ナスダック100は、年初来初2週連続の下落

先週のS&P500は0.31%の下げ、ナスダック100は1.62%の下落となりました。これまで相場を牽引してきたテクノロジー銘柄が下げを主導、ナスダック100は2023年初めての2週連続の下落となりました。同指数は過去10日間の取引のうち7日間下落し、8月に入ってからは4.6%下落、S&P500(-2.72%)をアンダーパフォームしています。それでも現時点で2023年のS&P500のリターンは年初来16.27%の上げ、ナスダック100においては37.37%の上昇となっています。

木曜日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は、コアCPIが前月比+0.16%と、市場予想の+0.22%を下回りました。これを受け、マーケットは寄り付きから10時までラリーしたのですが、その後14時までの間にS&P500は1.5%下げる展開となりました。

下落のトリガーとなったのはその日の米10年債利回りの上昇です。本来ですと、このインフレ鈍化を示唆するCPIの発表を受け、金利は下落しても良いのですが、逆に上昇したのは不思議な動きです。債券市場は、これからインフレが低下すると信じていないのかもしれません。7月末3.82%であった米10年債利回りは8月に入って4.1%を超えてきていますが、株のマーケットはこの金利の上昇を嫌がっています。

しかし歴史的に、8月、9月の米国株は弱含むという傾向があります。そういった意味では、このような季節性のある夏の米国株の相場ですので、現在の下げを悲観的に考える必要はないかもしれません。

【図表】 S&P500の1年の動きの平均 (過去10年)
出所:ビスポーク

今後の決算見通し、業績予想は上方修正

第2四半期の決算発表については、S&P500採用銘柄のうち91%の企業が決算発表を終えており、残すは45社となっています。今回の決算発表で勇気づけられるのは、今後の見通しについて業績の上方修正が起きていることです。来年のS&P500のコンセンサス予想EPSは決算発表前の7月末時点240.8ドルだったのが、先週末には241.6ドルとなっているのです。若干ではあるものの、業績予想が下方修正ではなく、上方修正されていることも業績という意味で今後のマーケットを方向付けるにあたっても決して悪い話ではないでしょう。

今週の決算発表は小売業界に集中しています。具体的に、火曜日にはホーム・デポ[HD]、水曜日にはターゲット[TGT]とTJXカンパニーズ[TJX]がそれぞれ決算発表を行う予定です。さらに、木曜日にはウォルマート[WMT]とロス・ストアーズ[ROST]の決算が発表される予定です。グローバルなクレジットカード会社であるマスターカード[MA]は、先月、個人消費に関して「底堅い」との見解を発表、一方ビザ[V]は個人消費を「安定している」と評価しています。これらの結果から、経済や消費者の動向が見えてくるでしょう。