NISA(少額投資非課税制度)の制度が大幅に拡充されて1年が経ち、NISAを活用した資産形成がより一層注目を集めています。マネックス証券は、2月13日(木)のNISAの日に合わせて、口座を保有している方を対象に、NISAや投資に関する意識調査を実施しました。
個人投資家の約8割がNISAを高評価、能動的に資産運用する層も増加
制度改正から1年経ったNISA、個人投資家の約8割が高評価
まず、制度変更後のNISAの内容についての評価は、10段階評価のうち7以上の評価を付けた個人投資家が81%となりました。2024年2月に実施した前回調査と数値が変わっておらず、制度改正から1年を経て利用が進んでからも、本制度が好意的に評価されていることが分かります。

評価のポイント1位は「非課税で保有できる期間の無制限化」
評価できるポイントとしては、70%以上の個人投資家に評価されたのが「非課税で保有できる期間の制限がなくなったこと」。次いで「生涯非課税保有限度額が上がる」が57%で評価されています。

「年間投資枠が少ない」へのスコアが上昇、非課税での資産運用に積極的な割合が増加
一方、評価できないポイントは、前回調査から変わらず「旧NISAからロールオーバーできないこと」が突出した結果となりました。ただ、「年間投資枠が少ない」(今回21%、前回13%)、「生涯非課税保有限度額が少ない」(今回19%、前回15%)のスコアが前回より上昇しており、運用してみた結果、「想定よりも投資できそうなので、もう少し非課税で資産運用をしたい」と考えた個人投資家が増えたことが見て取れます。

長期運用だけにこだわらず思い切った運用を行う個人投資家も多数
新NISAの口座で商品を保有したことがある個人投資家に、NISA口座での商品の保有期間意向を聞いたところ、利益確定での売却を考えている個人投資家や運用資産の使用用途を決めている個人投資家が15%ずついることが分かりました。保有したことはあったものの売却済みで、現在は商品を保有していない個人投資家も3%見受けられました。長期の資産運用が多いNISAですが、年間投資枠が復活することもあり、思い切った運用ができている個人投資家も多くいるようです。

NISA口座において売却した割合は2割超、能動的な動きも顕著に
制度変更後、保有期間が無期限になったNISAの口座で取引経験のある個人投資家うち、売却経験のある個人投資家は26%という結果となりました。制度の運用開始から1年ですが、相場の変動が大きかった年ということもあり、能動的に売却をした個人投資家も多くいたことが分かります。

「つみたて投資枠」「成長投資枠」の併用が増加、クレカ積立では上限額フル設定が3割超に
マネックス証券のNISA口座における2024年1月と12月の取引データを調査しました。
制度改正後、NISAの口座数は約1.6倍に増加
マネックス証券のNISA口座は、新NISA(2024年1月以降に開設された口座)の口座数が、2024年12月には1.6倍に増えました。

新NISAで口座開設した個人投資家の7割近くが実際に資産を運用
NISA口座の稼働は、2024年1月の段階で45.3万口座だったものが、12月には53万口座となり、そのうち稼働口座数は2024年1月が約半数、12月には65%となりました。口座数が増加率以上に稼働口座の割合も増えており、口座を開設した個人投資家がしっかりと資産運用の一歩も踏み出していることがわかります。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用する個人投資家は38%まで上昇
「つみたて投資枠」「成長投資枠」の併用ができるようになったことに伴い、両方の枠を使い始めた個人投資家は2024年1月時点では19%でしたが、12月時点では38%となりました。つみたて投資枠のみの個人投資家の割合が49%から30%に減ったことから、積立にプラスして成長投資枠でも投資を行った個人投資家が多数いることが分かります。

「成長投資枠」の上限額を活用する個人投資家も増加
成長投資枠を利用している個人投資家のうち、年間の上限額240万円に近い200万円以上をすでに使っている人は47%でした。株価が上昇基調だったことも奏功し、半数近くの個人投資家が1年をかけて成長投資枠の枠をしっかり使っている結果となりました。

