃止を申請したと発表したキャタピラー[CAT]が4%を超える下落となったほか、アマゾン・ドット・コム[AMZN]とボーイング[BA]、マイクロソフト[MSFT]、シェブロン[CVX]も3%以上下げました。一方でスリーエム[MMM]とプロクター・アンド・ギャンブル[PG]の2銘柄が上げ、スリーエムは決算が市場予想を上回ったことで4%を超える上昇となっています。ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株が安く、テスラ[TSLA]が5%を超える下落となり、グーグルの持ち株会社であるアルファベット[GOOGL]も2%安となりました。半導体株も軟調でブロードコム[AVGO]が3%近く下げ、クアルコム[QCOM]も2%近く下落しました。エヌビディア[NVDA]とアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]、マイクロン・テクノロジー[MU]、テキサス・インストゥルメンツ[TXN]も1%以上下げています。なお、アドバンスト・マイクロ・デバイシズは取引終了後に決算を発表し、4-6月期の売上高の見通しが市場予想並みに止まったことから時間外取引で一段安となっています。
5.為替・金利等
長期金利は雇用コスト指数が市場予想を上回る伸びとなったことから0.07%高い4.68%となりました。ドル円は157円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)