今週(4月5日~4月11日)の相場動向
相場回顧 BTC:半減期前で買いは入るが上値の重い展開
ビットコインは現物ETF関連の好材料を受けて上昇する場面はみられたが、米国株とともに上値の重い展開となった。
4月5日に発表された米3月雇用統計が市場予想を大きく上回る結果になり、利下げ観測が後退した一方で米国経済の強さを好感する見方も広がった。その中、破産企業ジェネシスによるグレースケールの現物ETF【GBTC】の売却が完了したことが伝わり、全体で現物ETFの資金流入が回復した。また、コインベースに対する集団訴訟の控訴審で裁判所が同社に有利な見解を示したこともあり、ビットコインは次第に買いが強まった。
4月8日には香港で中国系の資産運用会社が現物ETFの上場申請をしたことが話題となり、香港における現物ETFへの期待でBTC=1,109万円(72,500ドル)付近まで高騰した。この時、円安進行の影響もあり日本円建てでは史上最高値を更新した。しかし、米国時間では再びGBTCからの資金流出が拡大し、現物ETF全体が再び流出超過に陥ったことで売りが強まった。
これまで相場を押し上げてきたミームコインが大きく下落する中、ビットコインの半減期前後の調整を警戒する声もあり、4月9日にはたちまち急落してBTC=1,071万円(70,000ドル)を割り込んだ。米3月消費者物価指数が市場予想を上回ったことで米国金利が急騰しBTC=1,040万円(68,000ドル)付近まで価格を下げたが、FOMC議事要旨の内容や香港における現物ETF承認の期待で買い戻しが強まりBTC=1,071万円(70,000ドル)を回復した。
その後、米SEC(米国証券取引委員会)が大手分散型取引所ユニスワップに対して訴訟の警告を出したことが明らかになり、米国における暗号資産に対する取り締まり強化が懸念されて上値が重くなった。
来週(4月12日~4月18日)の相場予想
BTCは米国企業決算や香港ETFなど好材料なければ半減期前後の売りに警戒
来週から米国ではゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの金融機関を中心に2024年第1四半期の決算発表がスタートする。堅調な経済指標を受けた米国金利の上昇によって上値を抑えられる可能性もある。しかし、決算シーズンは市場の関心が金利動向から景気動向に傾くため、企業業績の良し悪しがそのまま相場を左右するだろう。従って、各社の業績が事前予想を上回れば、素直に米国株とともにビットコインの買いが強まると予想する。
また、米国ではビットコインの現物ETFへの資金流入の勢いが衰えており、流出超過の傾向が続くようであれば売り優勢の展開になると思われる。一方で、米国株が強い値動きとなった場合、もしくは香港で新しく現物ETFが承認された場合には再び買いの勢いを取り戻す可能性がある。4月20日前後に控える半減期にかけては一定の買いも入るだろう。しかし、挙げた2つの好材料が起きなかった時には、米国における暗号資産関連訴訟などの懸念もある中で上値が重くなると予想する。半減期前後の急落にも警戒したい。
直近、上値として史上最高値付近であるBTC=1,132万円(74,000ドル)、下値として3月初旬の急落時に記録したBTC=918万円(60,000ドル)を意識する