「成長投資枠」での購入商品は59%で日本株が1位に
成長投資枠での購入商品は購入金額ベースで59%が日本株となりました。日経平均株価が上昇し、日本株の相場が活況だったことも手伝い、NISA口座での日本株の買付が好調だったことがうかがえます。

「つみたて投資枠」の積立金額をフル活用する個人投資家は約25%
つみたて投資枠での積立金額を調べたところ、ボーナス設定などを含め、つみたて投資枠をフルで利用して積立を行っている個人投資家が4分の1近くいることが分かりました。クレカ積立の上限額が10万円まで引き上げられたことも奏功し、積立額が増えています。旧NISAでのつみたてNISAの上限(33,333円/月)に近い金額設定のまま、特に金額変更せず地道に積立を行っている個人投資家も一定数いるようです。

「つみたて投資枠」で1万円台の少額投資を実践する割合も25%
2024年1月以降の新NISAで口座を初めて開設した個人投資家のつみたて投資枠での積立状況は、1万円台が25%と4分の1を占める結果となりました。1万円未満も19%となり、「少額からコツコツと資産形成をする」という政府や証券会社の働きかけも一助を担っている印象です

NISA口座でクレカ積立額、上限の10万円設定が3割を超える結果に
NISA口座でクレカ積立を行っている金額は、月間で上限の10万円を設定している個人投資家が2024年12月時点で34%と3分の1を超えている結果となりました。10万円に上限が引き上げられる前の5万円の設定のままで積み立てている個人投資家も一定数いますが、上限をフル活用して資産運用しているという傾向が如実に表れました。

NISA口座でのポイント投資、最も多いのは「500pt未満」
NISA口座でポイント投資を行っている個人投資家の月間利用ポイント数を調査したところ、500pt未満が最も多い割合(22%)となりました。少額でも投資信託の購入の足しにしてポイントを活用している個人投資家が多くいるようです。ポイント利用額の中央値は3,000pt付近であり、マネックス証券以外でたまったポイントをポイント投資に転用している個人投資家が増えてきていることが分かりました。

NISAで購入された銘柄人気ランキングTOP10(日本株・米国株・投資信託)
マネックス証券のNISA口座で取引された人気銘柄トップ10と、それぞれの銘柄の2024年の成績を調査しました。
対象:日本株、米国株、投資信託
検証期間:2024年最初の取引日終値と2024年最後の取引日の終値で比較
(日本株、投資信託は2024年1月4日と12月30日、米国株は2024年1月2日と12月31日)
日本株の人気1位は日本電信電話(NTT)、株式分割銘柄も人気の上位に
2023年に株式分割を行った日本電信電話(NTT)が多く買われる傾向が続きました。配当金の高い銘柄が変わらず人気となっていますが、株式分割したソフトバンクや、一時経営統合を発表した本田技研工業、日産自動車にも人気が集まっています。株式分割が個人投資家を増やす点で有効な手段であることも分かります。

米国株はエヌビディアが圧倒的な人気に
半導体バブルもあり、1年を通じてエヌビディアが圧倒的な人気となりました。2023年は人気の銘柄が分散しましたが、2024年は旧来の有名・人気銘柄への投資傾向が戻ってきている印象です。

投資信託では、成長投資枠でインド株銘柄が上位にランクイン
各メディアでも取り上げられている「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」への人気が突出する結果となりました。成長投資枠ではインド株銘柄も上位にランクインしていますが、これは、つみたて投資枠で購入できないものの注目度が高まっている表れと見て取れます。また、つみたて投資枠で「iFree S&P500インデックス」をはじめとしたiFreeの銘柄が多くランクインしているのは、イオン銀行からの口座移管のお客様の積立設定が引き継がれていることが要因として挙げられます。

■調査概要と回答者の属性
調査方式:インターネット調査
調査対象:マネックス証券口座保有者
回答数:5,303
調査期間:2025年1月30日(木)~2月3日(月)