今週(3月8日~3月14日)の相場動向
相場回顧 BTC:ETF需要が衰えず、史上最高値を更新
ビットコインは、米国における現物ETFへの資金流入が継続し、堅調に推移した。米2月雇用統計では、雇用者数は予想以上に伸びたものの失業率が2年ぶりの高水準に上昇し、利下げ見通しに関してまちまちの内容となった。ブラックロックは同社のグローバル・アロケーション・ファンドでビットコイン関連の金融商品を購入する計画を明らかにし、その期待も後押しして同社が運用する現物ETF【IBIT】の保有量は約20万BTCまで拡大した。
韓国における暗号資産ブームやミームコインの急騰など一部で投機的な動きが目立つ中、過熱感が意識されて価格を下げる場面も見られた。しかし、11日には、英国当局がプロ投資家向けの暗号資産ETNの組成について肯定的な姿勢を示したことが好感され、BTC=1,062万円(72,000ドル)付近まで高騰した。この時、世界最大のビットコイン保有会社であるマイクロストラテジー【MSTR】がさらなる買い増しを発表し、同社の保有量とブラックロックの保有量が同等であることが話題となった。
その後、米2月消費者物価指数が市場予想を上回る結果となり、米国株とともにボラタイルな値動きとなった。しかし、6月利下げ予想の見方に大きな変化はなく、S&Pが史上最高値を更新する中でビットコインも買いの勢いを戻した。13日にはイーサリアムがメインネットでレイヤー2(※)のスケーラビリティを改善する大型アップグレードを完了したが、相場への影響は限定的だった。マイクロストラテジーがビットコイン追加購入のために今月2回目の転換社債発行を発表し、週末にかけてビットコインはBTC=1,084万円(73,500ドル)付近まで価格を伸ばした。
※レイヤー2:イーサリアムなどブロックチェーン本体の性能を補強するために構築されるネットワーク
来週(3月15日~3月21日)の相場予想
BTCはFOMC次第で買いが継続するか、量的引き締めの議論にも注目
米国では堅調な経済指標を受けて利下げ開始予想が6月に後ろ倒しになっており、来週のFOMCにおいても金利据え置きが予想されている。パウエルFRB議長が利下げに対して慎重な姿勢を強調した場合は米国金利が上昇し、リスク資産の売りが強まる可能性はある。逆に利下げ時期は近いとの見通しを示した場合には株式、ビットコインともに価格をさらに伸ばすことも考えられるだろう。
また米国では2023年に相次ぐ地銀破綻を受けて導入された緊急貸出制度が今月11日で終了した。金融関係者の間では、米国の金融システムにおける流動性問題が懸念されており、量的引き締め(QT)によるFRBバランスシートの縮小ペースに関する議論も始まっている。今後、QT停止で新型コロナ以降に膨らんだお金が当面は市場で滞留することになれば、相対的に金融資産の価格を押し上げることになるだろう。
米国を中心に世界経済のソフトランディング期待が強まることによって金余り相場がさらに加速すると考えられ、大きな調整局面を迎えたとしても、金融市場全体で相場が底堅くなる可能性もある。いずれにしても景気動向については今後も注視が必要であり、再び景気後退が意識された時こそ大きな下落に警戒しなければならない。
ビットコインの現物ETFについては大きな需要が続いており、米国に次いで香港、英国でも同様の商品を認めようとする動きが出ている。それにより史上最高値をさらに伸ばすことは考えられるが、テクニカル指標などでは過熱感も意識されているため、短期的な急落が起こりうることに注意したい。
直近、上値としてBTC=1,180万円(80,000ドル)、下値として今月の急落時に記録したBTC=885万円(60,000ドル)を意識する。