米ドル/円 週間予想レンジ:135.00~137.50

メインストラテジー:押し目買い

・日銀の政策維持で円売り
・変動レンジの上方修正
・リスクオン継続の公算が大きい

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅続伸した。4月28日の日銀会合後、政策不変を受け円売りが再燃、また植田日銀総裁の発言(政策修正に急がない趣旨)で一段と加速し、136.75円まで高値トライした。一気に135円関門を突破し、また大引けが136円台以上を維持したことで、これからの高値追いを示唆した。

円売りの流れは、今更強調することではないが、一部市場関係者らの予想と反して、植田日銀総裁の緩和維持姿勢がモメンタムを高めた要因になった模様だ。言ってみれば、円のロング筋の損切りが大規模発生し、円売りを一段と加速させた側面も大きかった。

もっとも、先々週一旦135円関門のトライがあったこと自体がその前兆であった。先週高値トライ後反落して大引けし、週足では「スパイクハイ」のサインを形成したが、続伸したことは十分評価できることで上値志向を再確認できた。そのため、日銀会合後の大幅続伸を上昇波の一環や延長と見なし、これからさらなる上値余地を拡大すると見ている。

さらに深く掘り下げてみると、3月安値を起点とした上昇波動において、4月第1週のみ陰線引けであった。しかし、4月第1週は小幅変動に留まり、また陰線で大引けしたところで、本来さらなる保ち合いの延長があってもおかしくなかったが、その後の続伸で強気変動を確認できた。

さらに、4月12日~13日に米生産者物価指数(PPI)や米消費者物価指数(CPI)といった経済指標のリリースで米ドルが一旦売られたこともあり、本来さらなる安値のトライがあっても許容範囲であった。しかし、その後米金利の一旦安値更新がなかったことから、米ドル/円はドル指数の値動きと乖離し、結果的に再度切り返しを果たしたところで強気変動のサインと解釈されたわけで、強気構造の証拠となった。

先々週後半の反落は、一旦133.55円まで続いたが、133円台半ばや後半は重要な支持ゾーンとして意識される。何しろ、4月3日や12日の高値は133円台後半に集中し、従来の抵抗を示したため、133円台半ばが一転して支持ゾーンとなれば、構造上の強さを発揮できるという考えも正解であった。

なにしろ、米経済指標の不芳や、景気後退の懸念がくすぶっているが、3月の銀行不安とは本質的に違う。もっとも、いわゆる「銀行危機」の懸念が行き過ぎであったため、「リスクオフの円高」はありえなかった。その上、米ドル/円に限って言えば、米金利動向により敏感に反応したが、米金利の底割れ回避や切り返しにつれ、米ドル/円は続伸しやすく、強含みの地合いにあり、日米欧の株価堅調と相まって、先週の大幅続伸は自然な成り行きであった。

今週は上値志向を一段と強めるだろう。ただし、米長短金利の上昇がなければ、米ドル/円の上値打診があっても、3月高値の137.92円をブレイクできるとは限らない。とはいえ、先週4月28日の大陽線を安易に否定できないため、135円関門前後の支持もしっかりとみておきたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:89.50~91.50

メインストラテジー:押し目買い

・底割れ回避で上昇志向へ
・90円関門以上の定着あり
・上値追いにはなお慎重

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大幅続伸し、90.23円をトライした。週足では典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、これからの高値トライを示唆している。

豪ドル/円の切り返しは日銀会合後の円売りに依存していた側面は大きい。その大きな背景は米ドル/円の記述の通りである。その一方、豪ドル/米ドルの値動きがベア志向なので、手放して豪ドル/円の上昇余地を追うのも適切ではないと思う。

とはいえ、底割れ回避で地合いをさらに大きく改善したことは間違いない。先々週の安値を深く下回り、一旦88円関門を下回ってからの切り返しなので、上昇志向を示唆した。この意味合いでは、これから安易な底割れはないだろう。

先々週まで続伸し、一旦90.82円をトライしたものの、大引けは89.75円と安く、週足では「スパイクハイ」のサインを形成した。切り返しを継承する形となり、また一旦92円関門に接近してきたところで、決して弱い値動きではなかった。そのため、先週の足型は一段と強気変動を証明し、これからの値動きを強める存在となるだろう。

もっとも、先々週は一旦90円後半まで続伸していた。91円関門ブレイクの有無がこれからの焦点となるが、理屈上では今週ブレイクしていくはずだ。なにしろ、先週の足型はこれからの高値更新を強く示唆するもので、円売りの流れでみると、91円関門以上のトライは決して難しい値動きではない。

さらに、3月末から一旦大きく切り返し、この前の下落幅を取り戻したところが大きかった。3月の安値トライ自体が、「ダマシ」であった可能性は想定していた。先週の切り返しや先々週再度91円関門手前までのトライは、証拠材料としての存在感が大きかっただけに、今週上放れしてくるだろう。

なにしろ、3月に一旦86.06円の安値打診をもって「底割れ」の様子を呈していた。「底割れ」とは2022年12月安値の割り込みのことであるが、同基準で測るなら、そこから基調の一段悪化も覚悟していた。この意味合いにおいて、3月末からの切り返しは、「危機一髪」のところで強気サインを点灯し、地合いのさらなる悪化を防いだ。

そして、4月第1週の陰線引け自体も米金利の安値更新や米ドル/円の反落と連動していたため仕方がなかったが、先週の再度切り返しや先々週の91円関門直前のトライを一連の上昇波における連鎖と理解できれば、これからの上値志向を理解できる。

そのため、これから91円関門以上に定着するものと思われる。しかし、先週と同様、早期に定着できない場合はなお紆余曲折を覚悟しておきたい。ただし、一旦同関門以上の定着があれば、想定より早くブル基調への転換もあり得る。場合によっては一気に93円以上の高値トライもあり得る。しかし、前述の理由により高値追いにはなお慎重なスタンスを取りたい。あくまでレンジ内の押し目買いに徹したいと思う。