米ドル/円 週間予想レンジ:149.50~152.00

メインストラテジー:レンジ取引

・日銀介入のリスク
・アノマリー要素を重視
・下値支持はなお強い

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週再度切り返し、週足では陽線で大引けした。先週一貫して切り返し、円売りがなお旺盛であることを示唆した。ただし、日銀介入のリスクもあるため、高値更新なし、あるいは僅かな高値更新があって上に定着できない場合は、従来の判断は不変である。

もっとも、先々週は波乱した。年初来高値を再度更新したものの、大きく反落し、週足では「スパイクハイ」の陰線で大引け、頭打ちの可能性を改めて示唆した。10月31日の日銀会合後、投機筋の押上げで151.76円まで高値を一旦更新し、当日に大陽線を形成したが、その後米金利の急落につられて149.37円まで反落、上昇幅の大半を帳消しした。

プライスアクションの視点としては、年初来高値の更新を重視しているものの、更新後の値動きをより重視している。この意味合いでは、先週の大陽線があっても、高値更新ができなかったため、10月31日の大陽線から形成していた「インサイド」のサインがなお有効である。

もっとも、10月31日の日銀政策修正自体、円売りの材料ではなかった。しかし、当日の米ドルの急騰は、一旦サインの意味合いを否定していた。10月26日に年初来高値を更新しており、10月27日の大陰線が10月25日の安値を下回ったことから、10月25~27日の罫線の組み合わせは、弱気パターンとしてみることができた。

この場合は、10月第3週の高値更新、即ち10月26日の高値トライ自体が「フォールス・ブレイクアウト」の可能性があった。その可能性を一旦強く否定したところ、延長線としてまた弱気サインが形成された可能性がある。

10月3日の大陰線は、前の罫線に対して「アウトサイド」、後ろの罫線に対して「インサイド」を形成し、「母線」としての役割を果たした。同サインが「Ioi」と表示され、ブレイクがあれば、次なるトレンドへ寄与する存在と見なせるが、重要な節目において、ブレイクした後に早期逆転される場合は、そのブレイク自体が「ダマシ」となり、かえって頭打ちを示唆する存在と化す。この意味合いにおいて、先週強かったものの、高値更新できなかった分、なお大きな「ダマシ」の一部として確認される可能性がある。

アノマリーの視点では、2015年夏場のトップから8年を経過、すでに再度頭打ちのタイミングに差し掛かっている。また2022年11月14日のコラムでも解説した「逆・米消費者物価指数(CPI)ショック」の発生で円が急騰していたことにも鑑み、高値追いに引き続き距離を置きたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:96.00~99.00

メインストラテジー:押し目買い

・一旦再調整するも強気基調
・年初来高値更新を確実視
・豪ドル対米ドルの再度底固めを確認

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週一旦反落した。陰線で大引けしたものの、途中の調整としてむしろ歓迎され、これからの上昇波を健全化させるだろう。そのため、基本的な見方は全く変わらず、年初来高値更新を確実視している。

日足では、途中の速度調整として11月7日の「弱気リバーサル」のサインが目立った。それは豪ドル対米ドルの波乱につられた形であったが、豪ドル対米ドルの底鍛錬があったものの、結果的に再度底固めに成功していたため、豪ドル対米ドルの調整も終わった公算が大きい。

もっとも、先々週の値幅に比べ、先週の値幅が小さかったので、先々週の罫線の意味合いを否定できない。先々週は大きく続伸し、9月高値のブレイクを果たし、上放れを決定した。ここから年初来高値の突破を確実視し、出遅れたロング筋の一段参入が想定されただけに、先週の調整自体、押し目買いの好機とも解釈される。

10月第3週までの保ち合いで、やや波乱しながらも、堅調な推移を維持した。レンジ形成の延長となり、波乱があっても「コップの中の嵐」であったため、上放れの地合いを整備していたとの判断が正しかった。同週までの直近3週間で、10月第1週(10月2日~)の大陰線に「孕まれる」形となったため、あくまで中段保ち合いの一環との位置付けだったが、先々週の大陽線はブレイクのサインとして一層重要であった。

10月第1週は大反乱した。米ドル/円の波乱につられた形で一旦93円関門割れがあったものの、大引けは95.31円と高く、週足では典型的な「スパイクロー」のサインを形成した。ただし、大波乱があったからこそ構造上の強さを維持しており、これから高値再更新を果たす見通し自体は不変である。そのため、先々週の高値更新は重要な意味合いを持つ。

詰まるところ、7月最終週の週足ではより値幅の大きい大陰線を形成したことから「インサイド」のサインが形成され、9月末の高値トライは、同「インサイド」の上放れを示唆する値動きとして有力視されたわけだ。そのため、10月第1週の大波乱があっても、上放れが失敗したのではなく、あくまで途中の試練と受け止めていた。言ってみれば、先々週の突破で同見方がやっと証明されたわけで、先週の微調整には影響されないはずだ。

従って、理論上では97円大台の再打診があれば、99~100円といった新たなレンジの上限をトライできる。今週のターゲットを敢えて99円台に抑えるが、豪ドル対米ドルの底打ちが再度鮮明化してきたところで、場合によっては、高値追いも必要かもしれない。