2024年1月から新NISAがスタートしました。新NISAの成長投資枠の対象商品となる日本株や米国株ではどのような銘柄が買われているのでしょうか?マネックス証券における日本株と米国株の人気ランキングTOP20銘柄を紹介します。

日本の個別株では大型バリュー株が人気

新NISAでは成長株よりバリュー株、高配当銘柄が人気

まず日本株のランキングでは図表1の通り、大企業が多い印象です。また、成長株というよりはバリュー株、高配当銘柄などが選ばれています。NISAの基本的な投資スタンスは長期運用ですから、長期的な成長に魅力があるけれども、その分リスクもある成長株というよりは、大型安定企業に人気が集まるのは自然な流れでしょう。

また、3位の日本たばこ産業(2914)や6位の三菱HCキャピタル(8593)、そして9位のINPEX(1605)のように配当利回りが高い銘柄に人気があります。やはり、安定的に配当を得たいというニーズは根強くあるのでしょう。

また、TOPIXの構成ウェート上位銘柄のソニーグループ(6758)やキーエンス(6861)、東京エレクトロン(8035)といったような成長株は最低売買金額が高いのでNISAの個別株投資では選ばれていません。逆に日本電信電話(9432)が1位である理由は株式分割をしたため、最低売買金額が少額となり多くの人に選ばれています。

マネックス証券における新NISA 日本株 買付約定ユーザー数ランキングTOP20(ETF・REIT除く)(2024年1月)

(銘柄コード、社名、業種)

1   :(9432)日本電信電話、情報・通信業
2   :(8306)三菱UFJフィナンシャル・グループ、銀行業
3   :(2914)日本たばこ産業、食料品    
4   :(8058)三菱商事、卸売業
5   :(4503)アステラス製薬、医薬品    
6   :(8593)三菱HCキャピタル、その他金融業    
7   :(7203)トヨタ自動車、輸送用機器
8   :(7267)本田技研工業、輸送用機器    
9   :(1605)INPEX、鉱業    
10 :(4502)武田薬品工業、医薬品
11 :(8411)みずほフィナンシャルグループ、銀行業    
12 :(5401)日本製鉄、鉄鋼
13 :(5020)ENEOSホールディングス、石油石炭製品
14 :(9434)ソフトバンク、情報・通信業    
15 :(8316)三井住友フィナンシャルグループ、銀行業    
16 :(8905)イオンモール、不動産業    
17 :(8698)マネックスグループ、証券商品先物    
18 :(4005)住友化学、化学    
19 :(4063)信越化学工業、化学
20 :(8267)イオン、小売業

日本の大企業が、増配や自社株買いで投資家に還元

新NISAでは、大型バリュー株に資金が集まっており、この流れは今のところ良い結果に結びつく可能性が高いように感じます。現在、日本株は欧米投資家から注目されて、海外から資金が流れ込んできていることが日本株高の1つの要因です。その根底にあるのは2013年から制定された「日本版スチュワードシップ」が、ようやく結実したことがあります。

これまで日本の企業はいくら利益を出しても内部留保を増やすばかりで、増配や自社株買いで積極的な投資家への還元を行ってきませんでした。これでは欧米の投資家からするとまったく魅力は感じられないわけです。しかし、前述の通りコードシップ改革が結実したことにより、ようやく日本の大企業が増配や自社株買いを行って投資家に還元をするようになってきたのです。

メガバンクに代表される、日本の大型バリュー株はこれまで欧米投資家から注目されずに欧米の同業他社と比較すると株価には割安感があります。これに目をつけた欧米の機関投資家が資金を流入させているわけです。この流れは当面続く可能性が高いように思います。そうであれば、前述の通り、新NISAで大型バリュー株が選ばれているということは良い結果に繋がる可能が高いのではないか思います。

米国株の個別株では大型株が選好も、成長株が選ばれている

米国株でも高配当銘柄にも注目が集まる

新NISAの米国の個別株ランキングをみると(図表2)、日本株での日本たばこ産業と同様に3位に「マルボロ」ブランドのフィリップモリスUSA社などを傘下に持つアルトリア・グループ[MO](※)が入るなど、いわゆる高配当銘柄にも注目が集まっていることがわかります。
(※)なお、フィリップモリスの海外部門は、2008年に米国の訴訟リスクから守るためにスピンオフして切り離しています。

マネックス証券における新NISA 米国株 買付約定ユーザー数ランキングTOP20 (ETF・REIT除く)(2024年1月)

(シンボル、社名、業種)

1   :[NVDA]エヌビディア、半導体
2   :[TSLA]テスラ、自動車
3   :[MO]アルトリア・グループ、タバコ
4   :[MSFT]マイクロソフト、ソフトウェア
5   :[AAPL]アップル、ハードウェア
6   :[VZ]ベライゾン・コミュニケーションズ、総合通信サービス
7   :[KO]コカコーラ、飲料
8   :[T]エーティー・アンド・ティー、無線通信サービス
9   :[BTI]ブリティッシュアメリカンタバコ、タバコ
10 :[PFE]ファイザー、医薬品
11 :[MMM]スリーエム、産業コングロマリット
12 :[AMD]アドバンスト・マイクロ・デバイシズ、半導体
13 :[ARM]アーム・ホールディングス、半導体
14 :[AMZN]アマゾン・ドットコム、小売(百貨店)
15 :[GOOGL]アルファベット、インターネットサービス
16 :[JNJ]ジョンソン・エンド・ジョンソン、医薬品
17 :[PBR]ペトロブラス、石油・ガス
18 :[EC]エコペトロール ADR、エネルギー
19 :[INTC]インテル、半導体
20 :[PG]プロクター・アンド・ギャンブル、トイレタリー用品

業績拡大が続く、代表的な大型成長株がエヌビディア[NVDA]トップに

米国個別株のランキングで象徴的なのは第1位のエヌビディア[NVDA]です。エヌビディアはAIの開発に必要な画像処理半導体(GPU:グラフィックス・プロセッシング・ユニット)のパイオニアであり、世界最大手企業です。配当利回りは非常に低く、一方でAI産業の発展とともに業績拡大が続くことが想定され、代表的な大型成長株の1社です。

米国株は新NISAでも大型IT株が人気

エヌビディア以外にも、アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アマゾン[AMZN]、アルファベット[GOOGL]のような、いわゆる世界的なプラットフォームを運営している企業が多いのも米国株の特徴です。日本株にはない、独自の強みを持った銘柄が米国株では多くあり注目している人が多いことがわかります。